ハリウッドで樹海ブーム!?知られざるニッポンを怖がる『JUKAI-樹海-』は文化的注目作

コラム

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渡辺謙が出演した米映画『追憶の森』の舞台に選ばれ、凶暴メタル集団スリップノットのクラウン(パーカッション担当)が来日時に赴き「俺の居場所だ」と公言するなど、今世界から注目されている日本のスポット・青木ヶ原樹海。富士山の北西に位置し、美しい広大な自然が訪れる人々を癒す一方で、“自殺の名所”という不名誉なイメージも付きまとっている。

映画『JUKAI-樹海-』(11月5日公開)は、その負の部分を前面に押し出した絶叫フォレスト・ホラー。だが中身を観てみると、日本人では想像もつかない斜め上をいく青木ヶ原樹海の姿と異国の地ニッポンが描かれる、文化的に興味深い作品だった。

日本人俳優・小澤征悦のハリウッドデビュー作

製作に名前を連ねているのは、Jホラー・ブームを担った『呪怨』のハリウッド版シリーズ『呪怨 ザ・グラッジ3』のアンドリュー・フェッファー、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の脚本家デヴィッド・S・ゴイヤー、『キル・ビル』のローレンス・ベンダーらなかなかのメンツ。さらに日本人俳優・小澤征悦のハリウッド進出作としても話題になった。

双子の妹ジェスが青木ヶ原樹海で行方不明になったことを知ったアメリカに住むサラは、妹を探すために日本へとやってくる。サラは樹海で出会ったオーストラリア人記者のエイデンと日本人ガイド(小澤)に出会い、全てを飲み込んでしまいそうな謎多き森へと足を踏み入れる。

きらめくTOKYOとブレザーJKの悲鳴

サラが初めて訪れた東京の描写は、ソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』以降のネオンきらめくオシャレなTOKYO。華やかなゴスロリ娘が夜の繁華街の道端で立ち話をする一方で、クレイジーな浮浪者がタクシーに突撃してくる。

サラは妹が教師として働いていた女子高へと向かうが、そこでブレザー姿のJKたちに「ウンギャー!」との絶叫で迎え入れられる。困惑するサラを横目に女子生徒は「樹海に行ったミス・ジェスが幽霊になって戻ってきたのかと…殺されるかと思った!樹海はとても怖い場所!霊魂が安らかに眠れず、戻ってくる場所!しかも怒りに満ちて!」と樹海にまつわる衝撃的持論を展開。ここから思いもよらない、オリジナリティあふれる青木ヶ原樹海の姿が明かされていく。

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樹海には死体安置所とJK通学路がある

樹海の入り口にある、見た目が完全に仏閣チックな観光案内所。なんとそこには石造りの地下が存在し、遺体安置所がある。また樹海は幽霊を使って人を惑わし、悲しい気持ちでさまよう者を餌食にするそうで、樹海の幽霊によって幻想を見せられた人は自殺に追い込まれてしまう。

そんなデンジャラスな場所にもかかわらず、夏物セーラー服姿のJK登校班が横切ったりして、サラをドン引きさせる。どうやら樹海は通学路としての機能もあるようだ。もしかしたら、この普段目にする事のない異国の地ニッポンの姿こそ、樹海の幽霊が見せた幻想なのかもしれない。

ガイコツ化した自殺者がぬっと背後にいたと思ったら、次の瞬間には音もなく消えるなどの恐怖描写は、Jホラーの影響下にある。なかでも一番怖い瞬間は、サラが宿泊する古びた旅館の薄暗い廊下で起こる。廊下の端に佇んでいる黒い影。亡霊なのか!?と思った瞬間、高速で飛びかかってくる。ここは衝撃音とドアップ効果の演出でかなり恐ろしい。

しかしその正体は、白目をむいた深夜の徘徊老人だった。すかさず孫娘らしい女性が「おばあちゃん、ダメじゃないの」という感じで介護。恐怖と同時に日本が抱える高齢化問題を考えさせられる、有意義なシーンである。

(石井隼人)

記事制作 : 石井隼人