『君の名は。』の大ヒットから、アニメ映画というジャンルに注目が集まった2016年。そんな中、期待の1作が12月23日公開の『ポッピンQ』(宮原直樹監督)です。そのあまりのクオリティの高さにより、公開劇場が大幅に拡大された上に、なんと公開日を前倒して冬休みのメイン作品として打ち出すことが決定したというオリジナルアニメです。東映アニメーション60周年記念作に相応しい、まさに次世代のアニメーション作品となっています!

『プリキュア』で培ったダンス表現がさらに進化

住んでいる場所も家庭環境も違う、中学3年生の少女5人が“時のカケラ”を拾ったことで“時の谷”という別世界で奇跡の出会いを果たす。時の谷は危機に瀕しており、世界を救う方法こそが5人で踊る“ダンス”だった――。

この映画の目玉でもあるダンスシーン、これは本当に見事でした! アニメに3DCGを混ぜると一般的にどうしても違和感が出るもので、手描きは大変だから“仕方なく”3DCGにしたという印象が付きまといます。しかし、その点はさすが『プリキュア』シリーズのダンス映像を手がけてきた宮原直樹監督です。キャラクターごとの振りはもちろん、髪や衣装の動きもリアルなのに加えて、ダンス中の表情の変化も鮮やか。とくにキャラ同士のアイコンタクトはとても自然で、3DCGと手描きが完璧に融合しています。

作品の魅力を底上げするのは、かわいらしい登場キャラクターたちです。キャラクター原案を担当したのは、人気ライトノベル「キノの旅」などを手がけるイラストレーターの黒星紅白。また、5人の少女たちを演じるのは、アニメ「ちはやふる」で主人公の綾瀬千早役を演じた瀬戸麻沙美をはじめ、井澤詩織、種崎敦美(※崎は立つに可)、小澤亜李、黒沢ともよと人気の面々がそろっています。とくに瀬戸麻沙美の演じる高知育ちの少女・小湊伊純が話す土佐弁は、イントネーションに細かく気を配られているのが伝わりました。

また、彼女たちが冒険する世界やその住人“ポッピン族”たちもかわいい! 初回鑑賞時はストーリーを追うとして、世界観を堪能するためにもう一度見たくなるような味わいがあります。

アニメだからこそ描ける“15歳”の葛藤と成長

『ポッピンQ』では、“15歳”という思春期真っ只中の少女たちの姿を描き出します。誰もが一度は通る、青春のひとコマ。本作はこの年齢ならではの葛藤と成長を、ファンタジックな冒険を通じて表現しているのです。性格も価値観もバラバラな少女たちは、お互い衝突を繰り返しますが、その中で自分自身とも向き合ってくことになります。そして同じように悩みを抱える仲間と次第に心を通わせていくのですのですが、キャラクター同士の心の繋がりは、ダンスの上にも表れます。始めこそ息が合わなかったけれど、彼女たちの心の成長につれて、ダンスもどんどん上達していく……。この過程はとてもワクワクしました! ラストダンスは感動必至です。

冒頭で話した通り、アニメ映画というジャンルが大きな波を起こしている今、このブームを一時のものに終わらせず未来に繋げていくことができるのか、非常に興味深いところ。今年を締めくくるアニメ映画として『ポッピンQ』はどこまで人々の心をつかむことができるのでしょうか。ぜひ2017年は、「『ポッピンQ』が大ヒット!」というニュースと共に迎えたいものです!

(文/上野澪@HEW)