三谷幸喜、「真田丸」で『ギャラクシー街道』の鬱憤を晴らす!?

コラム

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文=高村尚

三谷幸喜脚本の「真田丸」が内容、視聴率ともに好調だ。15話の放送が終わったところまでの平均視聴率は17.71%。同じく三谷脚本の大河ドラマ「新選組!」を超え、「江」に並ぶ好成績となっており、視聴者の心をつかんでいることがわかる。


堺雅人が演じる真田信繁

映像業界関係者の間でも、「真田丸」の脚本に対する評価は高く、集まると同ドラマの話になることが多い。

よくあげられることだが、まずドラマを展開させる要素として、草刈正雄演じる信繁の父・真田昌幸の配し方が素晴しい。嘘つきで人をはめることしか考えてない人物だが憎めないキャラである彼に、信繁(堺雅人)、信幸(大泉洋)ら子ども、戦国武将らを翻弄させる。そして彼らの物語を信長亡きあと関東で繰り広げられた、あまり知られていない“天正壬午の乱”に沿って描いたことで、これまでの大河ドラマとはひと味もふた味も異なるものへと昇華させた。もちろん三谷脚本ゆえの笑いも見どころのひとつだが、それ以上にこの先どうなるのか、早く次の回を見たいと思わせる構成のほうに重きを置き、始まったらあっという間に45分と感じられるよう、注力している。

皆がよく知る歴史を“1次創作物”だとしたら、僕がやっているのは“2次創作物”を作ることだと、三谷はかつて発言している。2次創作物を作ることとはすなわち、歴史という1次創作物をひっくり返し、思いもよらない角度から別視点を与える仕事だ。教科書に載る年号と組みになった“歴史”を、豊かで奥深くて面白いコンテンツにする。歴史に限らず、三谷の仕事の多くは1次創作物をきちんと理解したうえで、新たな解釈を加え、全く新しい作品に仕上げるものが多い。「真田丸」はまさにその王道を行く作品ともいえる。だからこそ、安心して見られるのだ。

昨年秋に公開された三谷幸喜脚本・監督のSFロマンティックコメディ映画『ギャラクシー街道』(5月3日DVD/Blu-ray発売)は、興行成績こそ13.2億円の大ヒットだったが、ネット上には酷評の嵐が吹き荒れた。それを受け、メディアからも2016年の大河ドラマ「真田丸」の出来を危ぶむ報道が出た。だがそれも「完全に杞憂に終わった」と映像業界関係者は声をそろえる。同作は三谷が、「トムとジェリー」のハンナ・バーベラ風アニメーションや「奥さまは魔女」風のオープニング、SFファミリードラマ「宇宙家族ロビンソン」風設定、映画『お熱いのがお好き』や『駅馬車』『バグダッド・カフェ』のシチュエーションなど、特にやってみたかったもの、大好きなものの要素を集めて作った作品だっただけに、散々な評価は「ショックといえばショック」だったようだ。


遠藤憲一が演じる上杉景勝

『ステキな金縛り』の更科六兵衛(西田敏行)が『清須会議』に、『THE 有頂天ホテル』のヨーコ(篠原涼子)が『ステキな金縛り』に登場したりと、どこか世界観がつながることの多い三谷作品。三谷ならではの遊びなのだが、「真田丸」でも『ギャラクシー街道』の鬱憤を晴らすような遊びをどうやら描いているようだ。伝聞ではあるが、それは「遠藤憲一さんの涙目」なのだとか。「真田丸」では戦国武将・上杉景勝を、『ギャラクシー街道』では両性具有のスペースリフォーム業者メンデスを演じた遠藤憲一が、どう世界観を共有しているのかは、ぜひ作品を見て判断してほしい。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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