国会前に12万人集めてしまった学生たち、SEALDsの素顔とは?

コラム

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文=松本典子

『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』

期待の星たち? 胡散臭い政治フェチ?
素顔でデモする学生たちの日常、そしてこれから。

SEALDs
映画『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』
(C)2016 sky-key factory, Takashi NISHIHARA

北海道が54.99%、京都が30.12%。衆議院補欠選挙での投票率、お世辞にも高いとは言えませんでしたね。まあ、最近は投票率といえば低いもの、という印象がついてしまっているわけですが、昭和の世では大抵70%を超えていたというのだから“世の中は変わった”のかもしれません。

私ひとりが選挙に行って何かが変わるわけでもないし……。もしも、あなたがそう思っていたとしても、「んなわけないでしょ!」と“変わり始めている” 下の世代がいることはご存知ですよね。SEALDs(シールズ)、Students Emergency Action for Liberal Democracy–sの略。集団的自衛権の行使容認を含む安保法案が成立して、もしかしたら戦争に巻き込まれる世代、我々か子どもたちかも???と危機感を持った大学生が中心になって発足した学生団体です。テレビのワイドショーなどでも少し話題になりました。

彼らの活動を半年にわたって追いかけたドキュメンタリー映画が『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』。SEALDsって何なのかが大体理解できそうな一本です。「なんだか胡散臭い」「どこかの政党や企業からお金もらってやってんじゃないの?」という噂が気になっている人ならば、その真偽を確かめるために見てもいいんじゃないかと思います。彼らがどんなふうに活動資金を調達したり、看板やパンフレット作ったり、スピーチ練ったり、集まったりしているか……など、いろいろと垣間見られます。素顔のニュアンスは活字より映像が判りやすいじゃないですか。

国会で「寝ないでくださいね」と諭す奥田君とか、
オフビートでラップするU.C.Dこと牛田君とか

SEALDs
映画『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』
(C)2016 sky-key factory, Takashi NISHIHARA

SEALDsには、いろいろな学生が参加しています。目立っているのは(参院特別委員会の中央公聴会に公述人として出席、「寝ている方がたくさんおられるので、もしよろしければですね、お話を聞いていただければと思います」と議員たちにていねいにお願いしていた!)奥田愛基(あき)君ですが、彼は代表やリーダーではありません。ちなみにこの団体、代表は存在しないのです。それぞれが自分の考えとか状況とか環境に基づいて活動するのが大原則の、“個人の集まり”であるってとこ。わりと重要なポイントです。

奥田君以外のメンバーたちも、映像はていねいに捉えています。例えば、牛田悦正(よしまさ)君はU.C.D.名義でラッパーとして音楽活動にも精を出す学生。コール&レスポンスなデモコールを輸入したり、SEALDsらしいノリのいいコールを作り出した中心人物です。「民主主義ってなんだ!」「これだ!」とかの掛け合い、かつてのデモには絶対なかったし。ましてや裏拍(オフビート)でラップなんて。

学費稼ぐためにバイトしなくちゃいけないしSEALDsやめようと思ったこともあった、という牛田君。なぜ続けるのか? という問いに対して、「(民主主義を勝ち取ってきた先人たちから、バトンみたいなものを)何だか……“受け取っちゃった”んですよねぇ」とポツリ答える姿が印象的でした。

SEALDs
映画『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』
(C)2016 sky-key factory, Takashi NISHIHARA

2015年6月5日、「本当に止める」をスローガンに本格始動したSEALDs呼びかけによる「戦争立法に反対する国会前抗議行動」は、約500人から翌週12日には約1000人へ、衆院通過前夜の7月15日には約10万人(警察発表は7~8000人)、そして8月30日の「大行動」には約12万人(同3万人)と確実に動員数を増やし、大きなムーブメントとなっていきました。が、それでも安保法案は参院でも可決、法制化へ。

夏の参院選に向けて再始動、
SEALDsが凹んだりしてない理由

安保法案可決といういわば大挫折を味わったものの、12月には2016年夏の参院選に向けて野党統一候補を支援する市民連合に与することを発表し、新たなフェイズへと進むSEALDs(実は、そもそもの結成目的はここにあったのだが)。選挙行こう! と呼びかけます。

凹んだり萎んだりする気配はゼロ。前しか向いてない。それは、彼らが半年間のアクションを経て、心底実感できたからに他なりません。民主主義には「ここで終わり、完成」なんてものは無いし、自分たちもバトンを受け取ったし、次の誰かがまた継いでくれるはずなんだと。事実、高校生によるT-ns SOUL(ティーンズソウル)はSEALDsの後に続いているし、もしかしたら彼らよりもさらにスマートでチャーミングなスタイルで活動を始めています。

SEALDs
映画『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』
(C)2016 sky-key factory, Takashi NISHIHARA

参院選(あるいは衆参同時選?)を前にあなたが変わるかどうか……は、まあ、本作を見た後にでもじっくりと考えてみてくださいね。

この記事で紹介している作品

『わたしの自由について ~SEALDs 2015~』
監督・撮影・編集:西原孝至
配給:sky-key factory

5月14日より渋谷アップリンク(※)にてロードショー、ほか全国順次公開予定
※5月3日~10日先行上映あり、トークショーも
公式サイト:about-my-liberty.com

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)