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失恋や大切な人との別離など、何かを失ったときにどこか遠くへ行って自分の人生をリセットしたい気持ちに駆られることはありませんか?日常のしがらみから離れて遠く旅に出ることも、長い人生の中でときには必要ですよね。今回は、満足いかない現状を打破すべく、女性が一人旅に出かけた映画を3本紹介します。思い切ってどこかに行きたい!でも長期の旅行なんて無理……なんて人も、映画で一人旅気分を味わい、日常生活をリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?

1:「服を選ぶように考え方を選べ」の教えが深い『食べて、祈って、恋をして』(2010)

作家としてニューヨークで安定した仕事と結婚生活を送っていた主人公。常に他人と過ごす社会生活の中で本来の自分を見失い、離婚を決意。すべてを捨てて旅に出る主人公をジュリア・ロバーツが演じています。

イタリアで食を楽しみ、インドではヨガと瞑想で精神を見つめ、最後に向かったバリで出会いが訪れます。行く先々で出会う人から、「服を選ぶように考え方を選べ」、「人生を何とかしたけりゃ、まず自分の心を何とかしろ。でなきゃトラブル人生だ」などと色んな教えを受けます。新しい人たちと触れ合い、ニューヨークの生活で疲れきっていた表情から、“100万ドルの笑顔”とも称されたジュリアの顔に笑顔が戻っていきます。

イタリアでの観光地を巡るシーンやインドでの伝統的な結婚式の様子、“神様が宿る場所“とも言われる神秘的なバリのビーチなど、各地の映像美も堪能できる作品です。

2:人生のどん底に陥った女優が見せた名演『わたしに会うまでの1600キロ』(2014)

最愛の母の死に耐え切れず、薬と男に溺れて結婚生活を破たんさせてしまった主人公。母が願っていた理想の娘に再びなるべく、たったひとりで3カ月間、1600キロを1人で歩き通した女性をリース・ウィザースプーンが演じました。

『キューティ・ブロンド』(2002)のようなロマコメ作品のヒットで優等生イメージが強かったリースですが、この作品の制作前には警察と口論し、治安紊乱(びらん)容疑で逮捕されてしまいました。イメージを壊すような事件を起こし、程度は違えど映画の主人公と同じく人生のどん底に陥っていたリース。ひたすら自分に向き合うしかない過酷で孤独な旅を経て「いつか問題は他のものに変わる」と悟る主人公を演じきりました。汚れ役を厭わず、30代の女優として演技の幅を広げるきっかけともなった今作で、リースは二度目のアカデミー賞主演女優賞を獲得しています。リースが公私共に名誉挽回することにも成功した作品です。

3:再生するために、自分の存在を一度消す『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(2008)

失恋の悲しみから立ち直るため、アメリカ横断の旅に出る女の子・エリザベスを演じるのが、今作で女優デビューを果たしたグラミー賞歌手、ノラ・ジョーンズ。

各地でアルバイトをしながら旅を続ける途中、別れた夫につきまとわれているスー・リンという女性と出会います。元夫の存在を嫌悪して縁が切れるように願っていたものの、不慮の事故でいざ彼がこの世を去ると、悲しみのあまり彼女も住み慣れた町を出て行ってしまいます。エリザベスは「彼女にとって町を去るのは“死”と同じ」と感じ、“存在を消す=死”として解釈しています。深い悲しみを感じるとどこかへ行きたくなるのは、悲しい思いをした自分の存在を一度消して、改めて自分を再生させたいという生命力の強さなのかもしれませんね。

傷つきながらも前へ進んで行く人たちの人生に触れて、家の鍵を預かってくれている行きつけのカフェに戻って来るエリザベス。もう1度エリザベスに会いたい気持ちを募らせていたカフェのオーナーが、帰りを待っていてくれました。一度距離を置いたからこそ、新しく繋がった縁です。

慣れ親しんだ場所を一度離れることによって、新しい人生を切り開いていった主人公たち。簡単にできることではありませんが、映画にも、そんな力があるかもしれません。

(文/岩木理恵@HEW)