最高のディカプリオ映画は? 役者としての幅広さに見るレオの“凄さ”

コラム

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文=ロサンゼルス在住ライター 鈴木淨

レオナルド・ディカプリオ
第88回アカデミー賞でレオナルド・ディカプリオが主演男優賞を受賞
©Byron Purvis/AdMedia/Newscom/Zeta Image

レオナルド・ディカプリオが、『レヴェナント:蘇えりし者』でアカデミー賞5度目のノミネートにして初受賞を果たした(主演男優賞)。メディアはこぞって「悲願のオスカー」「念願の受賞」と書きたてているが、本人が「オスカー、ちょー欲しい」とか言っていたわけではないので、マスコミ側の勝手な見解かと。それはさておき、これまで5度も同賞にノミネートされたこと自体がもっと評価されるべきではないか。役者としてのディカプリオの“凄さ”を、三つの視点から探ってみよう。

幅の広い演技力

様々な米メディアがユーザーの投票や独自の視点で決定した「最高のディカプリオ映画」のランキングを見ると、実に意見がばらけていることに驚く。米国内で最も興行的に成功したのは、ダントツで1997年の『タイタニック』(興収6億5867万ドル/約750億8800万円)だが、同作が1位のランキングは意外に少ない。それぞれに調査時期や評価基準が異なるため一括りにはできないが、最大公約数的なのが米ケーブル局AMC公式サイトによる統計。

1位『インセプション』(2010)
2位『ディパーテッド』(06)
3位『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)
4位『タイタニック』(97)
5位『ブラッド・ダイヤモンド』(06)
※ユーザーの投票による順位

このほか人気が高いのは『アビエイター』(04)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)『シャッター アイランド』(09)『ギルバート・グレイプ』(93)。このあたりがアメリカ人の好きなディカプリオ映画の上位作品と言えるが(『レヴェナント』はカウントしていない)、順位は各ランキングでまったく違う。これまで30本以上に出演しているが、大富豪から詐欺師、ダイヤの密売人までどんな役にも染まれ、各作品が根強いファンを持つ。彼の演技力の幅広さが読み取れる結果と言えるだろう。あなたのナンバーワンは、どの作品?

名監督のお気に入り

出演作の多くを大物監督が手がけているのも、俳優ディカプリオの特徴。マーティン・スコセッシ、スティーヴン・スピルバーグ、クリント・イーストウッド、ウディ・アレン、リドリー・スコット、ジェームズ・キャメロン、クエンティン・タランティーノ、クリストファー・ノーラン……名前を挙げれば切りがない。

監督の多くが「映画は良い脚本と良い俳優が揃った時点でほとんど完成している」と口にする。これだけ多くの名監督が御墨付きを与える役者もそうはいない。いい監督に演出される度、得るものも多いはず。スコセッシにいたっては5作品でディカプリオとタッグを組み、『ディパーテッド』はアカデミー賞作品賞、監督賞など4部門で戴冠した。

盟友ロバート・デ・ニーロに勧められたのがきっかけでディカプリオに興味を持ったというスコセッシは「『ギルバート・グレイプ』や『タイタニック』を見て、彼は素晴らしいと思った」と米誌「パレード」に話している。「我々は、年は離れているが、同じ感覚を持っている。とても特別な関係だ」。

“おっさん感”による円熟味

ディカプリオが注目されたのは、知的障害を持つ少年を演じた『ギルバート・グレイプ』。19歳でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたこの頃は、ルックスよりも演技力が話題の中心だった。だが、端正な顔立ちのまま大人になって二枚目俳優としての人気が強くなり、『ロミオ&ジュリエット』(96)『タイタニック』などでそのイメージが定着。これがマイナスに働いたとは言い切れないが、2004年の『アビエイター』までオスカー・ノミネートから遠ざかった。

だがこれは私見ながら、『シャッター アイランド』前後で、年齢にもよる“おっさん感”を身に付けたように思うのだ。髪をオールバックにした顔は少しだけ丸みを帯び、いい意味での俗物テイストも備わった。この円熟味がそれまでのハンサム俳優の呪縛から彼を自由にし、さらに役者としての深みを与えたのではないか。『レヴェナント』で見せた文字通りの体当たり演技はその真骨頂。これからの俳優ディカプリオが、一段と楽しみになった。

■レオナルド・ディカプリオがアカデミー賞にノミネートされた作品

『レヴェナント:蘇えりし者』(15)主演男優賞→受賞
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13)主演男優賞
『ブラッド・ダイヤモンド』(06)主演男優賞
『アビエイター』(04)主演男優賞
『ギルバート・グレイプ』(93)助演男優賞

レオナルド・ディカプリオ
『レヴェナント 蘇えりし者』4月22日から全国公開
©2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 

この記事で紹介している作品

 『レヴェナント:蘇えりし者』

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)