ワケありの7人の“アウトロー”が魅せる本来の男らしさ『マグニフィセント・セブン』

コラム

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『マグニフィセント・セブン』
左から、ヴィンセント・ドノフリオ、マーティン・センズメアー、マヌエル・ガルシア・ルルフォ、イーサン・ホーク、デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イ・ビョンホン
『マグニフィセント・セブン』

文=皆川ちか/Avanti Press

“草食系”という、人類史上かつてなかったジャンルの男子が誕生しはじめて、約10年。この系は増殖と分裂、枝分かれを繰り返し、今や“絶食系”“偏食系”“断食系”など様々にカテゴライズされている。中性的で肌はすべすべ、物腰やわらかで優しく穏やか――イイ男の定義が全般的に、このように変わりつつある中、クラシカルなほど昔ながらの男の魅力を追及した、男くさい、どてらい映画がやってくる。

いずれもワケありのアウトロー、七人が集結

『マグニフィセント・セブン』

『マグニフィセント・セブン』。黒澤明の不朽の名作『七人の侍』(1954年)を原案として、舞台を日本の戦国時代の農村から、アメリカ南北戦争後の西部開拓時代の町へと変換。あくどい資本家に狙われた町の住人を守るため、いずれもワケありのアウトロー、7人が集結する。

アウトローであるからして、どの男たちからも危険な匂いがぷんぷんする。『七人の侍』における志村喬のポジションである、リーダー格のチザムは賞金稼ぎの治安官だ。法の執行人でありながら用心棒をも引き受けて、紳士然とした態度を崩さず、そのくせ悪党には容赦なく銃をぶっ放す。演じるのは、現代ハリウッド映画界の良心的存在、デンゼル・ワシントン。重厚で頼り甲斐があり、たぶん滅多に怒らない。だからこそ、怒らせたらものすごく怖そうな彼のイメージがそのまま生かされていて、存在感はピカ一だ。

チザムから最初にスカウトされるギャンブラーのファラデーは、チームの盛り上げ役担当の色男。十八番のカードマジック(酒場手品レベルというのがまたいい味)との合わせ技で銃を繰り出し、特技はハッタリと不意打ち。町を代表して用心棒探しに奔走する未亡人に流し目を送り、すげなくされてもドヤ顔なのがいっそ清々しい。痩せてしゅっと引き締まったクリス・プラットが、草食系とは真逆の爽やかさを放っている。

90年代の映画好き女子はみんな彼が好きだった! なイーサン・ホークも、スナイパーのグッドナイト役で登場。先の戦争でのPTSDに苦しみながらも銃以外に生きる術を持たない、孤独で皮肉屋で、実は優しい、もはや若くはない男――超絶イケメンから哀愁中年へと鮮やかなトランスフォームを遂げて、渋さマシマシだ。

グッドナイトの相棒であるナイフ使いのビリーは、アジア枠からのイ・ビョンホン。寡黙にしてクール。黒髪を無造作にまとめているヘアピンを武器に闘う姿が、猛々しくも美しい男の色気を醸しだす。他、ネイティブ・アメリカンの戦士レッドハーベスト(武器:弓矢)、お尋ね者のメキシコ人バスケス(武器:二丁拳銃)、巨体の山男ホーン(武器:トマホーク)ら、いずれ劣らず個性的でキャラの立った男たちが登場する。

本来の男らしさとは、そして本当にイイ男とは

『マグニフィセント・セブン』

金のためではなく、大儀のためでもない。ただ自らの誇りと意地、仲間との友情、そして心の底に眠っていたモラルが目覚め、突き動かされて、多勢に無勢な闘いに挑む7人。そんな彼らの姿を見ているうちに、打ちひしがれ、諦めきっていた町の男たちもまた、自らの手で闘う気持ちを、勇気を取り戻していく。

最年少のレッドハーベスト以外、全員ヒゲもじゃ。埃まみれで汗っぽくて、体臭もきっときつそう。むせかえりそうに男くさく、暴力も辞さず。『七人の侍』の侍たちがそうであったように、彼らがしていることはただ一つ――それは、苦しんでいる誰かを助けるということ。

本来の男らしさとは、そういうものなのではないだろうか。そして本当にイイ男とは、異性以上にまず同性が、すなわち男が惚れてしまう男を指すのではないだろうか。

『マグニフィセント・セブン』
2017年1月27日(金)ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督:アントワーン・フークア
出演:デンゼル・ワシントン(『トレーニング デイ』『イコライザー』)、クリス・プラット(『ジュラシック・ワールド』)、イーサン・ホーク(『6才のボクが、大人になるまで。』)、イ・ビョンホン(『ターミネーター:新起動/ジェニシス』)、ヴィンセント・ドノフリオ(『ジュラシック・ワールド』)

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記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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