「セクシー俳優」から「映画俳優」へ 貪欲に上を目指す斎藤工の思い

コラム

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文=鈴木元/Avanti Press

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イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭でも人気だった斎藤工

“映画俳優”という言葉でピンとくる俳優が少なくなって久しい。1年間で500本以上の日本映画が公開されている昨今の状況にも関わらずだ。だが、「映画」にこだわっている役者は確実にいる。中でも斎藤工は今年、新たな飛躍を遂げそうな予感がする成長株だ。

綾瀬はるかとのダブル主演で人の心が読めるテレパスを演じたラブコメディ『高台家の人々』と、「準備万端。バルタン星人」などと奇妙な言葉を操る謎の青年役で藤山直美や岸部一徳らベテランに伍した存在感を放つ『団地』が同じ6月4日に公開されるのをはじめ、今年公開される出演作は15本近くになる予定という。「去年は映画(の撮影)にシフトしたんですよね」と本人が言う通り、その成果が続々と発揮されているのだ。

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『高台家の人々』より
2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ? 森本梢子/集英社
2016年6月4日より全国東宝系にてロードショー

■ブレークのきっかけはドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』

ブレークのきっかけが2014年、フジテレビの連続ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち』だったことは、誰もが認めるところ。「セクシー俳優」「顔面性器」「抱かれたい俳優ナンバー1」などさまざまな“称号”を得た。『団地』で共演した藤山からも「上手に女性をだますんやね」と賛辞を送られたそうだ。以降、ドラマを中心に出演オファーが殺到し、芸人との交流で磨いた!? 下ネタもこなす軽妙なトークでバラエティ番組でも重宝された。だが、2001年公開の映画『時の香り リメンバー・ミー』で俳優デビューし、「映画は特別な存在」と常々公言しているほど思い入れは強い。

子どもの頃から映画館に通い、高校時代はレンタルビデオ店の「あ行」から借り始め、全作品を制覇したという逸話を持つほどの映画通。広くアンテナを張り、「こんな小さなものまで」と驚くほどの作品にコメントを寄せていることもあり、自分の働くフィールドを知り尽そうとするその探求心には見習うべきことも多々ある。2011年から続くWOWOW「映画工房」で、その見識の広さ、深さを知るファンも多いだろう。

■斎藤工を飛躍させた原田芳雄の金言

20代には雌伏の時期もあったが、実は30歳を前にしてドラマで共演した故原田芳雄の金言が大きな糧となっている。「あと10年はムチャクチャやりなさい」。『竜馬暗殺』や『原子力戦争』に影響を受け、原田に憧れを抱いていた青年は、“型にはまらず生きざまをさらけ出すのが俳優の仕事”と解釈。事実、2011年にはドラマも合わせて同時に6本の脚本を抱える貪欲さで上昇のきっかけをつくった。

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『団地』 配給:キノフィルムズ ? 2016「団地」製作委員会
2016年6月4日より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国ロードショー

本人のスタンスはぶれることなくメジャー、インディペンデントを問わず積極的に出演。新境地といえる『高台家の人々』では、イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭にも参加し、「日本の大作映画は海外では埋もれてしまいがち。キュートでポップ、前向きな強さという、今の日本に最も必要なものを直球で投げ込んでいる映画が受け入れられてうれしい」と新たな感慨も得た。

■若手俳優・池松壮亮、菅田将暉、二階堂ふみらの懸け橋に

一方で「日本映画界における若手との懸け橋になりたい」とも言い、34歳にして後進にも目を向ける。映画界の若手といえば、『無伴奏』で斎藤と禁断の関係を演じ、『海よりもまだ深く』では阿部寛の相棒役で注目される池松壮亮、『ディストラクション・ベイビーズ』『セトウツミ』など比重の大きい役どころの出演作がめじろ押しの菅田将暉、公開中の『蜜のあわれ』『オオカミ少女と黒王子』など主演作が相次ぐ二階堂ふみらの活躍が目立つ。世代世代で映画俳優と呼べる人材がそろえば、人気コミックやドラマの映画化が主流となっている日本映画が、より多面的かつ多彩になっていくのではないか。映画において確固たる存在感を示しつつ、若手の育成にも気を配る、斉藤の活躍に期待が高まる。

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『高台家の人々』 斎藤工、綾瀬はるか 配給:東宝
2016 フジテレビジョン 東宝 集英社 ? 森本梢子/集英社
2016年6月4日より全国東宝系にてロードショー

この記事で紹介している作品

 『高台家の人々』
 『団地』

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)