3分でわかる「おそ松さん」はなぜ女子にウケたのか

コラム

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文=熊坂多恵

誰もがこんなブームを想像しなかった「おそ松さん」の放送が始まったのは2015年10月。 深夜枠ながらじわじわと人気は高まり、グッズ展開や雑誌の特集ラッシュなどの話題もあいまって、女子を中心とした「おそ松さん」ブームが巻き起こった。

原作は、伝説的ギャグ「シェー」を生んだ赤塚不二夫のマンガ「おそ松くん」。その主人公である6つ子が、大人になってもニートというオリジナルストーリーだ。

もともとはそっくり同じだった6つ子それぞれに、強烈な個性を与えたのがウケた。しかも全員ダメ男。
長男・おそ松は、競馬とパチンコが大好きな奇跡的バカ。
次男・カラ松は、グラサン装備で“俺はかっこいい”勘違いがイタい。
三男・チョロ松は、アイドルオタクで女の子には対応不能。
四男・一松は、半目猫背で言語不明瞭、時々猫男に変身する。
五男・十四松は、言動と行動が規格外すぎるアニマル
六男・トド松は、あざとくかわいい末っ子。

ニート6人のくだらないやり合いがどんどんエスカレートし、強烈な毒のあるギャグ、下ネタ、不条理オチ、時々思いだしたようにぶちこまれる兄弟愛や人情物語、毎回、あっという間の30分だった。

キャラクターやビジュアルも変幻自在。6人がそれぞれ妙齢のこじらせ女子になったり、8頭身キラキラ美青年キャラで登場したりと、チャンネルを間違えたかとあせってしまうほど。そこでひくか、それを自由だ、挑戦的だと受け止めるかは見る人次第だ。

女子受けしたのは、「チーム男子」的な楽しみ方があるからだろう。それぞれお気に入りのキャラを「推し松」と呼んで、非公式ながら人気投票「推し松総選挙」が行われたり、兄弟それぞれの関係性を深読みしたりするのが楽しい。

特別かっこよくはないけれど、6つ子はいま流行りの塩顔!? 風で、かわいい、ゆるい、笑える、ツッコこめる、というモテ要素を完備している。6つ子の愛を一身に受ける(?)ヒロイン役のトト子も、見た目はかわいいのに性格は最悪、そこを隠さない豪快キャラで、今どき女子に受けた。

もともとシンプルでキュートなキャラクターデザインの6つ子には、「おそ松さん」でそれぞれテーマカラーが付けられ、グッズ化との親和性が高い。オフィシャルグッズのひとつ、「松パーカー」はあっという間に売り切れ、再販されても手に入らなかったファンも多いとか。コラボ展開もこれでもかというほどで、侍ジャパン、渋谷パルコ、東急電鉄、ナンジャタウン、厚生労働省(!)などなど、ファンは追いかけるのに必死だ。DVD・Blu-ray第1巻は発売初週で約8万枚売れ、「おそ松さん」を特集したアニメ雑誌「月刊アニメージュ」や「PASH!」は重版となり、その経済効果は70億円ともいわれている。そして「おそ松さん」ブームはまだまだ続く。

4月6日発売の雑誌「ダ・ヴィンチ」では、大泉洋と6つ子が表紙を飾り、大特集で「おそ松さん」ブームを検証。5月8日には幕張メッセで「おそ松さん」スペシャルイベ ント開催、そのライブビューイングが全国の映画館で決行される。「an・an」は、5月11日発売号の“表紙に「おそ松さん」登場!!”と告知。まさか6つ子が、ジャニーズやK-POPスターなどと肩を並べる(?)日がこようとは。

1週間が始まってちょっとゲンナリした月曜の夜に、ふっと力が抜けるような笑いをくれた「おそ松さん」。おバカでかわいい男子6人が全力でモラトリアムしている世界は、まじめに働く女子の憧れなのかもしれない。
メジャーよりちょっとひねったものが好きな女子にはたまらない癒し系コンテンツ、「おそ松さん」よ、永遠に!

 

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)