attacking the enemy

8月15日は71回目の終戦記念日です。国同士では敵対していても、個人の間では密かな交流が生まれていたこともある戦争の舞台裏。悲惨な現実に目を向けつつ、人のふれ合いが胸を打つ映画作品を紹介します。悲しさと人の心の豊かさ、両方を受け止めたいですね。

分かり合った二人は戦争が終わったとき何を思うか……『リトル・ボーイ』(8月27日公開)

第二次世界大戦下のカリフォルニア州、小さな漁村が舞台の同作。村で一番背が低いことから“リトル・ボーイ”と呼ばれていた少年ペッパーは、親であり親友でもあった大好きな父が徴兵されることになり絶望します。

戦争を恨んでいるペッパーは、日系人のハシモトに対して最初は他の村人と同様に敵意をむき出しにしますが、神父にその行動をたしなめられると徐々に心を開きはじめます。父との関係のように年齢差はあるものの、お互いにちょっとした“はみだし者”だったこともあり、ハシモトと親しくなっていくペッパー。他者との差異は人によっては憎悪や争いになってしまうこともありますが、みんなから“リトル・ボーイ”とかわれていた少年だったからこそ、少数派でいる人の気持ちを理解しやすかったのでしょう。

“リトル・ボーイ”とは広島に投下された原子爆弾のニックネームでもあります。一途に父親を想うペッパーの心情と、日系人・ハシモトを通じて描かれる日本人の心情。どちらにも共感するという人は多いのではないでしょうか。

互いの文化交流が盛んだった『バルトの楽園』(2006)

第一次世界大戦中、徳島県鳴門市の板東俘虜収容所で起きた実話をもとにしている作品。松平健が、収容所の所長・松江豊寿を演じています。

捕虜たちにも人間的な生活を保障しなければならないという松江の考えのもと、ドイツ人の捕虜たちはパンとコーヒーの朝食にビールの飲酒、海水浴にオーケストラ活動まで許されていました。地元の子どもたちは、オーケストラの楽器を習ったり体操を習ったりするなど、ドイツ兵たちと交流を深めます。戦時下であるということを除けば、街をあげての交換留学かのような雰囲気さえ漂っています。

あまりにも慈悲深い対応に、ドイツの敗戦後に捕虜たちから感謝をこめて演奏されたベートーベンの「交響曲第九番 歓喜の歌」。これが初めて日本で演奏された“第九”となりました。

捕虜とはいえ、人として尊敬する気持ちを失わなかったからこそ、大きく深い文化交流が生まれました。子供たちもパンやケーキのおいしさを知り、楽器を演奏する楽しみを覚えました。この交流は一生を左右するほど人生において大きな影響を与えたに違いありません。

戦闘機好きで結ばれた友情『太陽の帝国』(1987)

スティーブン・スピルバーグ監督の作品で、8月に公開された映画『ハイ・ライズ』の原作者でもあるJ・G・バラードの半自伝的な小説が原作です。日本空軍のゼロ戦に憧れを抱く裕福なイギリス人の少年・ジムを、『バットマン・シリーズ』などで知られるクリスチャン・ベールが好演しています。

避難中に両親とはぐれたジムは、日本軍の収容所に収められてしまいます。同じくゼロ戦好きと思われる飛行機模型で遊ぶ日本人の青年を見つけたジム。お互いに名前も知らない間柄ですが、飛んできた飛行機をジムが拾ってあげたり、ジムの命が危ない場面でその青年がこっそり救ってくれるなど、密かに心を通い合わせます。

過酷な状況においても物々交換の仲介を買って出たり、収容所で受ける理不尽な暴力にも「僕らは友達ですよね。戦争のせい」と、子どもながら土下座して丸く収めようとするジム。ゼロ戦をマシーンとしてカッコいいと思う気持ちと、人間同士で争いたくないという気持ち、どちらも純粋なジムの力強さとして描かれています。

戦争は二度とあってはならない、忌避すべきもの。しかし戦時下であっても、人間はお互いに心を通わせることはできるのです。

(文/岩木理恵@HEW)