男は40代からだ! 映画『64-ロクヨン-』は”渋い男祭り”がたまらない

コラム

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文=熊坂多恵

昭和の最後、たった7日間しかなかった昭和64年に起こった未解決誘拐事件と、それに関わり、人生を狂わせられたともいえる人々のその後を描く映画『64-ロクヨン-前編/後編』。真犯人に迫る謎解きや、警察内部の権力争い、家族愛や人間ドラマに魅了されると同時に、オールスターキャストで描かれる男たちのせつない生き様に息をのみます。

とにかくあっちにもこっちにも、気になる顔ぶれが登場しまくり! 若手もいますが特に40代からの“渋い男祭り”がたまりません。ここではシリアスなドラマの中でもグッとくる、渋い大人の男たちの魅力をご紹介します。


(C)2016映画「64」製作委員会

まずは主人公から! 昭和64年の誘拐事件、通称「ロクヨン」の捜査に加わり、現在は広報官として記者クラブの対応に追われる主人公の三上を演じるのは佐藤浩市。深く響くいい声、頼りたくなる男っぽさを感じさせる俳優ですが、今回の役は広報官として、仕事では記者や上司と対立し、家庭では娘が家出と、ギリギリの精神状態に追い詰められ、そこから思わず漏れる弱さや涙、妻や娘への想い、不器用でもまっすぐ生きようとする男を演じていて、その姿にキューンとなります。


(C)2016映画「64」製作委員会

三上がシンパシーを感じている、「ロクヨン」で誘拐された少女の父親役に永瀬正敏。年を重ねてなお、自由で軽やか、真摯で誠実でかっこいい、人の強さも弱さも自然に演じて見せる永瀬さんは今回、娘を失い、後に妻も失い、たった一人で過去に残された男を、絶望とそれを超えた何かを感じさせる圧倒的な存在感と静けさで演じています。

続いて、「ロクヨン」事件で自宅班として被害者の家に詰めていた刑事役に、吉岡秀隆と筒井道隆。40過ぎて年相応の深みや落ち着きが出てきたものの、素朴で実直なイメージを失わない二人に、このような映画で会えるとは、なんとも得した気持ちに。事件に縛られたまま生きる二人のやるせなさ、にじむ苦悩に胸がキュンキュンします! 

三上と同期ながら、器用に警察組織で権力を得ていく二渡を演じるのは、渋いのに爽やかという独特の雰囲気で、最近、悪そうな役も似合うようになってきた仲村トオル。コワモテで冷徹、しかし秘かに三上を思いやる姿勢も感じさせたりするあたりにやられてしいます。立ち姿も美しい!


(C)2016映画「64」製作委員会

そして究極のダンディズムを感じさせるのが、三上のかつての上司で、ともに「ロクヨン」を追った捜査一課長の松岡を演じる三浦友和。捜査第一の厳しい雰囲気ながら、三上やその妻をさりげなく気遣い、真実を追う三上をサポートする懐の深さはまさに理想の上司。三浦さんの渋さ、ストイックなイメージを前面にだし、ちょっとコミカルな味わいは封印しての演技にしびれます。

このほかにも、三上とともに「ロクヨン」を追った元刑事役で、赤井英和が朴訥でほわっとしたいい味を出していたり、「ロクヨン」を模倣した誘拐事件で娘を誘拐される父親役で、緒方直人がこれまでの穏やかなイメージとは違う狂気がかった演技を見せたり、奥田瑛二がゴリゴリの現場たたき上げの刑事部長役ながら、独特の色気をにじみ出していたり……。一瞬たりともスクリーンから目が離せません!

最高にハイレベルないぶし銀の輝きを持つ男たちの群像劇をお楽しみください。

 

『64-ロクヨン-前編/後編』
公開日:前編/5月7日 後編/6月11日
全国東宝系にてロードショー
(C)2016映画「64」製作委員会

 

この記事で紹介している作品

64-ロクヨン-前編
64-ロクヨン-後編

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)