若葉竜也、新井浩文に正直「くそっ!」と思った。映画『葛城事件』インタビュー

インタビュー

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抑圧的な父親、リストラされた長男、精神を病む妻。そして無差別殺傷事件を起こし、死刑囚になった次男と、死刑反対の立場からその次男と獄中結婚した女-。無差別殺傷事件の背景にある壮絶な家族の闇を描いた『葛城事件』。
本作で兄弟役を演じている新井浩文さんと若葉竜也さんに、父親役の三浦友和さんとの共演や、お互いについて語ってもらった。

葛城事件1本作は、2012年『その夜の侍』で監督デビューを果たし、国内外で高い評価を得た赤堀雅秋監督の最新作。2013年に赤堀監督の作・演出で、初舞台となる新井浩文さんや鈴木砂羽さんらが出演し、話題を呼んだ同名舞台を映画化したもの。
その独特の世界観は、“赤堀ワールド”と呼ばれ、熱狂的なファンを持つ。

新井浩文が語る、赤堀監督の魅力

舞台版、映画版と両作品に出演する新井浩文さんは赤堀作品の魅力を、赤堀監督が書く脚本の面白さだと言う。

新井さん:「~だぜ」とか「きさま」とか、普段言わないようなセリフが書いてある台本って笑えないですけど、赤堀さんの脚本は、日常の会話の描き方がものすごくうまい。会話の中に俳優の素も見えるので、そこが面白いんです。
例えば朝からピザを食べるシーンで、友和さんが「朝からピザ?」とかなんだとか言った後すぐ「そのネクタイいいなって」って言うんです。うち笑っちゃって。「そのネクタイいいなって」なにそれって(笑)。何でもない会話と間が、赤堀さんすごくうまいんです。

舞台版で新井浩文さんが演じた次男・稔役には、若葉竜也さんがオーディションで決まった。
若葉さんは、以前から赤堀作品への出演を熱望しており、マネージャーからオーディションの話を聞いた時点から緊張していたそう。

若葉さん:オーディションの話を聞いたあと、すぐに新井くんに電話したんです。「『葛城事件』のオーディション行きます』って伝えたら、「誰もいなかったらうちがやるから」って言われて…。正直「くそっ!」と思いましたね(笑)。この言葉で、絶対に受かってやると心に決めましたね。

オーディションの2日目には新井さんも立ち会ったそうで、若葉さんに決まるまでの経緯について、

新井さん:普段、俳優がオーディション立ち会うことってあまりないんですけど、今回はバランスとかも確認できたらいいなと思って見に行きました。知っている俳優もいっぱい受けにきていて…。前日の若葉くんの映像を見せてもらって、その場にいたみんなで「若葉くんじゃない?いいじゃん、これで決まりじゃん」っていう話をしました。

若葉さん:この話、何回か聞いているんですけど、新井くんの口から改めて聞くと、うれしいですね(笑)。

葛城事件若葉竜也若葉さんは撮影に入ってからも悩みながらの演技だったそう。

若葉さん:赤堀監督からは「まだ頭で考えているよね」とか。「それは若葉くんの考えだよね」と指摘され、何テイクも撮影しました。正直、何が正解かわからなくなって…。絶対くらいついていこうと決意して取り組んでいたけど、100%役をつかんだ!みたいな感じは、最後までなかったです。

赤堀監督と普段から仲が良く、遊び相手の1人だという新井さんに対しては、

新井さん:演技指導?ないですね(笑)。変な話、阿吽の呼吸というかツーカーの仲なので、赤堀さんのやりたいことがわかる。赤堀監督のことは、みなさんも2・3回飲めばわかりますよ(笑)。インタビューのときとか、難しそうに話していますけど、何も考えてないですから(笑)。演出も本当はOKなんだけど、監督として「もう1回」って言わないといけないんじゃないか?って思っているタイプ(笑)。あと欲と念のための保険に何テイクもやらせているのかも(笑)。

葛城事件メイン尊敬する・三浦友和との共演

抑圧的な父親を演じた三浦友和さんとは、新井さん若葉さん共に過去、三浦さんとの親子役を演じたことがある。

若葉さん:共演は5・6年くらい前かな?今回は、演技の話ではなく、「どこ住んでいるの?」みたいな世間話を少ししました。

新井さん:うちも三浦さんと話したのは、他愛のない「このご飯どうだったとか」「最近何の映画見た?」とかそんな会話でしたね。親子役としては『松ヶ根乱射事件』以来の共演です。プライベートでは、年に数回ごはんに誘っていただいてお会いしています。大好きな尊敬している先輩です。
友和さんの撮影現場での過ごし方が好きです。準備中とかも、控室じゃなくて、現場にいるんです。それはうちも同じで、友和さんに現場にいる理由を聞いたことはないですけど、やっぱり現場でいることによって緊張もとれるし、絵になじむというか、作品で浮かないというか、なるべくその場に居たほうがいいのでは?と思っています。

葛城事件新井浩文一緒に仕事をして楽しい俳優とは?

新井さんと若葉さんは『明烏』に続き2回目の共演となる。お互いについての評価は?

新井さん:一緒に仕事していて楽しいって思える人って、会話のできる人=相手の言葉を聞ける人だと思うんです。最初から完璧に演技を固めてきちゃう人だと、こちらがどんなリアクションしても、何にも返ってこない。返ってこないから楽しくない。
若葉くんに関して言うと、若いのに会話ができるのですごいなって思います。自分の若い頃はできなかったので。

若葉さん:僕は学生時代から、新井浩文という俳優をいっぱい見てきました。逸話とか聞いていたので、すごい怖い人というイメージを持っていましたね。『明烏』で初めて会ったときに、「若葉さん」って敬語で話しかけてくれて、イメージと違うなぁと思いましたね。
新井くんが映像に写ったときの存在感は真似できないです。今回の撮影で、目の前で存在感を感じることができてうれしかったです。

約1か月半の撮影期間、壮絶な物語を演じていたわけだが、現場には暗い雰囲気はなかった。作品の雰囲気が日常生活に影響してしまうのでは?との問いに、

新井さん:メンタル引っ張られる俳優って、だめだと思うんです。そういう人は、人を殺す役のとき、絶対殺さないといけなくなりますから。死ぬ役のとき、死なないといけないし、薬物中毒者の役のときには、薬物をやらないといけない。常識との線引きで、作り物を演じているわけだから、その線引きは本当にきちんとしなければいけないと思う。
「今回役に入り込んじゃって、抜くのが大変でした」って言うのは、とてもかっこいいかもしれないけど。仕事ですから。こういうことをやって飯食っているプロですから。線引きはきちんとしないとプロとして失格だと思います。
若葉くんはどうだった?

若葉さん:僕もメンタル引っ張られることはなかったです。ただ、打ち上げのときに、顔つきが晴れやかになったねって言われましたけど。

新井さん:それはあるよね。プレッシャーとか、緊張とか、終わるとうれしいし。やっぱ酒飲みたくなる。でも、若葉くんとは酒癖悪いから飲まないけどね(笑)。

若葉さん:(笑)

お互いのすごいと思うところについては、若葉さんの意外な一面が。

新井さん:若葉くんの声が好き。素敵な声をしているんです。Instagram(インスタグラム)はどこ向かっているかわからない(笑)。たまに歌ってる動画あげているんですよ(笑)。「なんで歌っている動画アップしているの?」って聞いたら、「評判いいんですって」(笑)。しゃがれた声で歌うたっている姿。若葉好きにはたまらんのだろうね(笑)。

若葉さん:フォロワーが増えるんですよ(笑)

映画『葛城事件』は、6/18(土)新宿バルト9他全国ロードショー

『葛城事件』(PG12)
? 2016「葛城事件」製作委員会

(文=小宮洋子/CinemaGene)

この記事で紹介している作品

葛城事件

記事制作 : CinemaGene(外部サイト)