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近年、ニュースなどで報じられる機会も増えた「ドローン」。個人でも遠隔操縦できる小型のものを購入でき、大手企業間ではGPSやAI搭載の自動操縦型をビジネス利用する動きが活発化しています。テレビ番組の空中撮影などにも使われているため、“便利な撮影機”……なんて認識の方もいるかもしれませんが、実はドローンは、もともと軍事目的で開発された無人航空機ということをご存知でしょうか? 12月23日より公開される『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』では、会議室でドローンによる映像を見ながら、戦争を進める人々の葛藤が描かれています。本作のストーリーと、実社会でのドローンの開発・利用状況についてご紹介します。

“戦争は会議室で起きている”!?

ギャヴィン・フッド監督による同作は、俳優のコリン・ファースが製作を手掛け、『クィーン』で知られるイギリスの代表的女優ヘレン・ミレン、2016年1月に他界したアラン・リックマンなど、アカデミー賞受賞キャスト&スタッフが結集した壮大なスケールの作品。

作品内で、イギリス軍諜報機関のキャサリン・パウエル大佐は、アメリカ軍ドローンを使い、会議室から英米合同テロリスト捕獲作戦を指揮しています。司令官たちがざわめいたのは、ナイロビに潜む凶悪テロリストへ向けてミサイル発射準備にかかった頃。スクリーンに、殺傷圏内にいる1人の少女が映し出されたのです。予期せぬ民間人の巻き添え被害を懸念し、軍人や政治家の間で議論が勃発しますが、キャサリンは少女を犠牲にしてでもテロリスト殺害を優先しようとして──。

実際、ドローン偵察機や攻撃機は、アフガニスタン紛争やイラク戦争から頻繁に戦地へ投入されるようになりました。戦闘員を危険に晒さず攻撃できると重宝されるなか、特に倫理的な観点で物議を醸してもいます。懸念されているのは、戦地から遠く離れた会議室などでは、人を殺しているという実感が湧きづらくなるという点。また、モニター越しに鮮明な殺害現場を目撃することもあり、多くの操縦者が、鬱やPTSDを発症するといわれています。誤爆や民間人の巻き添えも問題視されており、同作にはこうした実情がありありと描かれているのです。

人の命を救うドローンも

軍事利用が拡大する一方で、ドローン活用は救助活動にも展開されつつあります。日本の企業・スカイロボットは、人工知能搭載(AI)ドローンを使った世界初の探索レスキューシステム「TDRS」を開発。2016年5月に実証実験を行なっており、実用化が期待されています。従来のGPS搭載型のように地形に左右されることなく、遭難者のビーコン発信号を受信でき、より速く精度の高い捜索が可能になるそうです。またNTTドコモでは、2016年10月より「ドコモ・ドローンプロジェクト」を本格始動。携帯電話のLTEネットワークを使った「セルラードローン」技術を開発し、防災・減災や農業、物流分野等への活用を目指しています。11月には日本初となる、セルラードローンによる買い物代行サービスの実証実験を福岡県能古島周辺で実施。離島住民や地域のシニア層へ短時間・低コストで荷物を届けることが期待されており、2018年度の商用化を検討しています。

このほか海外企業もドローンビジネスに積極的に取り組んでおり、Amazon、Google、ドミノ・ピザなどが宅配サービス実現に向けてテストを実施しています。娯楽サービスで注目されているのは、フランスで開発された「Dronestagram(ドローングラム)」というSNS。壮大な自然や精巧な建築物などの写真・動画が公開されており、ドローンの映し出す映像の美しさをあらためて知ることができます。

人を救い、楽しませるところまで進化しているドローン。しかし、ドローンによる殺戮もまた、現実に起きていることなのです。多くの悲劇を生む軍事利用が、果たして真に有益なものといえるのか――? 映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』は、ドローン戦争の常態化した世界に、警鐘を鳴らす作品なのです。

<作品情報>
『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
12月23日(金)より、TOHOシネマズシャンテ他全国公開!
(C) eOne Films (EITS) Limited
配給:ファントム・フィルム