『二ツ星の料理人』に学ぶ、“デキるけど困った男”の操り方

コラム

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料理人が主人公の映画は、おいしそうな食べ物がたくさん出てくるのが魅力! ただ職人のような高い技術とアーティストのような感性を兼ね備えた一流のシェフたちは、そのスペックの高さゆえか、一癖も二癖もある人物であることが多々あります…。そんな一筋縄ではいかないシェフたちが大成する物語には、彼を導く魅力的な女性たちがいました。

■気難し屋に言うことを聞かせる有能な同僚

まずは3年連続アカデミー賞にノミネートされている俳優、ブラッドリー・クーパーがシェフのアダム役で主演する『二ツ星の料理人』(6月11日公開)。アダムはかなり自己中で感情的、お酒やドラッグ、女性関係にもだらしない……と、料理の腕以外は絵に描いたように難ありの人物です。

二ツ星を獲得する腕を持ちながら、スキャンダルを起こして3年も行方をくらましていたアダム。三ツ星獲得に向けて再始動したものの完璧を求めるあまり、自分がヘッドハンティングした女性料理人のエレーヌ(シエナ・ミラー)を感情的に怒鳴りつけて、クビにしてしまいます。

それでもシェフを大成させる女は一味違います。追い出されたにも関わらずオーナーの仲介もあり、エレーヌは再びレストランに戻ってきます。しかも、アダムが料理業界から遠のいている間にトレンドになった新しい調理法を携えて、アダムに優しく接します。その甲斐あって、アダムは嫌悪していた新しい調理法も素直に受け入れていきます。

大きく衝突しながらも、レストランのためアダムのために行動を起こせるエレーヌと、最終的にエレーヌの言うことを聞くアダムの根底にあった愛情が通い合うような場面もあります。かなり派手な罵倒を繰り広げていましたが、2人の間にはすでに信頼関係が芽生えていたのでしょうね。

また、『リリーのすべて』(2016)でアカデミー賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルも、アダムの元カノ、アン・マリー役として登場します。アダムがずっと引きずるトラブルに大きく関与していた彼女ですが、彼が窮地に陥っていることに気づくと勇敢な行動に出ます。アダムの仕事の邪魔にならないように目立たずに問題解決する、デキる女っぷりを発揮しています。

■人生の再出発の指針を示す元妻

『シェフ!三ツ星フードトラック始めました』(2015)は、日頃からオーナーと対立している一流シェフのカール(ジョン・ファヴロー)が主人公。ある日、彼はオーナーの意見に納得いかないまま出した料理がきっかけで、料理批評家とTwitterで公開の大ゲンカを繰り広げて大炎上してしまいます。同僚で彼女のような存在のフロア・マネージャー、モリー(スカーレット・ヨハンソン)は、カールが自信を失う度に、「あなたは最高のシェフよ」と色気たっぷりに力づけます。

その後カールがレストランをクビになり、フードトラックでサンドイッチの移動販売を行うのが実現できたのには、元妻・イネス(ソフィア・ベルガラ)がおおいに貢献しています。彼女の提案でマイアミを訪ねたカールは、そこでキューバサンドイッチと出会い、さらにイネスは移動販売用トラックの手筈を整えます。この2人の女性が大きく貢献し、一流シェフがフードトラックをはじめるという奇抜なアイディアの実現に繋がります。

シェフを支えた女性たちは、料理人としての腕や人間性を絶対的に信じていることから、惜しみなくシェフを助けています。そんな態度が、気難しい性格のシェフたちの心も解きほぐすのでしょう。きっと彼女たちには、“女の勘”でシェフが成功する姿が見えていたのかもしれませんね。

(文/岩木理恵@HEW)

記事制作 : dmenu映画