“記録的ヒット”が続いたアニメ映画、2017年も波に乗れるか!?

コラム

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【画像】(C)2016「君の名は。」製作委員会

2016年は、『君の名は。』を筆頭に『聲の形』、『この世界の片隅に』など多くのアニメ映画が大ヒットを記録しました。それも従来のアニメファンだけでなく広い層に支持され、アニメ映画の当たり年だったといえます。なぜこれほどアニメ映画がヒットしたのでしょうか。

大ヒット映画が次のヒットを牽引する!?

アニメ映画は毎年ある程度の数が上映されており、2016年だけ特別多かったわけではありません。それなのになぜ昨年は目立ったヒットが続いたのでしょうか。まず、アニメ映画が記録的なヒットを起こすために必要な条件として、できるだけ幅広い人に作品を観てもらうということが挙げられます。過去に上映されてきたアニメ映画の多くは、深夜アニメやヒットした原作のある作品のいわゆる“劇場版”が大半。劇場版は原作ファンという、メインターゲットが一定数見込めるものの、原作を知らない人に見てもらうことが難しいという側面があります。また、オリジナルアニメもコアなターゲットを想定していると思われる“人を選ぶ作品”が多かったのも事実。これらの例外が宮崎駿や細田守などの作品で、彼らの作品はアニメの枠を越えて多くの人に支持されているのはご存知の通りです。

では、2016年はどう異なっていたのでしょうか。最も大きなヒットとなった『君の名は。』を見てみると、まず監督である新海誠は過去に手がけた作品でかなりの数のファンを獲得していました。次に、作中楽曲に若者からの支持が厚いロックバンドを起用することで、SNS等での口コミの拡散力の強いティーンをターゲットに取り込むことに成功しています。『君の名は。』と、RADWIMPSの「前前前世」がセットで思い浮かぶ人は多いのではないでしょうか。そして声優に神木隆之介といった超人気俳優を起用することで一般層を取り込み、同時にメディアの注目を集めました。こうして築いた土台に乗る、作品自体の完成度が高ければ、あとは自然と口コミやメディアによる拡散によって大ヒットへの道が開かれるのです。

さらに、昨年は“1度大ヒットが起きると次のアニメ映画も注目されメディアに取り上げられやすくなる”、つまりヒット作品が次のヒットを呼ぶ現象が起こりました。『君の名は。』がヒットし、次なる作品として注目されたのが『聲の形』です。こちらは原作の漫画ファンが主なターゲットと思われましたが、作品の内容が感動系で一般にもアピールするものであったため、『君の名は。』でアニメに向いたファンを一部取り込むことに成功したのだと考えられます。その結果、「2016年はアニメ映画がすごい」という認識が広がり、さらに次のアニメ作品が受け入れられやすい土壌が醸成されていきます。これに『この世界の片隅に』も乗りました。同作の内容が素晴らしいのは言うまでもありませんが、良い作品が必ずしもヒットするとは限らないのは世の常。小規模での公開だった同作が全国に拡大上映され興収8億円、動員60万人を超えるヒットとなったのには、「皆がアニメ作品を求めるようになっていた」「口コミが最も重視されるツールという認識が広がった」というタイミングの妙もあったことは容易に想像できます。

“キャッチー=軽い”ではない

映画がヒットするには、作品自体の内容が素晴らしいのはもちろん、口コミされやすいことも条件のひとつです。そのために最も重要なのが、「映画館を訪れた観客が満足すること」です。当たり前のようですが、高い満足感を与えるのはなかなか難しいこと。ヒットしたアニメ作品はどれも高い評価を受けただけでなく、リピーターが多かったのも特徴といえるでしょう。なぜもう一度見たいとまで思える作品になったのでしょうか。

共通していることが、まず、1作で完結していることです。シリーズ化せず、初めての人もファンの人も同じように映画を楽しんで同じように満足感を味わえる、そういった点で2016年のヒットしたアニメ作品は共通しています。シリーズものは固定ファンが作れるメリットはあれど、新規のファンがつきにくかったり、シリーズの途中で離れてしまうファンもやはり存在します。安定はしても記録的ヒットを生み出すのは難しいのがシリーズ作品の特徴です。

そしてもう1つの特徴は、エンディングが分かりやすく後味が良い作品であるということです。作品を見終わった後の余韻がスッキリした作品の方が一般受けしやすいだけでなく、もう一度見たい、人に勧めたいと思ってもらえるでしょう。それが逆に「キャッチーすぎる」と批判されることもありますが、多くの人に受け入れられる=作家性が薄く軽い作品というのは間違いです。どの作品も、徹底的にこだわりぬいた上で、多くの人に満足感を与えている稀有な作品なのです。観客も、ちゃんとそれがわかっているから、ここまで評価されているのではないでしょうか。

多くのアニメ映画がヒットしたことで、アニメ映画というカテゴリ自体の株も以前より上がったことは間違いありません。2017年は昨年の勢いに続けるのでしょうか、楽しみですね!

(文/上野澪@HEW)

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記事制作 : dmenu映画