アイドルグループ・乃木坂46の橋本奈々未が芸能界引退を発表しました。人気メンバーの突然の引退発表はファンを驚かせましたが、さらに驚くべきはその引退理由。「家計や弟の学費のことが落ち着いたため」だと明かし、話題になりました。家族を支えるためにアイドル活動をしていた彼女を称賛する声は多いですが、その一方ではこの“美談”に対する異論もあがっています。

水道やガスが止められるほどの貧乏家庭育ち

もともと芸能界入りしたのは家族を経済的に支えるためだったという橋本。実家は水道やガスがたびたび止められてしまうほど「めっちゃ貧乏だった」のだとか。弟の学費を出してあげたいという思いで芸能界入りし、そしてその学費のめどがたったから芸能界を引退する……って、イマドキそんな子いるんですね、っていうくらい昭和感満載のエピソードですが、いやはや立派ですね。

引退発表後、10月31日放送のテレビ東京系「乃木坂工事中」に出演した橋本は、「弟も大学にちゃんと行けて。今、1年なんですけど、勉強をちゃんと頑張ってくれて、学費免除になったんですよ」と安堵の表情で語っていました。橋本だけでなく、弟も立派な青年のようですね。

こうした橋本の引退発表までの経緯について、ファンだけでなく芸能界からも称賛の声は多数あがりました。乃木坂のデビュー当初から番組で共演するバナナマンの設楽統は、突然の引退発表に驚き残念がりながらも「お金じゃないんだね、だからカッコイイよ。一歩踏み出す感じがさ」と、その潔さを称えていました。

松本人志は「美談すぎてウソちゃうかな」!?

もちろん誰もが手放しで称賛しているわけではありません。ダウンタウンの松本人志は11月6日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で「美談すぎてウソちゃうかなって、思うところもある」と語っていました。橋本ファンからすれば「疑り深い」と感じてしまうかもしれませんが、芸能界の“演出”を熟知している松本だけに、あまりに“美談”あつかいされることに、額面通りに受け取る気になれないのもわかる気がします。

また、同番組ではフリーアナウンサーの古舘伊知郎も「僕もちょっと半信半疑ですよ。秋元康の演出入ってるんじゃないかなって」と、松本に同調していましたが、古舘アナの場合はさらに、橋本が仕事をする目的がお金だったと語っていることに異論を唱えていました。

古舘伊知郎は「労働は雪かき」と説く

古舘アナは「日本は子どもの貧困が進んでいるのも事実。貧富の格差があるから。そこで、こういうことが事実であったとすれば、この後ろにいっぱい辛い思いをしている家庭がある」と、橋本のように経済的理由から仕事せざるを得ない子どもや若者が増えていることを前置きした上で、それでも「労働って、お金だけじゃない」と主張。

「『労働は雪かき』っていう言葉、僕は好きなんだけど、自分の家の前をかいているだけじゃダメなんですね、雪かきって。隣の家も高齢化が進んでいるからかいてあげなきゃいけないし。結果、自分が100働いて100お金がもらえるってありえない。半分も返ってこないくらい、身を粉にして働くっていうのが『働く』だから」と持論を展開し、橋本に向けて「芸能界を引退するのは自由だけど、今度やるジャンルのお仕事で、労働の苦しみと喜びを知ってよ」との思いを語っていました。

古舘アナの言葉には、橋本が数年間のアイドル活動ではまだ“労働の苦しみと喜び”を知っていない、と見ていることがうかがえます。その認識が正しいか否かは別として、橋本の引退を“美談”として捉えない理由には、自身の仕事を“続ける”ことに対する美学があるようです。「ものすごく不自由な12年間でございました」と、「報道ステーション」のメーンキャスターを辞める最後に言い放った古舘アナならではの考え方なのでしょうね。

(文/花@HEW)