本当にあった?!「セーラー服と機関銃」秘話

コラム

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映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』より (C)2016「セーラー服と機関銃-卒業-」製作委員会

1981年に公開された薬師丸ひろ子主演の『セーラー服と機関銃』は赤川次郎の小説が原作。角川映画40周年記念作品として制作された橋本環奈主演『セーラー服と機関銃~卒業~』は同小説の続編を映画化したものです。

両作品共に女子高生がヤクザの組長を襲名することになり、悪をこらしめるという設定。こんなファンタジーな設定は小説や映画の世界だけだと思っていましたが…若い女性のヤクザの組長は過去実在したのです!! 実在する女組長は戦後の混沌とした日本を背景に誕生していました。

■奥様はヤクザの組長!?

今から70年前、戦争に負けた日本はGHQ(連合国による日本を占領・管理するための最高司令部)の管理下、政治関係者の多くは戦争犯罪者として逮捕されたり、公職追放を受けることで指導者を失っていました。

警察も武装解除を命じられ、治安維持が困難な状況。そんな中、一部の外国人が暴徒化したのち組織化、治安を乱します。世紀末映画のような話ですが、このような外国人組織や暴徒に対して、奮戦していたのが当時のヤクザです。

新橋周辺で暴れていた愚連隊の頭、松田義一は復員軍人などを集め、関東松田組(現在は解散)を創設。弱きを助け強きを挫く…という愛国主義者の松田は、そんな外国人組織から人々を守るという大義によって、警察までも味方に付けて新橋周辺の闇市を取り仕切ります。

新橋駅西口付近に日本最大の闇市「新橋新生マーケット」が建設されることになった際も、多くの人に望まれる形でプロジェクトを取り仕切ることになります。このプロジェクトには外国人組織も利権を得るため近づきますが、松田との交渉は決裂。敵対組織となります。

松田は闇市をデパートにするという夢を描いていましたが、その夢は叶わず、個人的な恨みから元組員に射殺されてしまいます。享年35歳でした。愛する夫の意志を引き継ぐため、妻であった松田芳子は関東松田組の組長となることを決意します。事実は小説より奇なり、このような経緯によって日本初の女性組長は誕生しました。

当時、芳子は29歳。この状況を組織の弱体化とみた敵対組織は権利剥奪を目的に建設現場や事務所を襲撃してきます。多くの死傷者が出る中、芳子は親交のあるヤクザ組織に協力を要請して見事に対抗。地元商店街も様々な形で協力したといわれています。

抗争が続く中、10台近いトラックに分乗した敵対組織を発見、極秘に入手していた航空機用の機関銃を乱射しようと試みます。この事件は機関銃の故障によって未遂に終わり、米軍の装甲車部隊に囲まれることで鎮圧されます。

「カイ・カン!!」とは言えなかったようですが、まさに『セーラー服と機関銃』の世界です。 しかし、この力技を見せつけられた敵対組織は手を引き、関東松田組の勝利として抗争は終結します。

この抗争から1年後、芳子は子分たちと共に宣誓式を行って、関東松田組を解散。その後は飲食事業などを手掛けるも、39歳の若さで亡くなっています。こんな日本初の女性組長のことは、心の隅にでも小さくメモしておきたい話です。(文中敬称略)

文・しのたいき

記事制作 : dmenu映画