文=ロサンゼルス在住ライター 鈴木淨

『不屈の男 アンブロークン』
『不屈の男 アンブロークン』
© THREE ARTS ENTERTAINMENT/JOLIE PAS/LEGENDARY PICTURES / THE KOBAL COLLECTION / JAMES, DAVID

リオデジャネイロ五輪にリアルタイムで興奮しつつ、過去のオリンピックを題材とした映画を見れば味わい深さも倍増。いずれも実話を基にした話題作5本を紹介する。それぞれの時代を背景に、アスリートたちが手にするのは栄光か、それともーー?

『不屈の男 アンブロークン』(2014年/日本公開は今年2月)

『不屈の男 アンブロークン』
『不屈の男 アンブロークン』
2016年08月24日発売
© 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.

撮影賞などアカデミー賞3部門にノミネートされたアンジェリーナ・ジョリー監督作。ベルリン五輪(1936年)に米国代表の陸上選手として出場したルイス・ザンベリーニは、第二次世界大戦中に搭乗していた爆撃機が墜落し太平洋を47日間漂流した後、日本軍の捕虜となるが……。サディスティックな渡辺伍長役で日本人ミュージシャンMIYAVIが出演。ジョエル&イーサンのコーエン兄弟が脚本家として参加している。原作の描写などが問題となり、日本公開が遅れた。

『炎のランナー』(1981)

『炎のランナー』
『炎のランナー』
© 2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

作品賞を含むアカデミー賞4部門受賞作。パリ五輪(1924年)で金メダルを獲得した英国の陸上選手2人を対比的に描いた。作曲賞のオスカーを獲得したヴァンゲリスによるテーマをバックに海辺を走る若者たちの映像が印象的。世界が英国のEU離脱に揺れる今、同国人のプライド、宗教観、人種差別といった本質が学べる1本でもある。当時の英国エリートのファッションやライフスタイルも興味深い。映画ファンならずとも必見の感動作。

『炎のランナー』
『炎のランナー』
ブルーレイ発売中(¥1,905+税)
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
© 2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『ミュンヘン』(2005)

スティーヴン・スピルバーグ監督作。ミュンヘン五輪(1972年)で起きたパレスチナのテロ集団「黒い九月」によるイスラエル選手団11名殺害事件と、その後のイスラエル暗殺部隊による報復劇を追う。原作は暗殺チームの元メンバーの告白を基にしたノンフィクション。エリック・バナ主演、共演に『007』シリーズのジェームズ・ボンド役に抜擢される前のダニエル・クレイグ。中東のテロについて知る上でもタイムリーな作品。作品賞、監督賞などアカデミー賞5部門ノミネート。

『クール・ランニング』(1993)

『クール・ランニング』
『クール・ランニング』
© PARAMOUNT / THE KOBAL COLLECTION

カルガリー冬季五輪(1988年)でのジャマイカ代表ボブスレー・チームの活躍を基にしたスポーツコメディ。南国と冬季競技というギャップを乗り越えるチームを、スポ根風でなく、陽気なレゲエに乗せて明るく描写した。ほろりとさせるラストの演出が効いて大ヒット。ストーリーにはフィクションの部分も多いが、それもご愛嬌と感じさせるハッピーな1本。コーチ役で名コメディアンの故ジョン・キャンディが好演。

『フォックスキャッチャー』(2014)

『フォックスキャッチャー』
『フォックスキャッチャー』
© MMXIV FAIR HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

米国代表のレスリング選手デイヴとマークのシュルツ兄弟は、ともにロサンゼルス五輪(1984年)で金メダルを獲得。ソウル五輪(88年)に向けたトレーニングで、弟マーク(チャニング・テイタム)はデュポン財閥の御曹司ジョン(スティーヴ・カレル)の支援を受けるが、それが兄デイヴ(マーク・ラファロ)の悲劇につながる……。当時大きく報道された殺人事件を追った衝撃作。監督賞(ベネット・ミラー)、俳優部門などアカデミー賞4部門ノミネート。

『フォックスキャッチャー』
『フォックスキャッチャー』DVD発売中(¥3,800+税)
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA

ご覧のように悲劇があり、喜劇がある。スポーツの祭典でありながら、あまりの影響力から本来の枠を越えた問題につながりかねないのもオリンピックの顔。そこから映画が生まれることも事実だ。今年のリオ五輪ではどんなドラマがあるのか。いずれにしろ、この大会のために努力してきたアスリートたち“主役”が、思い残すことなく力を出し切るストーリーになることを願う。