“ミスター残念”卒業!? 戸次重幸、夢は「福山雅治の片隅の…」 

インタビュー

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11月3日公開の映画『ぼくのおじさん』で松田龍平演じるおじさんの恋敵を務めているのが、俳優の戸次重幸。

大泉洋をはじめ戸次も所属する演劇ユニット「TEAM NACS」内で“ミスター残念”との異名を持っていた戸次も、女優の市川由衣と結婚し、今年9月には待望の第一子を授かった。40代に突入し、公私ともに運気は向上中。そんな戸次が理想の父親像と、上京して10年が過ぎた現在の心境を大いに語る。

「子供がいるということは、自分だけの人生ではなくなったということ。失敗は許されません。役者じゃなくて、将来安泰な医者の道を歩めばよかった」と冗談めかすものの、その表情は喜びで溢れている。

理想の父親像を聞くと“ザ・昭和”気質を挙げる。「家長としての威厳と最終決定権は父親が持つ。恐怖の対象ではなくていいけれど、やってはいけないことに対して理由を求められた時に“ダメだからダメだ!”というオヤジでありたい。今は教育面でも先生に対して完璧な答えを要求しがちだけれど、ダメなものはダメで十分。なぜダメなのかは子供たち自身で考えるべき」と、背中で語るオヤジを体現する予定だ。

死ぬまで天狗になれない人種

北海道から東京に活動の舞台を移したのが、31歳の頃。それから10年の歳月がすでに流れた。仕事面の充実を感じる一方で「毎回毎回大バクチをやっていて、なんとか勝っている人生がたまたまあるだけ。来年どうなっているのかもわからない。役者の夢をもっている若い人たちに聞かせたら現実的過ぎてしらけさせてしまうかもしれないけれど、これが正直な本音です」と打ち明ける。しかし負けることがどのような結果を招くのか理解しているから、勝ちにこだわる。ゆえに惰性は生まれない。

「失敗の許されない中堅どころの年齢に達したにも関わらず、未経験が沢山ある。人生80歳だとすると、今は人生の折り返し地点。スタートをもう少し早く、10年早く上京していたらどうなっていただろうか?と思う時もある」と、もう一つの選択を空想することもあるが、“遅咲き”が俳優・戸次重幸の姿勢を形作ったとも感じている。

「東京に遅くやってきて、大の大人がたくさんの苦労や悔しさを経験して今に至っているわけですから、『TEAM NACS』の面々は死ぬまで天狗になれない人種でもあります。僕の場合は、生まれながらのチキンという性格も関係していますけれど、個人の楽屋を与えてもらった時のことは鮮明に覚えているし、未だに仕事は“やらせていただいている”という感覚が強い」。成熟した稲穂は頭を垂れるばかり。

2時間ドラマでの戸次竜馬もよかったね(笑)

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きらびやかさだけでは語れない俳優業の厳しさを知っているからこそ「子供が役者になりたいと言ったら、大反対です。もちろん可愛い子には旅をさせたいですが、同じような苦労はさせたくない。なぜダメなの?と聞かれたら、それこそ“ダメなものはダメだ!”が発動しますよ」ときっぱり。しかし優先されるべきは本人のやる気といい「本当に役者になりたいのならば、親が反対してもやるべき」と真剣さを要求する。

父親になり一家の大黒柱にもなった。そろそろ“ミスター残念”という肩書も卒業したい。目指す異名は“竜馬俳優”だ。

「日本で織田信長と坂本龍馬を演じることが出来るのは、一流の役者の証。だから“戸次さんの竜馬が凄く良かった”と言われる日が来たら、それは役者としてアガリ」と力を込める。

ちなみに坂本龍馬といえば、最近では大河ドラマの福山雅治がいるが「もちろん福山さんを押しのける事は出来ませんから、僕はいつか2時間ドラマ枠で。“大河の福山さんもよかったけれど、2時間ドラマでの戸次竜馬もよかったね(笑)”という片隅感覚でお願い出来れば幸いです」。

“ミスター残念”は、遅咲きからくる謙虚さに溢れた“ミスター気遣い”の人だった。

(石井隼人)

記事制作 : 石井隼人

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