元ヤンに聞く、ヤンキーからの卒業を決めさせてくれたあの1本

コラム

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元ヤンに聞く、ヤンキーからの卒業を決めさせてくれたあの1本
あのころは若かった……と振り返るのでしょうか

若いころヤンキーだった人でも、大人になるにつれて少しずつ丸くなっていくのではないでしょうか。人は現実の色々な問題に向き合って考え、成長していくわけですが、「“自分が変わるキッカケ”となったのがある映画だった」という場合もあるようです。元ヤンキーに、ヤンキーからの卒業を決めた映画を聞いてみました。

■『キッズ・リターン』(1996年)

北野武監督の第6作目となった作品です。主人公である2人の高校生は、ともに素行不良な日々を過ごしています。2人は将来の道として片方はヤクザを、片方はプロボクサーを選択し、それぞれ現実の壁を前にもがきます。

「主人公のうちのひとり、マサルのどうしようもなさにはすごく共感できるものがあった。人生を作り上げていくのは他ならぬ自分自身だと考えさせられたし、楽な道に流されてしまうとろくなことにならない、という教訓もこの映画にはあったように思う」(37歳男性)

ヤンキーである主人公2人が、社会に出ることで多くのことを学び成長していく映画。単純なサクセスストーリーでないところにリアリティを感じさせます。

■『ヒーローショー』(2010年)

井筒和幸監督作品。ヒーローショーのアルバイトをする若者たちの間でいさかいが起こり、報復に次ぐ報復で暴力は次第にエスカレート。ついには殺人へと発展してしまいます。なおこの作品は、実際にあった東大阪集団暴行殺人事件がモデルとなっているのだとか。

「ヤンキー漫画とかを読んでいるとヤンキーはカッコいいと思うけど、リアルではきっとこの映画みたいにドロドロになっていくんだろうなあ、と思わされた。なんだか(ヤンキーだった)自分に、『君はこんなにカッコ悪いんだよ』と鏡を突きつけられた感じ。映画のバイオレンス描写とかは面白かったけど、漫画や映画に出てくる“美化されたヤンキー”ではなく、“リアルにいそうなヤンキー”像が衝撃だった」(26歳男性)

主演はお笑いコンビのジャルジャルですが、お笑い要素はほとんどなく、かなり過激なバイオレンス映画となっています。

■『ROOKIES -卒業-』(2009年)

マンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)に掲載された『ROOKIES』が原作となったこの作品。TVドラマ化もされ、映画はTVドラマの続編に当たるストーリーで、大ヒットを記録しました。元ヤンキーだった高校生たちが野球に出会い甲子園を目指す、というのが大まかなストーリー。そこでは様々な青春ドラマが生まれます。

「(この映画を観て)柄にもなく泣きまくってしまった。この映画を観るのがあと数年早かったら、自分も何かスポーツを始めていたのに。青春っていいなあ、何かに打ち込むのってカッコいいなあと思った。ヤンキーを辞めて、将来お店を持つ夢に向けて、調理師免許を取って貯金して本腰を入れるようになった」(24歳男性)

不良青年がスポーツなど何か打ち込めることに出会って更生していく……いわゆる王道の物語ですが、日本全国を感動の渦に巻き込んだクオリティは一見の価値アリです。

■『麻雀放浪記』(1984年)

原作は“雀聖”とも呼ばれた小説家・阿佐田哲也による同名の作品。敗戦直後の上野を舞台に、苛烈な世界で生き抜くプロの麻雀打ちたちの生き様が描かれています。

「映画好きの友人に勧められて観た映画。プロの雀師とヤンキーは違うんだけど、アウトローという意味ではヤンキーに通じるものがある。ただ、映画では雀師たちのアウトローっぷりが半端ではなくて、到底自分には真似できる生き方ではないと痛感。自分はやっぱり幸せな家庭を持つことへの憧れもあり、おとなしく生きていこうという気にさせられた」(42歳)

題材が麻雀なので、観る人の間口を狭めている感はありますが、麻雀を知らない人でも楽しめるエンターテイメントに仕上がっています。

■『レザボア・ドッグス』(1992年)

“鬼才” クエンティン・タランティーノ監督のデビュー作品です。6人の男が宝石を強盗するために集められ、いざ犯行に及びますが、そこには計画を事前に察知していた警察が待ち伏せていて……。

「コードネームがそれぞれ『色』の名前だったり、犯行グループはスタイリッシュな一面もあるんだけど、実際犯罪するとなると結構ドロドロしている。それぞれが疑心暗鬼になったりするような場面はリアリティもある。ヤンキーをやっていてけんかに憧れていた部分もあったけど、結局(ヤンキーの)ゴールがこの映画の登場人物たちのようなら、もう卒業しなきゃなあ……という感想だった」(31歳男性)

映画通の間でも評価が高いこの作品。時系列がバラバラの構成や細かい演出が素晴らしく、ラストまで一気にストーリーが展開されます。タランティーノ監督は、この作品によって鮮烈なデビューを果たしたのでした。

ヤンキーを美化した映画もあれば、リアルに描写した映画もあります。どちらも楽しく観られるエンターテインメントではありますが、リアルに描写されると自分と重ね合わせて「もうヤンキー卒業しなきゃな……」なんて思う人がちらほらいるみたいですね。

(藤井弘美+プレスラボ)

この記事で紹介している作品

キッズ・リターン
ヒーローショー
ROOKIES -卒業-
麻雀放浪記
レザボア・ドッグス

記事制作 : dmenu映画