【ブルボンヌ新作批評19】Jホラーのツートップ貞子&伽椰子 「呪いたガールズ」夢の共演!『貞子vs伽椰子』

コラム

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貞子vs伽椰子

映画第1作『リング』の公開が1998年、オリジナルビデオ版『呪怨』の発売が1999年。ノストラダムスさんが言うところの世界の終末期に、駆け込むように誕生したのが、「呪いたガール」のツートップ、貞子と伽椰子です。もうね、本当にそれぞれの1作目はヤバかったのよ。子どもの頃から洋邦問わずのホラー映画好きだったアタシにとっても、あの陰鬱な画作りと、ネット時代を先どった連鎖設定は衝撃的でしたもん。もちろん、アジア圏からハリウッドまでJホラーの波が押し寄せたほどに、その魅力が国内にとどまらない本物だったことは皆さんご存知の通りよね。

でもやっぱり消費され過ぎると、印象って変わっちゃうんですよ。最初は、夜中のテレビ画面を観られなくなったくらいに心底怖がっていたのに、途中から貞子と伽椰子は人気者だけにキャラクター化が進んでしまい、宴会芸や子供脅しの定番に。正直アタシも女装仲間と新宿2丁目で貞子ネタをやって、笑いものにしちゃってたわ…。こうした世間のイメージに合わせてか、最近の『貞子3D』シリーズに至ってはもう、失笑するしかないバカ映画になり果ててたわけです。

貞子vs伽椰子

そんな、きっとアタシ含め多くの皆さんが、「もうこのシリーズの最新作は期待できねぇ」と思っていた頃に、当初エイプリルフールのネタとして登場した『貞子vs伽椰子』。それを白石晃士監督が本当に撮ると聞いた時は、「これは観なきゃ!」と小躍りしたものです。白石監督は、10年以上前に、Jホラーブームの仕掛け人・一瀬氏がプロデュースした映画『ノロイ』を観てからのファン。この頃はすでに何匹目のドジョウ狙いだよってくらいJホラーが乱発され始めていた時期でしたが、『ノロイ』は別格のデキで、その後もずっと作品を追っかけていた存在。白石監督なら、すっかり消費されつくした貞子と伽椰子を、蘇らせてくれるのではと期待に無い胸を膨らませていたのでした。

貞子vs伽椰子

ああ、ババアのホラー昔話と監督愛の前置きが長すぎて申し訳ありませんね。いよいよ、今作の感想を言うわよ。はい、「大満足~!」 ちゃんと怖くて、ちゃんと笑える、飽きずに最後まで楽しめる作品でした。

そもそも、『エイリアンVSプレデター』『フレディVSジェイソン』あたりを思い出しても、VS企画はお祭りなだけにギャグ要素が増えるもの。今作も最初からそんなノリで突き通すのかと思いきや、映画前半は『リング』『呪怨』それぞれの初期作のあの空気と怖さを見事に再現してくれているんですよ。中田秀夫、清水崇という偉大な両監督へのリスペクトでもあり、観客を当時の感覚にリセットさせてくれる仕掛けでもあり。まずは異なる二作品の呪いと化け物が同時に存在するパラレルワールドに、無理なく誘ってくれるんです。ホラーといえばヒロインとその叫び声も重要ですが、二本分なだけに山本美月ちゃんと玉城ティナちゃん、タイプ違いの二人がいるので、たいていどちらかはツボるんじゃないでしょうか。

貞子vs伽椰子

そして中盤から、そこにいよいよ白石節がくわわっていきます。貞子ストーカーの大学教授に、ドスの効いた霊能ババア。やだ主要キャラが突然そんな死に様!と思ったら、そこに駆けつけるイケメン霊媒師&盲目少女…と、まさに怒涛の展開。甲本雅裕、安藤政信ら、クセのあるキャラを楽しそうに演じられる実力派俳優陣のおかげで、突飛な設定ながら軽すぎない味わいになっています。オリジナルの雰囲気に近いリング編と呪怨編を見せた後に、奇想天外なミックス編に突入するという流れは、この企画で一番納得のいく見せ方だったのでは。

後半の勢いに関しては、人によってはやり過ぎな印象を受けるかもしれませんが、エイプリルフールの「ネタ」から始まった、二大スターに付けるオチとしては、これ以上は望めない気もします。20年近く前から、Jホラー界を引っ張ってきた二大化けモンを、ここまでうまく復活させた監督の手腕に感謝。きっと最近の貞子と伽椰子が一番呪いたかったのは「オワコン扱いされてること」だったと思うので、今作は見事に、二人の呪いを解いてくれたんじゃないかしら。貞子、伽椰子、おめでとう!

『貞子vs伽椰子』
全国大好評公開中!
配給:KADOKAWA
(C) 2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

記事制作 : ブルボンヌtwitter(外部サイト)

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