主役を代えて大ヒット!ディズニー映画の舞台裏を知るジャレド・ブッシュ、単独インタビュー

インタビュー

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ディズニー・アニメーション映画最新作『ズートピア』の勢いが止まらない! 日本より先に公開された全米では、『アナと雪の女王』『ベイマックス』を超えて、ディズニー・アニメーション史上No.1のオープニング記録し、3週連続で首位を獲得。本作は、動物たちが人間のように暮らすハイテク文明社会、“ズートピア”を舞台に、ヒロインでウサギのジュディが、連続失踪事件を捜査しながら警察官になる夢をかなえようと奮闘する物語。ディズニー・アニメーション映画が、なぜこれほどに世界中の人々の胸を打つ作品を作り続けることができるのか? 本作のディベロップメント(制作)を担当したジャレド・ブッシュ氏(共同監督/ストーリー/脚本)にお話を伺った。

Q:脚本の全体像のディベロップメントと、キャラクターの性格の構築を担当されたそうですね。ディベロップメントとは、具体的にはどのようなお仕事でしょう?
僕がこのプロジェクトに関わって4年半が経つんだけど、当初は動物が活躍するスパイ映画で、ズートピアは最初の10分ぐらいしか登場しなかったんだ。その後、社内でクリエイターたちが話し合った結果、魅力的な舞台であるズートピアで、全編を通して物語を展開することになったんだ。ズートピアでキャラクターたちが物語を展開するにはどうしたらよいか、という詳細を考えるのが僕の仕事。キャラクターの性格や目的を達成するための行動など、脚本に肉付けをしていくんだ。1700回は書き直しをしたよ。

Q:2014年11月に実施したテスト試写の結果が思わしくないため、主役をキツネのニックからウサギのジュディに変更したそうですね。大幅な変更で現場が混乱することはなかったですか?
テスト試写と聞くと半分以上出来ていたように感じるかもしれないけど、主に絵コンテを編集したビデオを上映するもので、こういった試写は全部で12回行った。そのうちの6、7回目の段階での決定だったから、混乱はなかったよ。僕にとっては最もエキサイティングな日々だった。当初のニックとジュディのキャラクター設定に納得がいかなかったからね。考え抜いたある日、彼女が欠点を克服する物語に変えれば、彼女を無理なく主役に出来るとひらめいたんだ。

Q:ハーバード大学では英米文学を学んだそうですね。タイトルは、トマス・モアの「ユートピア」を思い起こさせます。さらには、動物が社会を形成している物語ということで、ジョージ・オーウェルの「1984」「動物農場」に影響を受けたことは?
やはり、これらの作品には影響を受けたよ。『ズートピア』というタイトルは、監督のバイロン・ハワードのアイデアだった。「ユートピア」と同じように、表面上は「ユートピア」に見えるのに中ではいろんな出来事が起きていて、パーフェクトではない。それは人間社会も同じだよね? 僕らは本作に登場する動物のキャラクターたちを通して人間社会を描きたかった。動物同士が抱えている先入観は、僕らが人間に対して持っているものと変わりないんだよ。

Q:日本で行われた試写では、免許センターの役人が全員ナマケモノというシーンが大受けでした。このエピソードは実体験から?
特定の人物の体験ではないけれど、本作の脚本作りに関わったスタッフのひとりであるジム・リアデンが、免許センターの担当者がナマケモノという設定は面白いんじゃないかと言い出したんだ。アメリカのDMV(Department of Motor Vehiclesの略。日本では運転免許センターに相当)は行列が長くて、ものすごく待たされることで有名。せっかちなジュディとのんびり屋さんのナマケモノの対比が面白そうだと思って、そのアイデアを脚本に入れたんだ。

Q:ジャレドさんはこれまでにNBCや20世紀フォックスなどが手掛けた作品に関わっていらっしゃいます。エンタメ業界の大手で働いた経験を持つあなたから見て、クリエイターたちが一堂に集まって意見をぶつけ合うディズニー独自のシステム“ストーリー・トラスト”についてどうお考えですか?
“ストーリー・トラスト”は、ジョン・ラセターが考え出したシステムなんだけど、もっとも素晴らしい体験だったね。僕はアメリカのTV業界出身で、TV時代にも何人かのクリエイターが集まって意見を出し合うことはあった。それをもっと大きい形で行っているのが、“ストーリー・トラスト”。ディズニー・アニメーション・スタジオが生み出す作品は、すべてのディズニー・アニメーションに影響を与える。ディズニー・アニメーションを特別なものにしたいという気持ちから、担当外の作品であってもみんなが意見を出し合うんだ。僕はこのシステムが大好きで、このシステムがあるからこそ、ディズニーを離れたくないとさえ思っている。“ストーリー・トラスト”にエゴは全くない。真の意味のコラボレーションなんだ。人によっては、大嫌いなシステムかもしれないけどね(笑)

取材・文/田嶋真理

『ズートピア』4月23日(土)より全国公開
声の出演/上戸彩、サバンナ 高橋茂雄ほか
監督/バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
共同監督/ジャレド・ブッシュ
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記事制作 : dmenu映画