聴覚障がい者の少女との交流描く『聲の形』 映画化への期待

コラム

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聴覚障がい者の少女との交流を描いた『聲の形』(著・大今良時)が、京都アニメーション制作で劇場アニメ化し、9月17日に全国公開されることが決定しました。「このマンガがすごい!2015」オトコ篇で1位を獲得し、「泣ける」と大評判になったこの作品。映画が公開されたら、日本中を感動の渦に包むことでしょう。

■一度はお蔵入りになった作品

『聲の形』は、石田将也と西宮硝子を中心とした人々の交流を描いた物語。将也は小学生のころ、聴覚障がいを抱える転校生の硝子をいじめていた。その後ある出来事をきっかけに一転していじめられっこの立場となった将也は、高校生となり、硝子と再会する――。

『週刊少年マガジン』で連載されていた同作品ですが、内容は“いじめ”に“障がい”と少年漫画誌連載とは思えないほどヘビーなものでした。もともと『聲の形』は、同誌の新人漫画賞の受賞作だったのですが、内容がきわどいとして掲載NGになってしまったという過去があります。それでも編集部員が惚れ込んで、講談社の法務部や弁護士、全日本ろうあ連盟と協議を重ねた結果、『別冊少年マガジン』に読み切りとして掲載されるに至りました。しかもその際、『進撃の巨人』を始めとした人気連載作を抑えて読者アンケートで人気1位を獲得。その後リメイク版が『週刊少年マガジン』に掲載され、こちらでも高評価を得た結果、2013年8月より同誌で週刊連載がスタートされました。

■手話がわかればニヤリ

ここまで聞いて、「お涙ちょうだいのために安易に聴覚障がいという設定を用いているのではないか」と疑う人もいるかもしれません。ですが『聲の形』は、「全日本ろうあ連盟と協議した」と先述した通り、障がいをただの“泣ける設定”として扱うようなことはしていません。

『聲の形』の大きな特徴として、漫画で手話を表現したことが挙げられます。将也と硝子は手話でやり取りをするのですが、作中で「なんとなくふたりが手を動かしている」のようなあいまいな表現で終わらせることはなく、見る人が見ればキチンと「こういう話をしているな」とわかるようなものになっています。そのためネット上では、『聲の形』に登場した手話の意味や詳しい使い方を解説するブログやTwitterアカウントなどが誕生し、読者が手話により関心を抱くのに一役買いました。実は大今氏の母親は手話通訳士なのですが、だからこそ手話を“特殊なコミュニケーション法”ではなく“日常会話”として生き生きと描くことができたのかもしれませんね。

■京アニ制作がピッタリな理由は……

2014年11月に完結した『聲の形』ですが、今年9月17日に劇場版アニメが公開されることが決定しました。制作を担当する京都アニメーションといえば、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『けいおん!』などの楽器演奏シーンで好評を博した、つまり手元の細かい動きまで表現できるほどの作画レベルの高さに定評のあるスタジオです。ということは、『聲の形』の特徴である、手話での会話シーンだってお手の物なはず。指先から感情が伝わる繊細な表現が期待できそうです。なお劇場版の監督は、映画『たまこラブストーリー』(2014年)で「文化庁メディア芸術祭」アニメーション部門新人賞を獲得した山田尚子、脚本は「ガールズ&パンツァー」などを手がける吉田玲子、キャラクターデザインは西屋太志が担当します。

『聲の形』原作も絶賛ばかりされていたわけではなく、もちろんさまざまな批判もありました。ただ多くの人にとって関心の範囲外にいた聴覚障がいというものを描いた作品が、これだけ多くの人の間で議論を起こしたというだけでも大きな1歩ではないでしょうか? 映画化によって、さらに関心の輪が大きくなっていくことを祈りたいですね。

(文/原田美紗@HEW)

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記事制作 : dmenu映画

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