名曲の世界観を映像で楽しむ…歌が元ネタの日本映画特集

コラム

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聴くと元気が出たり、昔の恋愛に浸れたり、あるいは、故人を思い出したり…。優れた音楽というのは、聴き手に何等かの感情を喚起するものです。秀逸なメロディや歌詞は、多彩なジャンルのクリエイターの手にかかり、二次創作物へと転換されるケースさえもあります。所謂、「インスパイアされる」というやつです。音楽から音楽への変換もあれば、音楽から小説、映像作品が生まれる場合もあり、そういった相関関係が分かると、より、それら影響し合っている作品の魅力を堪能できるというものです。ここでは、そんなふうに歌を元ネタにして制作された、ドラマ・映画をいくつか紹介していきます。

■ノルウェイの森 2010年公開

村上春樹の同名小説を、松山ケンイチ・菊地凛子・水原希子というキャストで映画化して話題となった『ノルウェイの森』。元ネタとなったのは、ビートルズの楽曲『Norwegian Wood』であり、本作の主題歌としても使用されています。日本で『Norwegian Wood』が発表された際の邦訳が『ノルウェーの森』なのですが、この邦題、語学的には間違っているとのこと。正しくは「ノルウェー製の家具」「ノルウェイ材の部屋」という方が、本来の意味と近いそうです。
しかし、「この曲を聴くと、深い森の中を迷っているような気分になるの」という劇中でのセリフがあるように、『Norwegian Wood』はどことなく幻想的な雰囲気の曲で、まるで、感情の隘路に彷徨う登場人物たちの心の波長を唄っているかのような、不安定なメロディラインです。意味は通らずとも、やはり「森」の方が良さそうな気がします。
ちなみに、原作者の村上春樹は、ビートルズの『サージェントペパーズ』のアルバムを120回くらいリピートしながら、『ノルウェイの森』を書き上げたのだとか。『Norwegian Wood』じゃないのかよ!

■夜明けの街で 2011年公開

「僕はサザンオールスターズの『LOVE AFFAIR ~秘密のデート~』がすごく好きで、あれをカラオケで歌っている時に“この世界を小説にしたいな”と思ったんです」。小説家の東野圭吾は、かつてインタビューでこう語りました。その思いを結実させた作品が『夜明けの街で』です。2011年には、岸谷五郎と深田恭子で映画化もされました。
『LOVE AFFAIR』は不倫愛を歌ったサザンの名曲ですが、その曲にインスパイアされているだけあって、『夜明けの街で』のテーマも不倫。上司である岸谷五郎を誘惑する、部下の深田恭子が何とも蠱惑的です。劇中ではところどころに、横浜のデートスポットを唄った歌詞に沿うシーンが出てくるので、サザンファンならば、思わずニヤリとすることでしょう。

■浅草キッドの『浅草キッド』 2002年公開

『浅草キッド』というと芸人の方が、真っ先に頭に浮かぶかもしれませんが、楽曲と小説のタイトルにもなっていることをご存知でしょうか? 制作者は当然、芸人・浅草キッドのゴッドファーザーである、殿ことビートたけし。どちらの『浅草キッド』も、たけしが自身の下積み時代を述懐して書かれたものであり、芸人として売れようと、夢を追う若き日の彼と仲間の姿が、情緒豊かに描かれています。映画はこの小説と楽曲をモチーフにつくられており、主演はもちろん、芸人の浅草キッド。水道橋博士が、若き日のたけしを熱演しています。
ちなみに、楽曲の方の『浅草キッド』は、涙なくしては聴けない名曲。たけしの上手くも下手でもない嗄れ声で唄われるこの曲は、何ともいえない味わい深さがあり、グッとくること請け合いです。

いかがでしたか? 曲を聴いてから映画を観てもよし、映画を観てから曲を聴いてもよし。ぜひ、レンタルショップでどちらも借りて、作品世界にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか?

文●ロックスター小島

記事制作 : dmenu映画