働く現代女性はきっと共感! 2度の恋愛に失敗しても逞しく生きる『アラビアの女王 愛と宿命の日々』

コラム

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世の中に素敵な女性はたくさんいる。仕事を続けながら結婚をして、子育てもして、プライベートも充実させて、そんな“完璧”に見える女性と出会うと「私は、何か大きく欠けているんじゃないか?」と落ち込むことがある。

結婚は何歳であろうとしたいときにできるけれど、出産には身体のリミットがあって。30代の頃は40歳までに何とか……と悠長に考えていたけれど、すでに40代。10年なんてあっとういう間。映画ライターという仕事柄、映画を観て、取材をして、原稿を書いて──そんな生活を十数年続ける間に、気づけば仲のいい友人たちはみんな家庭を持ち、母親になっているじゃないか! いつの間に? おいてきぼり?

そう思っていたのだけれど、ニコール・キッドマン主演の大河ロマン『アラビアの女王 愛と宿命の日々』という映画を観て、そういう生き方があったっていいじゃないかと感じたことがある。これはイラク建国の母と言われるガートルード・ベルのドラマチックな半生を描いた物語だ。

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英国鉄鋼王の家庭に生まれながらもベルが選んだのはアラビアの地。考古学者であり諜報員となった彼女はアラビアの砂漠2500キロ(往復)の旅を断行し、第一次世界大戦後にはオスマン帝国の支配からアラブの遊牧民を解放させ「もうひとりのアラビアのロレンス」と称された女性だ。旅の途中で2度の恋愛もあったが、どちらも実らなかった悲恋。生涯独身だったが、それでも逞しく生きた女性だ。

仕事柄、取材相手が20〜10代だったりすると、二十歳で子供を産んでいたらこの人たちは息子&娘のような年齢なのか……と、もしもあの時結婚していたら? 映画でよくありがちな“もうひとつの人生”について考えたりもする。仕事のために犠牲にしてきたものはもの凄く大きかったのではないかと後悔が押し寄せたりもする。そういえば遠い昔、20代の頃に「俺と仕事とどっちが大事なんだよ」と言われたこともあったような。そして「仕事」と答えてしまったような。ふつうは逆じゃない? って笑い話にできたのは30前半まで、今はイタすぎる。

とはいっても時計の針が逆回転してくれるわけでもなく、過去を振り返ってもいいことはないので、今はひたすら前を見て歩いているけれど、40代になると周りの人たちの結婚に変化が出てくる。好きな人と結婚するというオーソドックスな選択に加えて新たに出てくるのは、子供を産みたい、母親になりたい、大袈裟に言うと好きかどうかは二の次で、相手の男性が結婚に向いているか向いていないかが判断の基準になっているパターンだ。実際、世間では“産むだけ婚”とやらも急増しているらしい(ちなみに“嫌婚男子”なんぞも急増中だとか)。私の場合は、四十路でも夢見る夢子なところがあって、やっぱり恋愛の先に結婚派なので産むだけ婚は選ばないが、身体のリミットを考えると「うむむ……」と悩んでしまう。

結婚観に変化があれば恋愛トークにも変化があって、30を過ぎた頃からだろうか、結婚どころか恋愛が長続きせずに愚痴をこぼすと友人たちから「どうしてあの人じゃダメなの?」と聞かれ、その度に「ドキドキしなかったから……」と答えると軽いお説教が返ってくるようになった。今では「本当に結婚したいの?」「結婚する気ないでしょ?」とやんわり責め立てられ、いや分析していただいているが、自分を見つめるきっかけとなるので実はとても感謝している。

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そんなこんなで最近は結婚することは決して当たり前じゃない、ひとりで生きていく選択があっていいのだと考えるようになってしまったわけだが、そういう人生もあっていいのだと大きな勇気を与えてくれた。やり遂げたいことがあるのであれば、生き甲斐があるのであれば、それに人生をかけるのもありだということ、結婚に縛られなくてもいいのだということ、そんなメッセージを勝手に受け取り──頑張って働いてドキドキする恋をして生きていくぞ! と前向きになれた。お年ごろの独身女性には共感必至の映画だと思う。

文・新谷里映

『アラビアの女王 愛と宿命の日々』
1月21日(土)新宿シネマカリテ他全国順次公開 
(C)2013 QOTD FILM INVESTMENT LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

記事制作 : 新谷里映

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