こんな妻夫木聡、見たことない!殺人鬼“カエル男”が怖すぎる『ミュージアム』

コラム

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11月12日より公開の映画『ミュージアム』は、公開前の宣伝からここまで言っちゃっていいの!?と心配になるような大盤振る舞い。まず史上最悪の猟奇殺人鬼“カエル男”の本名は霧島早苗で、妻夫木聡が演じていると正体バラしちゃっていますし。また、カエル男による「ドッグフードの刑」や「母の痛みを知りましょうの刑」「均等の愛の刑」といったデヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』を彷彿させる嫌~なアイデアあふれる5つの私刑についても公式サイトにて動画でアピール。

うーん。アクションが絶賛された実写映画『るろうに剣心』シリーズを手がけた大友啓史監督の作品ということで、『ミュージアム』は謎めいたストーリーよりも、ド派手なアクションに重きを置いた作品ということ? そんなふうに思っていましたが完全に勘違い。クライマックスの二転三転、いや、四転五転していくような展開は息もつかせぬほどでした。いやー、やられた!

顔が見えなくても…妻夫木が演じたかった“カエル男”とは?

『ミュージアム』の原作は、巴亮介による同名の漫画。主人公の沢村久志(小栗旬)は、雨の日に発生する連続殺人事件を追っている。被害者の共通点は、4年前に起こった“幼女樹脂詰め殺人事件”の裁判員裁判の裁判員たちだった。そして、沢村の妻・遥(尾野真千子)もその事件の裁判員を務めていた。慌てる沢村だが、遥は家庭を顧みない沢村に愛想を尽かして息子の将太(五十嵐陽向)を連れて家を出ている。次のターゲットは娘と息子。追い詰められた沢村が、殺人鬼・カエル男(妻夫木聡)を追った先に見たものは?

こんな妻夫木は見たことがない! 一口に殺人鬼といってもカエル男は、殺人をアートと見ており、被害者1人1人が背負った“罪”にふさわしい方法で刑を執行していくという特殊な人物。それにカエル男はその名の通りカエルのマスクを被っており、ある理由から素顔には痛々しい特殊メークが施されています。つまり妻夫木が演じているとはわかりにくいビジュアルをしたキャラクターでもあるんです。

それにもかかわらず、妻夫木はほぼすべてのシーンを自ら演じたそう。しかも2、3カ月かけてトレーニングを行い、肉体を鍛え抜きました。彼にとって“カエル男”はそれだけ本気で取り組むべき役だと感じたということでしょうか。

また小栗演じる沢村の、事件を追ううちに自身も狂気にとらわれていく様子、夫と一緒に究極の選択を迫られる尾野演じる遥の号泣も必見。あと大ヒット映画『シン・ゴジラ』の尾頭ヒロミ役で話題になった市川実日子は『ミュージアム』では、今度は仏頂面の女医を演じていますよ。眼鏡姿もかわいい。

「最悪のラストを期待する」自分にゾッ!

『ミュージアム』の大きな魅力が、展開のスピーディーさにあります。サスペンス要素のある映画って、主人公が悩むシーンや地道な捜査シーンが長すぎて正直飽きることも多いでしょう。ですが本作では前半は10分ごとくらいの勢いでオリジナリティーあふれる方法によって殺人事件がバンバン起こるし、火花飛び散るカーチェイス(むしろ車のぶつけ合い)に肉弾戦もあるし、単独捜査を始めた沢村は手がかりを知っていそうな相手に捜査令状を求められると「礼状ならある!」と拳銃を突き付けるし、「マジかよ!?」と言いたくなるようなド派手なシーンの連続です。これぞジェットコースター・ムービー。

クライマックスになるとスピードは一層加速。カエル男があの手この手の精神攻撃を繰り出してくるわけですが、恐ろしいのは、「どうか沢村一家は助かってくれ……」とハラハラすると同時に、どこかで最悪の結末も待ってしまっている自分がいること。これだけ異常なカエル男ですもの。一体どのように主人公を壊してくれるんだろう?と想像してしまう部分もあるんです。キャッチコピーが「最悪のラストに驚く」ではなく「最悪のラストを期待する」となっている意味が心の底から理解できてしまいます。

他人の“最悪”を期待してしまう、この感情。これはカエル男に言わせると、何の刑に当たるものなんでしょう? 果たしてエンディングは……? ハァ、揺さぶってくるタイプの映画だったなぁ……。

(文/原田イチボ@HEW)

記事制作 : HEW

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