低賃金で参政権・親権なし…実話からなる女性の“百年語り継ぐべき”物語『未来を花束にして』

コラム

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日本では女性初の都知事に小池百合子が就任。アメリカでは女性初の大統領にヒラリー・クリントンが立候補。いまや女性も重要なポストに着け、選挙に参加することは当たり前に。しかし、ほんの百年前は世界で女性参政権が認められている国はほとんどありませんでした。1月27日公開の『未来を花束にして』は、イギリスで参政権を求めて闘う女性たちを描いた作品。実話をもとにした「これからの百年も語り継ぐべき物語」として注目を集めています。

親権すら持てない…女性に厳し過ぎる社会体制

WSPU(女性社会政治同盟)の女性参政権運動が先鋭化していた1912年のロンドン。幼き子をもつ24歳の主婦・モードは、男性より長時間労働で低賃金の洗濯工場で働いていました。ある時、下院の公聴会で証言することになり、身の上や職場環境を語るうちに彼女は“違う生き方を望んでいる自分“に気付き始めます。

女性に生まれた以上は政治に参加できず、劣悪な環境で働き続けるだけの社会。「将来生まれる少女が、兄や弟と同じ機会を持てる。そんな時代のために闘う」。WSPUのリーダー、エメリン・パンクハーストの演説を聞き、モードは自分と重ね合わせた子どもたちの未来のために闘おうと、デモに参加するようになります。

当時のイギリス女性は、参政権も、そして親権さえも持てませんでした。離婚すれば子どもは父親のもとへ。デモに参加したモードは理解を示さない夫から家を追い出され、子どもと会えなくなり、さらに職場からクビを宣告されてしまいます。

過激なアプローチで参政権獲得を達成

映画の原題となっている“Suffragette(サフラジェット)”とは、非合法的手段も辞さない闘争的活動家のこと。合法的に権利を求めるサフラジストと区別して呼ばれる蔑称です。カリスマ的存在のエメリンは実在の人物で、爆弾テロやハンガーストライキを行なって何度も逮捕されました。

しかしこれまでイギリスでは、女性参政権を求めて国会に要請を出すといった平和的な抗議が50年も無視され続けてきました。WSPUの過激な訴えがあってようやく、1918年に30歳以上の女性に、エメリンが亡くなった1928年に男性と同じ21歳以上の女性に参政権が認められるようになったのです。

強力な女性キャスト&スタッフが送る“名もなき花”物語に注目!

モードを演じるのは、『17歳の肖像』で“21世紀のオードリー・ヘップバーン”と絶賛されたキャリー・マリガン。2015年に第1子を出産した彼女が、子どもの未来のため立ち上がる凛々しくひたむきな母親役に挑みます。指導者エメリン役には、オスカー女優のメリル・ストリープ。本人そっくりと話題を呼んだ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』など、実在の人物を演じることに定評があります。モードの同志・イーディスには、『ハリー・ポッター』シリーズなどでマルチな役柄を演じてきたヘレナ・ボナム=カーター。実は当時の参政権運動を弾圧したイギリス元首相のひ孫である彼女が、運動推進側を演じるのも興味深いところ。

監督は新進気鋭のサラ・ガヴロン。「こんな驚異的でパワフルな物語を、いままでどうして誰も映画化しなかったのか、不思議だった」とコメントを寄せています。脚本は前述の『マーガレット・サッチャー』も手掛け、私生活では2児の母であるアビ・モーガン。製作にはイギリスの著名プロデューであるサーフェイ・ウォードなど、強力な女性スタッフが結集。また、エメリンのひ孫にあたるヘレン・パンクハーストが脚本協力、カメオ出演もしています。

同作は、英雄ではなくごく平凡な主婦をヒロインに据え、“名もなき花”たちの目線で厳しい現実をよりリアルに描き出しているのも特徴的。こうした多くの女性の勇気ある行動があったからこそ、男女平等に政治参加できる今日があるといえるのでしょう。

(文/藤岡千夏@H14)

<作品情報>
『未来を花束にして』
2017年1月27日 TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!
(C)Pathe Productions Limited,Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.

記事制作 : H14

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