『高台家の人々』綾瀬はるか&斎藤工インタビュー

インタビュー

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本当に好きなら心を見られても大丈夫

映画『高台家の人々』は6月4日より全国東宝系にて公開

妄想好きな口下手OLと人の心が読めるテレパスの能力を持つイケメン・エリートサラリーマンのユニークな恋を描いた『高台家の人々』。不器用で心優しい木絵にふんした綾瀬はるかと、名家出身の完璧男子、光正にふんした斎藤工が作品の世界観を語った。

■二人の間にあるのは上下関係!?

Q:共演してみて、お互いの印象はどうでしたか。
斎藤工(以下、斎藤):実は1シーンだけですけど、綾瀬さんが主演されていた大河ドラマ「八重の桜」でご一緒したことがあるんです。

綾瀬はるか(以下、綾瀬):その時はすごくかっこ良くて、いい声だなという印象でした。今回、気付いたのは、斎藤さんは真面目で優しいんですけど、ちょっと屈折しているんですよね。

斎藤:ちょっとじゃないです(苦笑)。

綾瀬:でも、本当に優しい。私は末っ子気質なので、感覚的に優しいと察知した人には、無意識ですごくのびのびしていられる。今回、こんなにのびのびしていられたのは、きっと斎藤さんがすごく優しい人だからです。

斎藤:僕の見解としては、序盤に上下関係が生まれたと言いますか(笑)。「あ、こいつは大丈夫だ」と思われた瞬間があったんですね。そこからですね。ご覧のように、下僕のような精神で(綾瀬はるか)先生には親しくさせていただいています。

綾瀬:えっ、下僕なの? 知らなかった(笑)。

斎藤:綾瀬先生と呼ばせていただきます(笑)。それはさておき、綾瀬さんは本当に現場を照らしてくださる方でした。今まで作品を拝見して思ったのが、日本の映画の黄金期に存在する高峰秀子さん。綾瀬さんにはどこか、ああいうにおいがする。綾瀬さんの世代では、まずほかにそんな人はいません。すごく貴重な女優さんだと、いち映画ファンとして思っています。

■理由みたいなものは考え過ぎない方がいい

Q:綾瀬さんから見た木絵はどういう女性ですか。
綾瀬:木絵ちゃんという人は心に淀みがまったくない人です。ものすごく、きれいな心の持ち主なので、自分も内面から美しくなければ、演じられないなと思うほどでした。空想するのが好きで、おしゃべりするのが苦手。私としては、彼女が口下手で言えないことを直接光正さんに伝えられたら、どんなにいいだろうって、もどかしくもありました。あんなに光正さんのことを思っているなら、心を見られてもきっと大丈夫だと思います(笑)。

Q:斎藤さんは光正をどうおもわれましたか?
斎藤:監督も含め、時間をかけてビジュアル作りをさせていただいたので、自分がどう見えるかはスタイリストさんやメイクさんといった専門の方々に任せようという気持ちでした。自分では生身の人間をやる理由みたいなものは考え過ぎない方がいい。もうそれはキャスティングされた方の責任だと(笑)。内側のことは、たくさん考えました。最初はたぶん色を持っていなかった光正が、木絵に出会って少しずつ色が出てくる。そのグラデーションは、自分の中に一つ種として持っていたかった。木絵の目線で物語が進んでいくことも、すごく大事でした。木絵から見た光正として展開していきたかった。今までに感じたことのない客観性、そういう目線の距離感が常にあったような気がしています。

Q:セリフではなく、心の声が聞こえているという設定で演技をするというのは、初めてだったと思いますが、どういう経験でしたか?

綾瀬:基本的にそんなに大変なことはなかったです。ただ、木絵が心の声と逆のことを言葉に出して言うみたいなところはちょっと戸惑ったかな。「大丈夫」って言いながら、本当は全然そうじゃないとか。

斎藤:アフレコというか、何か音に合わせてシルエットが動く、アフレコの逆のような感覚でしたね。特に兄妹弟の会話だと言葉に出さないから、互いに相手の目を見るんですよ。自然とそうなるのが面白かった。俳優って自分から生まれていないセリフも、さも自分から生まれたように変換していくのが仕事。もちろん、それを言う感情に持っていくんですけど、そういう時って、どこか冷静に俯瞰(ふかん)で見ている自分がツッコんでいたりするんですよね。その自分の声をオンにしたら、恐らくこういう感じなのかなと思いました。

■好きだから一歩踏み出せる勇気が持てた

Q:人の心を読めてしまうテレパスの物語は悲劇が多いですが、この二人はとてもハッピーで素敵な関係ですよね。
綾瀬:観終って、人を好きになるってこと、好きという気持ちは、何より大事なものだと気付きました。だから、二人はうまくいったのだろうと思います。当たり前ですけど、やっぱり、最後は相手を好きかどうか。相手のことがちゃんと好きなら、心を見られても大丈夫ですから。

斎藤:お互い、運命の人なんですよ。光正としては、木絵のような人はたぶんもう現れないってわかっているし、あとは木絵がこの状況を受け入れられるかどうか。そこは光正の祖母、アンと祖父、茂正の存在が大きいと思いました。木絵と光正と同じ困難を迎えた二人なんですけど、彼らが障壁を乗り越えたからこそ、光正のご両親がいて、光正が生まれた。それを知って、木絵もいろんなことを悟ったんじゃないかな。

綾瀬:それもこれも木絵が光正のことを好きだから、一歩、踏み出せる勇気が持てたのだと思います。やっぱり、「好き」ってすごいです。

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)