カンヌでの注目高まる 是枝監督『海よりもまだ深く』で描く日常とは

コラム

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是枝裕和監督の最新作『海よりもまだ深く』が5月21日(土)より公開されます。
主演に阿部寛を迎え、日本を代表する世界的監督・是枝裕和が“海よりもまだ深い”人生の愛し方を教えてくれる感動作。第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品されています。
是枝監督が描く「日常」にはどんな意味が込められているのでしょうか。
海よりもまだ深くメイン

是枝監督とカンヌ国際映画祭
是枝監督作品のカンヌ国際映画祭での出品は、コンペティション部門での『DISTANCE/ディスタンス』(2001年)、主演の柳楽優弥が映画祭史上最年少の最優秀男優賞を受賞した『誰も知らない』(2004年)、審査員賞を受賞した『そして父になる』(2013年)、『海街diary』(2015年)、「ある視点部門」出品『空気人形』(2009年)に続き、本作で6作品目。
2300席の会場が満席となった『海街diary』に続き、2年連続のカンヌ国際映画祭への出品ということで世界の映画人たちから期待を集めています。

世界のカンヌで本作が上映されることについて、是枝監督は「撮影しているときに、自分の過去にタイムスリップしてみているような気がしたんです。決して自伝映画ではないんですが、特別な作品になりました。世界の人たちがこの作品を観て、どういう感じ方をするのか、団地がどう映るのか気になりますね。」とコメント。
カンヌ常連組と言われる是枝監督の作品は、今後も注目され続けることでしょう。
海よりもまだ深く是枝監督

描かれているのはごく普通の人々
主人公は、笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。
自称・作家で叶わない夢を追い続け、周囲にも自分にも「小説のための取材」と言い訳をしながら探偵事務所に勤めています。そんな“ダメな大人”良多は、妻の響子(真木よう子)にも愛想を尽かされ離婚。息子・真悟(吉澤太陽)と一緒に出て行かれてしまいます。
ある日、良多の母の淑子(樹木希林)の家に偶然集まった3人は、台風のために翌朝まで帰れなくなってしまいます。台風が過ぎるのを待ちながら、一夜かぎりの家族の時間を偶然にも取り戻すことになるのですが…。
海よりもまだ深く01

本作で描かれているのは、どこにでも居るごく普通の人々。当たり前の日常を過ごし、うまくいく日もあれば、失敗したり、つらい日もある。是枝監督が得意とする“誰にでも起こりうる日常”が描かれていますが、そのひとつひとつのシーンは、誰もが見覚えのある瞬間ばかりで、観ている側に“日常はかけがえのない時間なんだ”と教えてくれます。
阿部寛さん演じる良多の頼りなさげな背中や、樹木希林さん演じる良多の腕をとって仲睦まじく歩く母・淑子の姿は、自分の姿を重ね合わせる人も多いかもしれません。
海よりもまだ深く03

撮影は監督が9歳から28歳まで実際に住んでいた清瀬市の旭ヶ丘団地で行われ、いわば是枝監督の原点で撮られた作品。
いくつになっても大人になりきれない男と、そんな息子を深い愛で包み込む母の姿を中心とし、夢見た未来と少し違う今を生きる家族を描いた『海よりもまだ深く』は、是枝監督自身が過去を振り返る物語であり、あなたの物語でもあるかも知れません。

5月21日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー
©2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ

(文=小宮洋子/CinemaGene)

この記事で紹介している作品

海よりもまだ深く

記事制作 : CinemaGene(外部サイト)