禁断の恋愛、経歴詐称、なりすまし…「嘘から始まる」名作映画3つ

コラム

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嘘とは2通りあると言われています。1つは人を不幸にする嘘。もう1つは人を幸せにする嘘です。どちらの嘘も、何らかの目的を果たすためにつかれる場合がほとんど。当然、それまでバレてはなりません。しかしながら、完全犯罪の企てが往々にして挫かれるのと同様に、完璧な嘘というのも相当難しいもの。そのため嘘つきは、嘘の上にまた新しい嘘を重ねて「真実」の偽装に骨を折るのです。その様子が何ともこっけいで可笑しく、愛らしいからこそ、嘘を発端とした物語というのはいつの時代も親しまれてきました。ここでは、そんな嘘からストーリーが展開していく名作映画を、いくつか紹介していきます。

■1:『ライフ・イズ・ビューティフル』 1997年公開(イタリア)

舞台はナチス占領下のイタリア。ある日、ユダヤ系イタリア人のグイドは、妻子と共にナチスの兵士に連行され、強制収容所へと送還されてしまいます。母と引き離されて不安がる幼い息子。そんな愛息に、グイドはこう言います。
「これは、いい子にしていたら戦車に乗って家に帰れるゲームなんだよ」と。

そこからグイドは、息子に嘘がバレないよう、あの手この手を使います。それは何とか過酷な収容所生活を「楽しいゲーム」に仕立て上げ、我が子が希望をもって生きていけるようにするため。
子を想う親の愛情を、嘘によって表現した不朽の名作。ご覧になっていない方はぜひ。

■2:『グッバイ、レーニン! 』 2003年公開(ドイツ)

『ライフ・イズ・ビューティフル』は親から子への愛情を描いた物語ですが、こちらは子から親へ捧げられた愛情の物語。舞台は、東西冷戦時の東ドイツの首都・東ベルリン。そこに暮らす主人公のアレックスの母、クリスティアーネは生粋の社会主義者。
しかし、時は1989年。時代は東西統一に向けて大きく変わろうとしており、アレックスもその時流に乗り、家族に黙って反体制運動に参加します。その様子を偶然目撃したクリスティアーネは強いショックを受け、心臓発作で卒倒。病院に担ぎ込まれたのち、一命は取り留めたものの、医師からは「次に強いショックを受けたら命の保証はできない」と宣告されてしまうのです。

彼女が目覚めたのは、発作から8ヶ月後。その頃にはベルリンの壁は崩壊し、西側の文化が大量に東側へ流入していました。街に出れば、アメリカ資本主義の象徴「コカ・コーラ」の看板、国営配給ストア跡地には大手チェーンのスーパーマーケット……。こうした状況を母に見せたら今度こそ死んでしまう……。それを阻止すべくアレックスは、「コカ・コーラが東ドイツの国営企業と提携をした」など様々な嘘をつき、挙句の果てには国営放送を偽装したニュース番組まで自主制作するのです。 母を信じ込ませようと奔走するアレックスの姿は、何ともコミカルなのですが、同時に真剣で一途でもあり、胸を打たれます。

■3:『ザ・マジックアワー』 2008年公開(日本)

本作の監督を務めた三谷幸喜は、過去に『合言葉は勇気』という連続ドラマの脚本を書いています。これは、役所広司演じる売れない俳優が弁護士に成りすまして、産廃処理場建設の危機に直面したある村を救うというストーリーなのですが、物語の起こりは『マジックアワー』もほぼ一緒。

ただ、決定的に違うのが、作中、自ら嘘を付いている自覚ありの役所広司に対し、『ザ・マジックアワー』の主役・佐藤浩市は無自覚だということ。役所と同じ三流役者を演じる彼は、「映画撮影の仕事」だと騙されて、本物のヤクザの前でヤクザ役を演じるハメになります。当然、無事に済むはずがありません。自身の身に起こる全てが映画だと信じ込む佐藤と、彼を本物の侠客だと思い込むヤクザやその周辺人物……。2者間のすれ違いや思惑の交錯が、喜劇作家出身の三谷らしいコメディテイストたっぷりに描かれています。

いかがでしたか? 騙す側と騙される側。それぞれの食い違いにより、多種多様なドラマが生まれることこそ、「嘘映画」の醍醐味。現実にはありえない奇想天外で、ご都合主義的展開も多々ありますが、小難しいことは抜きにして、あなたもその魅力にどっぷり浸ってみてはいかがでしょうか?

文●ロックスター小島

記事制作 : dmenu映画