一番好きな映画ジャンルはホラー。年間数十本は見る筆者ですが、「一番怖かった作品は?」と聞かれると、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年公開)と答えます。6万ドルという超低予算で制作されながらも、POV(主観ショットのこと)で撮影された映像は全編通じて嫌な緊張感があり、記録的な大ヒットを叩きだしました。その17年ぶりの“正統なる”続編が12月1日公開の『ブレア・ウィッチ』(監督:アダム・ウィンガード)。前作への思い入れが強いだけに、どんなもんでしょう……?

“何もわからない”のが魅力だった

主人公のジェームズ(ジェームズ・アレン・マキューン)は前作で“ブラック・ヒルズの森”を訪れてそのまま消息を絶ったヘザーの弟。姉の失踪から20年後、ジェームズはYouTubeで姉らしき人物が映った映像を発見する。姉を救うため、そして“ブレアの魔女”の謎を解くために彼は仲間たちとカメラを携えて、あの森に踏み込んでいく――。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の何が怖かったか? それは“何もわからない”ことにあるんじゃないでしょうか。 多くのホラー映画では後半30分くらいになると、「実はあの怪物は生前〇〇だった恨みを抱えていて~」なんてふうに謎が解き明かされます。ですが『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』に関しては一切わからない。何が何だかわからないまま、とにかく怪異が続いて最後は全員いなくなってしまう……。そのため当時はファンの間で、「あの怪異は結局なんだったのか?」という考察が盛り上がりました。

1人のファンとして、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の続編が出ると聞いたときに感じた不安はそこにありました。続編で前作と同じことをやっても仕方ありません。なにか謎がひとつ明かされたりしそうなものですが、それをやると『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の魅力が消え去ってしまうのでは……!? ああ、「実は~」だけはやらないでくれ!

最新テクノロジーを使ったPOV

そんなファンの心配に対して、『ブレア・ウィッチ』は最適解を出してくれたんじゃないでしょうか。その話はあとでするとして、まず前作との大きな違いのひとつに撮影機材が挙げられます。ヘッドセットカメラやドローン、HDSLRなど最新テクノロジーを使用しており、映像だけで“2016年に公開される最新作!”というのが感じられて興奮します。ブラック・ヒルズの森が上空から見られる時代になったんだなぁ。

奇妙な木のオブジェ“スティックメン”を始め前作のモチーフもいろいろ登場し、そうそうこれだよ!という感じ。ただ何かの気配が漂う森で奇妙な出来事が続き……という淡々とした展開は同じで、正直なところ「うーん。確かに撮影機材は新しいけれど、前作とそんなに変わり映えしないような?」という気持ちになっていましたが、そこでさっきの“最適解”の話ですよ!

“ルール”が決まり世界が広がる

『ブレア・ウィッチ』では、謎に対する答えを明かさないかわりに、ある“ルール”を定めます。そうすれば怪物から逃れられるというルールなのですが、今回初めて生まれた設定にもかかわらず、前作の要素を引き継いでおり実に鮮やか! なんて冴えたやり方なんだと試写室で震えました。

そしてルールが決まったということは、今後の展開もいろいろ考えられそうです。『着信アリ』や『リング』などはルールが明確だからこそ、シリーズを長く続けていくことができました。“一切わからないのが魅力”だからこそ続編が作りづらかったであろう『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ですが、『ブレア・ウィッチ』によってスッと道が1本通ったような印象です。

そんなわけで『ブレア・ウィッチ』が制作されたばかりですが、筆者は早くもシリーズの続編、さらにその続編……とわくわくしてしまっています。あっ、比較して語ってしまいましたが、前作を見ていなくても楽しめる作品なのでご安心を。ちなみに私はチラ見えする怪物が不気味で、鑑賞当日の夜は眠れませんでした……。

(文/原田美紗@HEW)