作品の成功は柳楽くん次第!?『ディストラクション・ベイビーズ』真利子哲也監督インタビュー

インタビュー

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『イエローキッド』や、大ブレイク直前のももいろクローバー出演の『NINIFUNI』など、若くしてカルト的人気を誇る新鋭・真利子哲也監督が、5月21日(土)公開の『ディストラクション・ベイビーズ』で商業映画デビューを果たします。
今回は、中毒者続出(!?)の真利子監督に、映像制作を始めたきっかけと、本作の魅力についてお話を伺ってきました。

ディストラクション・ベイビーズ真利子監督01

■鬼才・真利子監督、商業映画デビュー!

Q:本作で商業映画デビューですが、今の気持ちを聞かせください。

真利子監督:
ほっとしているというか…。
『ディストラクション・ベイビーズ』を作り上げることに集中していたので、作品が完成して一気に気が抜けてしまって、空っぽという感じですね(笑)。
今は、次はどうしようかというところまで頭回っていないのですが、少しずつシフトしていけたらと思っています。

Q:商業映画デビューまで、思い描いていたステップはありましたか?

真利子監督:
ステップとまでは考えていなかったです。
映像制作を始めたきっかけは、8mmカメラを知って、それをいじっていたところからですね。その時に撮りためたものをまとめていったら、映像作品になっていったという感じです。
その後は、作品を映画祭に出して、そこで人と知り合って、教えてもらって…。
自分なりにいろいろ考えてやっていたのですが、すごい先まで決めていたわけではないんです。ただその時々で、「これをやるべきかな」ということを選択をしていって、今に至るという感じですね。

■映像制作にハマった学生時代

法政大学卒業後、東京芸術大学大学院に進み、映像制作を学んだ経歴の持ち主でもあります。映像制作を始めたのは、法政大学在学中からとのこと。

Q:映像制作を始めようとしたきっかけは?

真利子監督:
大学生だった18歳の時、大学の先輩が8mmが好きで、影響を受けたのがスタートです。学生時代は、先輩と競い合うように撮っていました。

ディストラクション・ベイビーズ真利子監督02

Q:影響を受けた作品はありますか?

真利子監督:
8mmでいろいろ撮り始めて、1年くらい経ったとき、イメージ・フォーラムという学校に通い始めたんです。
その頃、実験映画を中心に観ていたのですが、伊藤高志監督の『SPACY』という映画に出会ったんです。静止画の写真で構成された映像なんですけど、単純なことなのに迫力があって、すごく面白くて、どうやって作るのかなと思いながら観ていました。

Q:2009年に発表した『イエローキッド』から本作までの6年間は、どんなことをしていましたか?

真利子監督:
『イエローキッド』公開直後から、プロレスの映画(ルチャリブレ)を企画していました。出演を想定していた役者さんにも体作りをしてもらったり、企画を進めていたんですけど、なかなかうまくいかなくて…。
いろいろ考えているときに、震災が起きて…。

『NINIFUNI』を撮影していたのは、震災の直前の2011年1月でした。
本当に結果論なんですけど、その頃「何か起きそう」というか、世紀末じゃないですけど鬱屈とした空気があって…。そういう空気を感じたことが『NINIFUNI』を撮った一つの動機だったんです。わからないけど、何か不穏だなっていう。

『NINIFUNI』撮影後は、震災が起きてしまい、上映しても意味ないんじゃないかとか考えさせられました。
震災前・震災後、具体的に“何が”というわけじゃないですけど、作るものや、一緒に作る仲間に対しての意識が変わったという気はします。

ディストラクション・ベイビーズ真利子監督03

■最新作『ディストラクション・ベイビーズ』で描いたもの

インタビュー中、本当に『ディストラクション・ベイビーズ』の監督なの!?と思ってしまうほど、物腰の柔らかい静かな印象の監督。実際は、好奇心旺盛でアグレッシブに動くタイプなのだそう。

Q:『ディストラクション・ベイビーズ』は、四国が舞台ですが選んだ理由は?

真利子監督:
ミュージックビデオを作る仕事をいただいていて、出演者が松山に住んでいて当時16歳だったんです。
僕は、松山にも行ったことないし、大人になってからは16歳と話す機会もなかったので、時間があるうちに、会わせてくれないかと言って、松山に行ったのがきっかけです。
取材を終えたその日の夜に、若い頃に喧嘩していた人と知り合いになって。はじめは単純に話がおもしろくて聞いていたら拳が嘘ついてなくて興味を持ち、撮影後も足運んでいるうちに、松山が好きになったので舞台に選びました。

Q:作品の中で“暴力”が描かれていますが。

真利子監督:
暴力って、映画の中に限らず、時と場合によって、とらえ方が変わるんですよね。悪いものではあるんですけど、世の中から暴力はなくならない。まずは“暴力”ってなんなんだろうという概念的な部分に、興味を持ったところがスタートでした。
“暴力”って何なんだろう、なんで興味を持ったんだろうという違和感を、『ディストラクション・ベイビーズ』を撮りながら主演の柳楽優弥くんの演じる泰良を通して一緒に考えていったのかなと思います。

ディストラクション・ベイビーズ『ディストラクション・ベイビーズ』 ©2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会

■映画界を担う若き才能が集結!

柳楽優弥さん、菅田将暉さん、小松菜奈さん、村上虹郎さんの出演に関して、思い描いていた通りのキャスティングだった語る真利子監督。
それぞれをキャスティングした際のエピソードを伺ってみました。

Q:キャスティングはどうやって決めましたか?

真利子監督:
主演の柳楽優弥くんに関しては、まだ泰良の役柄が決まる前から、一緒にやりたいと思って名前をあげていました。
菅田将暉くんに関しては、『そこのみにて光輝く』の主役をも凌駕する演技を観て、彼と一緒にやれたらいいなと興味を持っていました。
小松菜奈さんは、泰良という役を考えているときに、たまたま『渇き。』の予告編を観たんです。その予告編の中の小松さんが、女版泰良じゃないかと思って(笑)。
『渇き。』のビジュアルが出た時からずっと興味を持っていたので、小松さんにお願いしました。 虹郎はたまたまなんですけど、2014年に『ディストラクション・ベイビーズ』の企画プレゼンでカンヌに行ったときに、彼も『2つ目の窓』でカンヌに行っていたんです。
そこで挨拶をしたときに、大人になると無くしてしまう“危うさ”みたいなものを持ちつつ、役者としての意志も感じたので、彼に声をかけました。

Q:現場ではどんな話をしていたんですか?

真利子監督:
泰良という役がうまくいかなかったら、この映画はダメだなって思っていたので、ただただ柳楽くんにはそのことを伝え、煽っていたと思います(笑)。
具体的に言葉で言っても仕方ないので、実際に松山市街での1日目に、喧嘩のシーンを撮影してみて、お互いこれだねっていうものを引き出せたので、納得しあってからは細かい話し合いはせず、突き進んでいきました。
柳楽くんが本当に自信をもって演じてくれていたので、ほかの役者さんに関しても、それを感じ取って「負けるか!」という気持ちでやってくれていたと思います。

ディストラクション・ベイビーズ真利子監督04

Q:大変だったシーンは?

真利子監督:
やっぱり喧嘩のシーンですね。
結果的に、大きな事故や、怪我人もなかったんですけど、やっぱり何か起きたらすべて止まってしまうので、たくさん練習してもらって、撮影に挑みました。
時間もないし、練習すればするほど体力も削れるしという中での撮影だったので、本当に大変でしたね。

Q:これからご覧になる方にメッセージを。

真利子監督:
観た人それぞれが、いろんなことを考える作品だと思っています。
観た人に伝えることを意識しながら言葉にできないものとキャストとスタッフ一緒になって真剣に向き合ったので、観たままの印象で感じてくれたらいいなと思っています。

『ディストラクション・ベイビーズ』
R-15
5月21日(土)テアトル新宿ほか全国公開
©2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会

(文=小宮洋子/CinemaGene)

この記事で紹介している作品

ディストラクション・ベイビーズ

記事制作 : CinemaGene(外部サイト)