「東京国際映画祭」レッドカーペットの裏側! スターと直接会うために必要なのは一体…?

コラム

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文・撮影=平辻哲也/Avanti Press

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映画&音楽&アニメの融合プロジェクト「TIFFアニ!!」

第29回東京国際映画祭が10月25日に東京・六本木で開幕した。韓国の釜山国際映画祭など後発の映画祭に押され気味の東京だが、アジア最大規模の映画祭というのが売り。今年からは発信力をさらに高めるべく、新たな取り組みを行っている。それは舞台あいさつなど各種のイベントで可能な限り一般来場者の写真撮影を可能にするというものだ。

SNS拡散がもたらすWin-Winな関係

事務局スタッフは言う。「実は昨年も、レッドカーペットでは写真撮影OKとしていたんです」

知らなかった。確かに、事務局の発信力は足りていないかも。

昨今、映画の初日ではファンの写真撮影解禁が増えてきた。一重に、SNSの影響力がより大きくなっているからだ。東宝幹部も2016年中間決算発表会見上、『シン・ゴジラ』『君の名は。』のメガヒットの要因について、「SNSの威力が発揮された」と話している。SNSの場合、文字だけよりも写真付きの方が目に留まる確率は増える。写真撮影の解禁は、ファンにとっても、映画関係者にとっても、ハッピーをもたらす。Win-Winな関係にあるようだ。

必要なもの、それは根性

お目当ての映画人と間近に触れ合う映画祭は絶好のチャンスと言える。特に一番華やかなレッドカーペットは、一度にたくさんのスターと会える上、入場料さえもいらない。

ただし、必要なものがある。それは根性だ。私も、メディア席ではなく、一般ファンと混じって、レッドカーペットを見物してみようと試みたが、10時から配布された1200枚の整理券は約1時間で終了と聞き、あえなく断念した。一番乗りはスタッフよりも早い午前6時15分には並んでいたそうだ。レッドカーペット開始時間は午後3時。9時間近く待たなければ、いけない。ファンのみなさんの行動力と忍耐には毎回、恐れ入る。

一方、メディア側にも多少の“根性”は必要だ。この日の取材人数は757人(ムービー107台、スチールカメラ240人、記者156人)。ファンには自由に許されている写真撮影だが、プレスの写真撮影は専用のカメラマン席のみ。これには、写真ポイントの場所や不用意な混乱を避けるため、という事情があるようだ。

取材陣は開始1時間半前にTOHOシネマズ内の劇場で事前説明を聞き、待機。レッドカーペット会場に入るのに約1時間以上かかった。場所取りも熾烈である。カメラマン席も当然、すし詰め状態。終わりまで立ちっぱなし。トイレに立つこともできない。隣のカメラマンと前席の外国人プレスは「レンズが顔に当たる」と言い合いをしていた。こんな風景も、国際映画祭ならでは、と言えるかもしれない。

豪華絢爛なレッドカーペットの華たち

レッドカーペットは午後3時にオンタイムでスタート。椎名保ディレクター・ジェネラルとフィスティバルミューズを務める女優の黒木華がトップバッター。黒木は艶やかな橙色の着物姿という装い。今年の映画祭の顔というべき彼女はその後、特集上映が予定されている岩井俊二監督とも並んで歩いた。

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トップを飾った黒木華と特集上映のある岩井俊二監督

ゲストは取材を受けたり、サインに応じたり、仲間内で撮影したりとカーペットをゆっくり歩く。私が陣取ったレッドカーペットの最終地点である「フォトコール」まで、15分以上、姿を見せないこともままある。

一際、黄色い歓声が上がったのは、特別招待作品『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』で、モデルの佐々木希とW主演を果たした韓国の人気グループ「SUPER JUNIOR」のリード・ヴォーカル、イェソン。名前の書かれたうちわを見せて歓迎する若い女性グループもいた。ほかには、『種まく旅人~夢のつぎ木~』の斎藤工、クロージング作品『聖の青春』の東出昌大への声も大きかった。

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『種まく旅人〜夢のつぎ木〜』

メディアからの注目が高かったのはやはり、女優陣。『うつくしいひと』の橋本愛は足元まで隠れるロングドレス。『アズミ・ハルコは行方不明』の蒼井優はベルベットのドレス、黒を基調にしたシースルーのセクシーな高畑充希は「カーペットと同化しようと思って……」という朱色のドレス。胸元が大きく開いた黒いシースルー・ドレスを着ていた安藤サクラには、ポーズのリクエストの声も上がっていた。やはり、露出度の高いカメラマンの目を引くらしい。私もいっぱいシャッターを切った。

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『アズミ・ハルコは行方不明』

大トリはオープニング作品『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』の主演メリル・ストリープ。鶴の刺繍が施された和テイストのドレスで登場。笑顔を振りまき、サインにも応じ、さすがオスカー受賞の大女優というオーラを振りまいていた。ほかには、リュック・ベッソン監督のアクション『ニキータ』のヒロイン役で知られるアンヌ・パリロー、審査委員長の『ディーバ』『ベティ・ブルー』のジャン=ジャック・ベネックス監督も登壇。昨今、アジアに力を入れている東京国際映画祭だが、欧米のメジャーな映画人が参加すると、華やかさが増す。

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大トリはメリル・ストリープ

チャンスはまだまだある!?

時折、冷たい雨が降り、最低気温13度。定刻の午後6時、無事終了。寒さに震える中だったが、多くの映画人を間近に見ることができたファンのみなさんは満足そうな笑顔で去っていった。

すっかり体が冷えた私は、というと……。すぐさまトイレに駆け込んだ。すると、レッドカーペットを指揮していた矢田部吉彦コンペティション部門プログラミング・ディレクターとバッタリ遭遇。「ここ数年で、一番寒さが厳しかったですね。ずっと天気には恵まれていたので」と矢田部氏は言う。歳のせいかもしれないけれど、確かにきつかった。おそらく、肌を露出するドレスを着ていた女優陣も大変だったろう。華やかさの裏側には忍耐も必要なのだ。来年、レッドカーペットの観覧を希望するみなさんは、雨具や防寒対策はどうか万全に。

レッドカーペットを見逃した方も、まだチャンスはある。映画祭は11月3日まで開催。まだ始まったばかりだ。映画を見たり、会場付近をブラっと歩いてみてください。運さえよければ、お目当ての映画人と出会えるかもしれない。カバンには、映画祭パンフレットとペンを常備しておくことをおすすめします。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)