文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪/Avanti Press

ビートバグズ
Netflixオリジナル『ビートバグズ』 独占オンラインストリーミング中
©Netflix. All Rights Reserved.

8月頭に、配信サービス大手Netflixで配信開始となったオリジナル・アニメーション「ビートバグズ」。ビートルズの楽曲と、虫キャラたちのアニメに著名アーティストによる名曲のカバーを合体させた、ユニークな企画として注目を浴びている。

ビートルズと虫と著名アーティストのシナジー……と聞くと、あまりにも豪華なような、散漫なような、でイメージが湧かない方も多いだろう。例えば、第一話では、ビートルズの名曲「ヘルプ」を題材に、ジャム瓶に閉じ込められてしまった頑固な虫くんが助けを求めると、仲間の虫たちが力を合わせて救い出す様子が描かれる。第二話では、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」を題材に、不眠で悩む虫くんのために、仲間の虫たちがトンボのルーシーという睡眠専門医に相談する様子を描き、人気アーティストのP!nk(ピンク)が同曲をカバーするとともに、ルーシーの声も担当しているのだ。

主人公となるのは、個性豊かでチャーミングな5匹の虫たち(ジェイ、クミ、クリック、バズ、ウォルター)。郊外の草が生い茂った裏庭という小さな宇宙を探検し、人生において大切なことを学んでいくという、子どもへのアピール力がある設定だ。

各エピソードの題材には、前述の2曲のほか、「カム・トゥゲザー」、「ペニー・レイン」、「イエロー・サブマリン」、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」、「マジカル・ミステリー・ツアー」など、第一シーズンで26曲、第二シーズンで26曲が取り上げられている。シリーズ全体のテーマソングは、「愛こそはすべて」だ。ビートルズ世代にはたまらないものだろう。

そして、各楽曲をカバーするアーティストの顔ぶれは、P!nkのほか、シーア、ロビー・ウィリアムズ、ロッド・スチュワート、エディ・ヴェダー、ジェニファー・ハドソン、ジェームズ・ベイ、シンズ、オブ・モンスターズ・アンド・メン、クリス・コーネル、レジーナ・スペクター、ジェームズ・コーデン……と錚々たるもの。音楽ファンならチェックしたいと思わせる。

そう、このシナジーは、子どもから若者、大人、シニア世代までを、それぞれのツボで楽しませてくれるものなのだ。

ビートバグズ
Netflixオリジナル『ビートバグズ』 独占オンラインストリーミング中
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この発想を思いつき、難関とされるビートルズの楽曲使用許諾を受けながら、キャラクター開発を手がけ、今をときめくNetflixでの190カ国同時配信にこぎ着けるという偉業を成し遂げたのは、35歳のオーストラリア人フィルムメイカー、ジョシュ・ウェイクリー。今後、モータウン(マーヴィン・ゲイ、ジャクソン5、シュープリ―ムスなど)やボブ・ディランの楽曲と映像のコラボ企画も進行するようだ。

伝説のアーティストの楽曲は、世代を超えてアピールするものだが、その歌詞のユニバーサルなテーマを子どもや若者へのメッセージとして再生させ、“懐メロ・アーティスト”ではなく“自分たちのアーティスト”として再誕させるというのは、画期的で素敵なアイデア。今後、別のクリエイターからも、こうしたアイデアがたくさん出てくるかもしれない。

そして日本でも、サザンやユーミン、チェッカーズの楽曲を題材にした短編シリーズや映画などがあったら、大人も子どももワクワク……?