『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が描く“組織論”

コラム

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『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
アイアンマン(右)とキャプテン・アメリカの対立が描かれる
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』

文=皆川ちか

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を皮切りに、2016年はアメコミ映画が目白押し。特に熱い注目を浴びているのが、間もなく公開される『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』だ。『アベンジャーズ』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に続く、マーベル・コミックのヒーローたちが一堂に会するオールスター映画となっているけれど、本作には、これら2作品とは決定的に異なる点がある。

それは、敵が外敵ではなく内敵となっていること。

“シビル・ウォー(civil war)”とは英語で内戦を意味する。そのタイトルに象徴されているように、今回の戦いは、外からの敵に対してヒーローたちが一致団結、力を合わせて共闘するのではなく、ヒーロー同士の“内戦”、いわば身内同士の骨肉の争いとなっている。

ヒーローチーム“アベンジャーズ”が活躍すればするほど、一般市民への被害も甚大になっていくことを考慮して、国連の管理下に自分たちの身を置こうと考えるアイアンマン。それに対し、断固として拒絶するキャプテン・アメリカ。前者の主張は、他者と妥協をすることで自分たちの自由をも確保でき、それによって“アベンジャーズ”という組織が存続していけるはず、というもの。一方、後者の主張は、自らの行動を決めるのは、あくまでも自分自身。その自由なくしての“アベンジャーズ”には意味がない! というもの。

組織の存続を第一に考えるアイアンマンの理念と、個人の自由を何よりも重んじるキャプテン・アメリカの理想は平行線をたどり、ついに“アベンジャーズ”はアイアンマン側とキャプテン・アメリカ側に二分される内部分裂にまで発展。肉弾戦の形を借りた派閥抗争が勃発する……って、会社のお家騒動か!

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
チーム アイアンマンとして顔を揃えたのは
(左から)ブラックパンサー、ヴィジョン、アイアンマン、
ブラック・ウィドウ、ウォーマシンら

たとえるなら(株)アベンジャーズの社長であるアイアンマンとしては、自社ブランドの存続と社員の生活を守るためなら吸収合併も止む無し。対して、(株)アベンジャーズの社員であることに誇りをもつ若手キャプテン・アメリカは、ベンチャー企業であるからこそ自社ブランドには意味がある、と提唱する。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
チーム キャプテン・アメリカには、
(左から)ホークアイ、スカーレット・ウィッチ、
キャプテン・アメリカ、ウィンター・ソルジャーらが集結

組織を守る立場にある者と、独立性を尊ぶ立場にある者。会社を愛する心は変わらないのに、立ち位置が異なるがゆえに、考え方も異なってしまう。そして、身内同士であるからこそ、いったん対立したら、その争いはどこまでも苛烈になる。

家具業界、ラーメン業界、鞄業界etc.と、現実社会で起きているさまざまな企業における“シビル・ウォー”の図式が、そのまま当てはまるかのような構成である本作。スケールの大きなSF超大作であると同時に、会社における組織論映画ともなっており、『猿の惑星』然り、『マッドマックス』然り、優れたSFがおしなべてそうであるように、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』もまた、私たちの生きている社会を鮮やかに反映している。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
4月29日(金)全国ロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
©2016 Marvel.
公式サイト:Marvel-japan.jp/Civilwar

この記事で紹介している作品

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』
『アベンジャーズ』
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)