『ミュージアム』公開中-(C)巴亮介/講談社 (C)2016映画「ミュージアム」製作委員会

現在公開中の『ミュージアム』は、二転三転する物語の果てに衝撃のラストが待ち受けるサイコ・スリラー。タフでクールな刑事に扮した小栗旬の演技も見どころですが、やはり「肝」となるのは猟奇事件を引き起こす犯罪者「カエル男」です。

被害者に大量のクギを飲ませたり、飢えた大型犬に全身を喰わせたり……と、殺人の手口は残忍極まりなし。無表情でヌメッとした質感を醸した頭、吸盤までも再現されたリアルな造形の手足、雨の日に現われるという、カエルそのままの行動など、妻夫木聡の怪演が生み出した不気味っぷりは、観終わった後もしばらく頭から離れることはなさそうです。

『ミュージアム』の「カエル男」は被り物を装着した人間で、雨の日限定の凶行に及ぶストーリーなのですが、一般的に映画においては、何かしらの理由から動物の姿に変貌する展開が定番。これからご紹介する「○○男」も、一度見たら頭から離れないインパクトです。

トラウマものの「○○男」

代表格といえば『ザ・フライ』(1986年)の「ハエ男」でしょう。人体の転送実験の際、ハエが紛れ込んだことにより、誕生するのですが……普通の男性の皮膚が徐々にただれ、その裂け目から体液や腐汁が溢れ出し、爪や歯が抜け落ち、グズグズになった肉体から出現するハエ男のおぞましさは絶叫もの。ジェフ・ゴールドブラムの怪演ぶりは30年経っても怖い意味で色褪せません。

おぞましさという点では『Mr.タスク』(2014年)の「セイウチ男」も負けていません。セイウチに命を救われたという老人が異常なセイウチ愛から、彼を取材しに訪れた男を監禁。脚を切断&全身をセイウチのように整形し、切断した脚の骨を削り出して作った牙をとり付ける……という展開はトラウマ必至です。

また『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)のヴィラン(悪役)として立ちはだかるリザードも言わば「トカゲ男」。ピーター・パーカーと交流をもつコナーズ博士が不完全な新薬実験から二足歩行のトカゲとしか言いようがない姿に変貌。爬虫類のルックスに筋肉隆々のボディ。トカゲでありながらヤモリのようにビルの壁をよじ登ってはスパイダーマンを追い詰め、ハイパワーなパンチやキックをお見舞するさまは驚異的であり、痛快です。

悲哀を抱える「○○男」


『フィッシュマンの涙』12月17日より公開-©2015 CJ E&M, WOO SANG FILM

ハエ男、セイウチ男、トカゲ男……こうして挙げると、まるで「仮面ライダー」の秘密結社ショッカーの怪人のようなラインナップ。それぞれの誕生の経緯も「仮面ライダー」のエピソードになりそうなトラウマ的展開。恐ろしく、そして哀しみが付きまといます。この、哀しみが怖ろしさより際立つ「○○男」の物語は、心にジンワリ染み入るケースもあります。

例えば、12月17日公開の韓国映画『フィッシュマンの涙』には「サカナ男」が登場します。こちらは新薬治験によって半分魚で半分人間の肉体になってしまった青年の苦悩を描いた、異色のドラマに仕上がっていて、眼をキョロキョロさせ哀愁を漂わせる姿に……どこか悲しく奇妙な思いを抱かされます。

また、2017年4月21日公開の『美女と野獣』(2017年)に登場する野獣は「人の心と獣の姿」を持つ存在で、言わば「ケモノ男」といったところでしょうか。アニメで有名な作品の実写化で、ヒロイン・ベルをエマ・ワトソンが演じることでも話題ですが、野獣がどんな姿で描かれ、インパクトを残すのか。そして苦悩するさまをどう演じるのか、良い意味で今から期待せずにはいられません。

ヒーローな「○○男」

ちなみに現在放送中のスーパー戦隊シリーズ「動物戦隊ジュウオウジャー」は、さまざまな動物の容姿と能力を持った「ジューマン」が活躍する番組。普段は尻尾を生やしている以外は人間そのものの姿ですが、何か起こるとトリ、ライオン、ゾウといった「○○男」な本来の姿に戻ります(サメ、トラもいるのですがこちらは女の子)。こうした敵怪人のモチーフになりそうなキャラクターも、正義のヒーローとして活躍しています。そもそも先述のリザードと戦うスパイダーマンも「クモ男」ですからね。

「動物×人間」的に創造・創作されたキャラクターは、まだまだ掘り下げられる歴史を有し、強烈な個性がスクリーンを賑やかせてきました。マーベルコミックのヒーローが共演した「アベンジャーズ」シリーズや、DCコミックスの悪役が競演する『スーサイド・スクワッド』などが作られる昨今ですから、もしかしたら「○○男」を集結させた作品が作られたら……とんでもなく男祭りな話題作になるかもしれませんね。

(文/星メテオ・サンクレイオ翼)