文=増當竜也/Avanti Press

シン・ゴジラ_poster
『シン・ゴジラ』
(C)2016 TOHO CO.,LTD.

7月29日より庵野秀明総監督による『シン・ゴジラ』が全国公開される。これは国産ゴジラ・シリーズとしてはおよそ12年ぶりの、29作目にあたるもので、細かい内容などは未だにシークレットとされている。ではその全貌が明らかになるまでに、昭和から平成へと移り変わっていく時代の変遷に沿いながら、半世紀を優に超えるこれまでのゴジラ映画の歴史を振り返ってみることにしよう。

戦後の社会問題を背景に生まれたゴジラ

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1954年、本多猪四郎監督、円谷英二特技監督による第1作『ゴジラ』が公開された。ビキニ環礁など戦後の核実験問題を背景に、大量の放射能を浴びた生物が巨大怪獣ゴジラとなって東京に上陸し、かつての戦争の惨禍を彷彿させる多大な被害をもたらしていく。これは、科学に対する人間の叡智を問いかけ、文明批判と平和への祈りをスペクタクル性の中から巧みに訴え得た優れたエンタテインメント映画として大きな話題を集めた。

この大ヒットにより、翌55年、第2のゴジラが大阪を襲う『ゴジラの逆襲』(小田基義監督)が製作された。ここでは敵怪獣アンギラスが登場し、怪獣バトル映画としての側面が強調され、後のシリーズの基幹ともなっていく。

それからしばらく間を置き(この間の56年、アメリカで第1作を再編集&追加撮影を施した『怪獣王ゴジラ』が日本でも公開されている)、62年に東宝創立30周年記念映画として再び本多監督が登板し、アメリカからキングコングを招いて第3作『キングコング対ゴジラ』が製作された。観客動員1120万人というシリーズ歴代最高記録を保持する人気作として屹立。

怪獣バトルで人気を不動のものとし、ファミリー映画路線へ

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第4作『モスラ対ゴジラ』(64/本多監督)はインファント島の守護神である巨大蛾を描いた『モスラ』(61/本多監督)の続編でもあり、日本に漂着したモスラの卵をめぐって、モスラとゴジラの熾烈な攻防が展開される。ここでのゴジラは完全なる悪役怪獣のイメージで貫かれているのが異色だ。第5作『三大怪獣  地球最大の決戦』(64/本多監督)では宇宙怪獣キングギドラの登場に伴い、ゴジラも徐々に善玉化?! また第6作『怪獣大戦争』(65/本多監督)では何と怪獣たちが宇宙へ行くなど、当初の文明批判的な視点は薄れ、SF怪獣バトル映画の色合いをどんどん強めていく。

第7作『ゴジラ・エビラ・モスラ  南海の大決闘』(66)と第8作『怪獣島の決戦  ゴジラの息子』(67)は監督が東宝アクション映画の雄・福田純監督にバトンタッチされてアクション色を強調。また後者は、ゴジラの子どもミニラが登場することで、ファミリー映画としての側面も大いに加味されていった。

こうした流れの中、東宝映画に登場してきた歴代怪獣を一挙集結させてシリーズ集大成をはかったのが第9作『怪獣総進撃』(68/本多監督)だ。翌69年の第10作『ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃』(69/本多監督)は、子どもの夢の中で怪獣たちが大暴れするというキッズ映画へ変貌。

特撮ヒーローブームの一翼も担った70年代

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これ以降、ゴジラ映画はしばしファミリー路線として製作されるようになった。それでも第11作『ゴジラ対ヘドラ』(71/坂野義光監督)は、公害問題と70年代初頭のサイケな風俗性を盛り込んで異彩を放ち、第12作『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(72/福田監督)は敵怪獣ガイガンの秀逸なデザインが話題となった。第13作『ゴジラ対メガロ』(73/福田監督)では、ゴジラとともにメガロに立ち向かう正義の電子ロボット・ジェットジャガーを登場させることによって、70年代に子どもたちの間で大流行となっていた特撮ヒーロー・ブームに呼応した内容にもなっている。

ゴジラ生誕20周年記念作品でもある第14作『ゴジラ対メカゴジラ』(74/福田監督)では、返還されてまもない沖縄が舞台。敵の宇宙人が開発したメカゴジラとゴジラの死闘を粋なスイングジャズに乗せて描くという、躍動感あふれるエンタテインメント映画の快作となった。その続編、第15作『メカゴジラの逆襲』(75)では久々に本多監督が復帰(これが本多監督の最後の劇場用映画監督作品ともなった)。打って変わってシリアスなメロドラマ仕立てで異彩を放った。

この後、ゴジラ映画はしばしの眠りにつくことになるのだが、およそ20年の歴史の中、ゴジラ映画を見て育った映画ファンが、いつまでもその眠りを容認することはできなかった。(後篇へつづく

『シン・ゴジラ』
脚本・総監督:庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣
准監督・特技統括:尾上克郎
2016年7月29日 全国東宝系にてロードショー
(C)2016 TOHO CO.,LTD.