ハリウッドセレブも白熱!米大統領選

コラム

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文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪

今年の11月に米大統領選挙を控え、政治の話題が全米を席巻している。エンタテインメント界においても、4年に一度の大統領選はハリウッドと政界の密接度が顕著に表れるイベントとなっているが、2期にわたって大統領を務めたバラク・オバマの後任を選ぶ今年は、ニューフェイスの登場に注目が集まっている。この8年間で米国も世界も、経済も環境も変わり、依然として変わらぬ社会問題が積もるなか、セレブリティの声も今まで以上に大きく、バラエティに富んだものとなっている。11月の本戦に先がけ、民主党・共和党の代表候補を選ぶ7月の予備選挙を前に、ハリウッドの候補者支持状況をまとめてみたい。

ヒラリー・クリントン
米「タイム」誌の表紙を飾るヒラリー・クリントン

現状、ハリウッドで優勢なのは民主党のヒラリー・クリントン。8年前の選挙では、オバマ大統領と民主党代表候補の座を争ったが、そのときから、ヒラリーの支持は高かった。結局、オバマが代表候補となったものの、今回の出馬により、ヒラリー熱は再燃し、様々な資金調達イベントが開催されている。

先日は、ジョージ・クルーニー夫妻が4月にサンフランシスコとロサンゼルスでヒラリー陣営の資金調達イベントを主催すると発表。ロサンゼルスの自宅で行われるイベントは、スティーヴン・スピルバーグ夫妻、ジェフリー・カッツェンバーグ夫妻、英語版のスーパー戦隊シリーズ「パワーレンジャー」の生みの親としても知られるハイム・サバン夫妻との共催で、参加費は1人3万3400ドルと言われている。さらに10ドルの任意募金により、クルーニーらとディナーを共にできるコンテストを開催し、一般人の参加も煽る。クルーニーは、2012年にも、オバマ大統領の再選挙に際し、スタジオシティの自宅で資金調達イベントを主催し、1500万ドルを集めた実績がある。

ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージックホールで行われたヒラリーの資金調達イベントでは、ケイティ・ペリーとエルトン・ジョンがパフォーマンス。彼女のキャンペーン広告には、売れっ子テレビ・プロデューサー、ションダ・ライムズによる人気シリーズの顔である、エレン・ポンぺオ(「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」)、ケリー・ワシントン(「スキャンダル 託された秘密」)、ヴィオラ・デイヴィス(「殺人を無罪にする方法」)ら、注目女優3人が登場。「聡明で複雑、高い能力と行動力を備え、献身的に正義のために戦い、人を思いやり、声なき人に声を与え、ノックダウンされてはまた立ち上がる女性」としてヒラリーを讃えている。

HBOの連続ドラマ「GIRLS/ガールズ」のクリエイターであるレナ・ダナム、人気テレビシリーズ「アグリー・ベティ」のヒロイン、アメリカ・フェレーラ、ヒラリーの娘チェルシー・クリントンらも、ハリウッドで開催されたキャンペーンのなかで、主に若者に向けたメッセージを発信。フェレーラは、「若い女性がヒラリーの影響を受けていないという神話は真実ではありません」と語り、「この国に必要なのは革命ではなく進化」と、革命を掲げる民主党ライバルのバーニー・サンダースを意識したコメントを残した。このほか、ビヨンセ、サルマ・ハエック、キム・カーダシアンらもヒラリー派。女性からの支持の厚さが目立つが、ロバート・デ・ニーロ、ファレル・ウィリアムズ、マジック・ジョンソンらもヒラリーが率いるアメリカに希望を寄せている

バーニー・サンダース
米「ローリング・ストーンズ」誌にインタビューが掲載されたバーニー・サンダース

一方、自身を「民主社会主義者」と称しながら、経済、企業、教育、社会など様々な面における格差是正を促す政策をアピールし、若者の熱烈な支持を増やしているのが、民主党の74歳のバーニー・サンダース。女優スーザン・サランドンは、「女性の大統領が欲しくないのか?」と聞かれることが多いと明かしながら、「現政府のやり方を変え、企業買収や大企業の癒着から、人々へと(政府や社会の)焦点を転換するムーブメントを作り出せる人物」として、サンダース支持を表明している。このほか、サンダース派は、スパイク・リー、ニール・ヤング、ダニー・デヴィート、マーク・ラファロ、ウィル・フェレル、ジャスティン・ロング、セス・マクファーレンら。

ドナルド・トランプ
米「ハリウッド・リポーター」紙の表紙でポーズをとるドナルド・トランプ

対する共和党においては、富豪・実業家として知られるドナルド・トランプがメディアや世間を賑わせ、支持派とアンチ派をともに増やしている。自身に不利な報道を行うメディアへの圧力や、移民、女性、中絶、宗教といった重要な問題への偏った発言が批判を浴びつつも、歯に衣着せぬ主張やショーマンシップとしてのパフォーマンスにより支持を拡大。オバマ大統領に反対の姿勢を見せ、公に保守派を支持している俳優ジョン・ヴォイドはトランプ派として、「ドナルドは面白く愉快で華やかな人物。何より、正直者である」と語っている。このほか、クリント・イーストウッド、チャーリー・シーン、デニス・ロッドマン、マイク・タイソンらがトランプ支持を表明。ちなみに、リアリティ番組「アプレンティス」でトランプの座を引き継ぐことになっているアーノルド・シュワルツェネッガーは、共和党の別の候補者ジョン・ケーシック氏を支持している。

紛争やテロ、人種差別、銃犯罪、環境問題など、深刻な問題が渦巻く今の世界状況や社会事情を考えると、政治とエンタテインメントをリンクする表現はふさわしくないだろう。それでも、エンタテインメント界の面々が、自分の創作活動とは別に(ときには活用しながら)、それぞれの問題意識と主張、思いを声高に表明する姿、パフォーマンスこそが世間を動かす重要なカギとなるところは、ショービズ大国アメリカならではといえるかもしれない。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)