『アイアムアヒーロー』大泉洋 インタビュー

インタビュー

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

熱演し過ぎて車にひかれた

1
映画『アイアムアヒーロー』は4月23日より全国公開

謎の感染症で人が異形に変わっていくパニックワールドで、生き残りをかけて逃げ惑うさえないダメ男の英雄(ひでお)にふんした大泉洋。人気コミック原作の新感覚エンターテインメント作品で、彼が挑んだ過酷な撮影とは?

日本では撮影不可能なスケール感

2

Q:パニックホラーというジャンルは初挑戦になりますね。

役者というのは、今までやったことのないことができるのが何よりもうれしいわけです。特に日本では、このジャンルの本格的な大作はないですからね。オファーをいただいたときは、関係者のみなさんの本気を感じてワクワクしました。僕の役はものすごくうだつの上がらないマンガ家アシスタントの英雄で、これまで演じた役からも想像がつく感じなんですが(笑)、「最後のシーンの立ち姿にカッコよさがないといけない。そこが大泉さんで想像できたのでオファーしました」と佐藤(信介)監督がおっしゃってくださったのが、うれしかったですね。

Q:戦う相手となるZQN(ゾキュン)は、体や顔が崩れていたり血まみれだったりしていますが、怖かったり気持ち悪かったりはしませんでしたか?

怖いよりメイクや造詣がものすごいクオリティーだとしか思わなかったです。中途半端なものになると寂しいと思っていたのですが、「ここまでやるのか!」と驚きました。とにかく、これまで自分が参加した作品の中でも圧倒的にスケールが大きかったですね。ZQNだらけになる後半のアウトレットモールのシーンは韓国で撮影していて、韓国のエキストラさんたちも演じてくれているんですが、みなさん見事にお芝居していて、韓国の役者の層の厚さを感じました。高速道路のカーアクションも韓国で撮っていまして、走っている車が違う車にどーんとぶつかって、さらにそれが何回転もするなんて、日本では絶対できない動きですよ。

ヘアースタイルのこだわり

3

Q:英雄を演じる上で気を付けた点はありますか?

小説と違ってマンガは絵がありますから、なるべく近づけたいと思いました。英雄は天パー(天然パーマの略)ではないので(笑)、帽子を取ったときはストレートな髪型にしないといけない。でも不思議なもので、帽子をかぶった状態だとウェーブがないと似ないんです。だから、かぶったときと脱いだときではヘアチェンジが必要で、それに毎回40分くらい掛かりました(笑)。演技の面では英雄の成長物語なので、ダメな男が必死に戦う姿が最後にカッコよく見えるといいなとは思っていました。そこまでは、びびったり怖がったり驚いたりしかなかったですけど(笑)。マネージャーにやたら「大泉さんの逃げ惑う姿とおびえる表情が最高です!」とほめられました(笑)。

Q:監督からはどんな演技指導があったのでしょうか。

監督はとても穏やかな方で、あまり「こうしてください」とはおっしゃらないんです。ただ、淡々と無数のカットを延々と撮り続ける。どんなに危ないシーンでも何回もやりました。オープニングシーンで上からZQNが落ちてきたり、タクシーが突っ込んできたりする中を僕が逃げ続けるというシーンをノーカットで撮ったんですが、僕は同じ道を5、6回は走りました。「もう少し早くタクシーに突っ込んでほしい」と言われて、あまりにギリギリを狙い過ぎたため、一度ひかれましたよ、車に(笑)。もちろん、ケガにはいたらない速度でしたけど。

Q:役者は過酷な仕事ですね。

本当ですよ。バラエティー番組「水曜どうでしょう」なんて、口ではキツイとかいろいろ言っていますけど、はっきり言ってバラエティー番組の罰ゲームより役者の仕事の方が時には何倍もキツいです(笑)。例えば真冬の川に入るにしても、バラエティーなら笑いもとれるし、ぼやいているところも使ってもらえますが、役者は何も文句を言わずに入らなきゃならないわけです(笑)。今回は特に、終わらないんじゃないかと思うくらい、延々と撮影が続きました。韓国で1か月くらい家族と離れていたのもあって、本当につらかった部分もあります。でも、監督は映画を面白くする人だという絶対的な信頼があるので、ついていけました。

観客賞を受賞したことは誇り

Q:昨年は『駆込み女と駆出し男』で映画賞をいくつか受賞されましたが、俳優としての手応えを感じられましたか?

手応えは特にないですが、自分が賞に恥じないお芝居をしていかなきゃいけないという責任みたいなものを背負った感じはしています。ただ、具体的に作品選びが変わったりはしていませんし、今後もそのときの自分がやりたい役、必要な役を選んでやらせていただくと思います。

Q:プレッシャーや怖さを感じたりはしますか?

人に見られる仕事ですから、それは付き物です。非常に怖い商売ですよね。僕らの仕事は審査員が評価するのではなくて、一般の人がどう思うかで決まりますし、ある意味それは非常にわかりやすく伝わってきます。僕がこの映画ですごくうれしいのは、スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭とポルトガルのポルト国際映画祭の二つで観客賞をいただけたことです。お客さんが一番面白いと選んでくれたことは、すごく誇れることだと思います。さらにベルギーのブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭でグランプリ(ゴールデンレイヴン賞)を受賞したので、三大ファンタスティック系映画祭制覇です! こういうジャンルが苦手な方はいると思いますけど、この作品はどちらかというとハリウッドの大作映画の雰囲気なので、明るく観てもらえるアクションムービーだと思います。観終わった後に爽快感を感じるだろうし、「面白かった!」と言わせる自信はあります!

取材・文: 早川あゆみ 写真: 杉映貴子

記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)