ひと足早い!第89回アカデミー賞を賑わす話題作を予習しよう

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

文=ロサンゼルス在住ライター 町田雪/Avanti Press

年末年始といえば映画観賞。そんななか米国では、来年2月に開催される映画の祭典、第89回アカデミー賞に向けた賞レースが白熱している。まだ日本で公開されていない作品も多いが、映画祭や各アワードのノミネート&受賞結果、批評家のレビューを見ながら、あれこれオスカー予想を繰り広げるのも楽しいもの。これまでの動きをもとに、一足早いオスカー予習をしてみたい。

キーワードは「孤独の連鎖と、人とのつながりへの欲求」

oscar89_01
『ラ・ラ・ランド』
2017年2月24日 全国随時ロードショー
配給:ギャガ/ポニーキャニオン
(c) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

賞レース中盤時点でリードを見せているのは、米国の象徴的なエリアを舞台とした3作品。まずは、ロサンゼルスを舞台にした『ラ・ラ・ランド』。本作は、女優の卵(エマ・ストーン)と売れないジャズピアニスト(ライアン・ゴズリング)が繰り広げるロマンティックで切ないミュージカル映画だ。そして、ボストンを舞台にした『マンチェスター・バイ・ザ・シー(原題)』は、兄の死をきっかけに故郷へ戻ったボストン在住の男(ケイシー・アフレック)が、10代の甥と妻(ミシェル・ウィリアムズ)との関係のなかで、過去のトラウマと向き合う物語。続いてマイアミを舞台にした『ムーンライト』は、マイアミの貧困地域で育ったアフリカ系アメリカ人青年の成長物語で、ブラッド・ピットが製作総指揮に名を連ねている。

毎年、賞レースを賑わせる作品群は、その年のムードや社会問題を反映しているともいわれているが、オスカーに精通している米「バラエティ」紙のティム・グレイ氏は、今年のキーワードとして「孤独の連鎖と、人とのつながりへの欲求」を挙げている。上記の3作品のほか、有力視されている作品を以下に挙げた。これらを見ると、家族や異人種、生命の種別を超えた交流といった題材を扱っており、グレイ氏の挙げるキーワードの要素を感じられるだろう。

実在の人物や事件を題材とした有力作品をまず挙げたい。『LION/ライオン(原題)』は5歳で離れ離れになった家族と故郷を探すインド人青年の実話だ。そして『ラビング 愛という名のふたり』は、異人種間の結婚が違法であった1950年代に結ばれた夫妻の実話。また、『ヒドゥン・フィギュアズ(原題)』はNASAを支えたアフリカ系アメリカ人女性たちの姿を描いた伝記的ドラマだ。そのほか、ナタリー・ポートマンがジャクリーン・ケネディに扮する『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』なども有力視されている。また、2013年のボストン・マラソン爆弾テロ事件をもとにしたマーク・ウォルバーグ主演作『ペイトリオッツ・デイ(原題)』や、2009年の米航空機・不時着水事故の舞台裏を描いたトム・ハンクス主演作『ハドソン川の奇跡』にも注目だ。

oscar89_02
『メッセージ』
2017年 TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

このほか、様々な次元での孤独や絆を描いている有力作品もある。『メッセージ』は謎の知的生命体との交信を描くエイミー・アダムス主演のSF映画だ。『最後の追跡』は貧困に苦しむテキサスの町で銀行強盗に手を染める兄弟の物語を描いている。そのほか『フェンス(原題)』はデンゼル・ワシントンが元野球選手&現・清掃車ドライバーに扮する50年代の家族ドラマだ。『アメリカン・ハニー(原題)』は雑誌の定期購読の売り込みをしながら米国横断する一団を描くシャイア・ラブーフ主演の群像劇。そして、少年と自然、野生動物たちの絆を描いた『ジャングル・ブック』といった有力作も忘れてはいけない。

日本を舞台にした映画も有力! アニメの動きは??

oscar89_03
『沈黙-サイレンス-』
2017年1月21日(土)全国ロードショー
配給:KADOKAWA
Photo Credit Kerry Brown

日本の要素が含まれている作品としては、遠藤周作の原作をもとにしたマーティン・スコセッシ監督の意欲作『沈黙‐サイレンス‐』、第二次世界大戦の沖縄戦を描いたメル・ギブソンの10年ぶりの監督作『ハクソー・リッジ(原題)』が、賞レースに絡むと見られている。

長編アニメーション映画部門においては、“アニメ界のオスカー”であるアニー賞のノミネート結果が参考となりそうだ。今年は『ズートピア』が作品賞を含む最多11部門にノミネート。このほか、日本を舞台にした冒険物語『クボ・アンド・ザ・トゥー・ストリングス(原題)』、『モアナと伝説の海』『ファインディング・ドリー』『カンフー・パンダ3』が作品賞候補となっている。日本の『君の名は。』と『百日紅 Miss HOKUSAI』、スタジオジブリの日仏合作アニメ『レッドタートル ある島の物語』は、長編インディペンデント・アニメ部門にノミネートされている。

ちなみに、一般の観客や視聴者による人気投票で選ばれるピープルズ・チョイス・アワードでは、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が最多7部門のノミネートを獲得。12月のホリデーシーズンを前に公開となった『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、昨年の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に勝るとも劣らぬ高評価と興行成績に沸いている。オスカー賞レースとは別の次元で、これらもまた、2016年を代表する大切な作品なのだ。

第89回アカデミー賞のノミネーション発表は、年明け1月24日、授賞式は2月26日に開催される。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

シリーズ

関連映画

マイシアターとは?
お気に入りの映画館を「マイシアター」に設定しておくと、上映中の作品やスケジュールがかんたんに確認できるようになります。
マイシアターは2つまで設定できます。