ある意味心に残る? 後味の悪い映画

コラム

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みんな笑顔のハッピーエンドを見たあとは、心もほっこり温まります。でも人間って不思議ですよね。ときどき気分がものすご~く沈む物語に浸りたくなるんですから……。悪役だけが笑うラスト? それとも登場人物全滅? ついつい見てしまう、後味の悪い映画を集めてみました。

■『ファニーゲーム』(監督:ミヒャエル・ハネケ)

平和な一家のもとに、「卵を分けてくれないか」と見知らぬ青年たちが訪れる。始めこそ礼儀正しかった彼らだが、徐々に残忍な本性を現していき、一家に恐ろしいゲームを持ちかける――。

1997年にカンヌ国際映画祭に出品された際、不快感で席を立つ観客が続出したスリラー。幼い子供もいる幸せな一家が理不尽な暴力にさらされるなんて……。ただハネケ監督は、暴力描写で快楽を得るようなハリウッド映画へのアンチテーゼとして本作を撮影したことを公言しています。その発言を踏まえると、本当はただ「怖い! 嫌だ!」で終わらせるべきではない作品なのでしょう。

■『ミスト』(監督:フランク・ダラボン)

突然の霧に街が覆いつくされ、父子はスーパーマーケットに閉じ込められる。霧の中には謎の怪物が潜んでいるようで、人々は次々に襲われていく。スティーヴン・キング原作のホラー。

原作とは異なるオリジナル・エンディングが「衝撃のラスト15分」と話題を呼びました。極限状態のなかで人はどこまで正しい選択ができるのか? 父親の決意の果てには無常さが待っていました。

■『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(監督:ラース・フォン・トリアー)

セルマ(ビョーク)は視力が衰えていく病気を抱える息子の手術費用を稼ぐため、工場で必死に働いている。しかしある事件でセルマは殺人犯となる――。

ミュージカルというと楽しいイメージですが、本作はネット上で「見なければよかった」という声まで上がるほど重い内容。ビョークが手がけた音楽に美しい歌声、幻想的な映像だからこそ、生々しいラストシーンがショッキングです。

■『縞模様のパジャマの少年』(監督:マーク・ハーマン)

第2次世界大戦下のドイツで、ナチス将校を父にもつ8歳のブルーノはある日、森の奥でフェンスの向こう側に住む同い年のシュムールと出会う。ふたりは友情を育んでいくが――。

ホロコーストを描いた人間ドラマです。「絶対こうならないで!」と願う方向に物語がどんどん進んでいく恐ろしさ……。少年たちの友情がほほえましいものだからこそ、プッツリ急に切断されたようなラストに放心。

■『オールド・ボーイ』(監督:パク・チャヌク)

平凡なサラリーマンのオ・デス(チェ・ミンシク)はある夜さらわれて、15年間監禁される。突然解放された彼は、自分が監禁された真相を突き止めるべく動き出す。

拷問などの過激な描写もさることながら、精神的にもズシンときます。悪いのは誰なのか? 不幸なのは誰なのか? それぞれが抱える罪とは? 登場人物ふたりが抱きしめあうラストシーンは美しくも、「それでいいの?」とモヤモヤした思いが残ります。

後味が悪い=心に残る印象深さ?

なんでわざわざ嫌な思いをするために映画を見るんだろうという気持ちも確かにあります。ただ後味が悪いということは、それだけ心に残り続ける作品ということ。また普通に生きていれば感じないような複雑な感情を抱くというのも、たまには心にとっていいことかもしれません。「正しいのかもしれないけど不快」「気持ち悪いけど正解なのかもしれない」という思いを知ることで、思考や感情にどんどん奥行きが生まれるのでしょう。

ただし! これらの映画は鑑賞後、しばらく落ち込んでしまうこと必至……。翌日がお休みの日に見るのがオススメですよ!

(文/原田美紗@HEW)

記事制作 : dmenu映画