これはカナダ版「ラブライブ!」!? 学校の危機を音楽の力で救う『天使にショパンの歌声を』

コラム

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『天使にショパンの歌声を』2017年1月14日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
配給:KADOKAWA-(C)2015 — 9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)

1月14日(土)公開の『天使にショパンの歌声を』(2015年)は、『翼をください』(2001年)、『天国の青い蝶』(2004年)などを手掛けるベテラン女性監督レア・プールの最新作。1960年代のカナダを舞台に、廃校の危機に瀕した女学校を、教師と生徒が“音楽の力”で打開しようとする感動作です。このストーリー、最近似ている作品が日本にあったような……。そう考えると、廃校の危機に立ち上がった“スクールアイドル”たちが活躍する人気アニメ「ラブライブ!」シリーズを想起せずにはいられません。ファンには「少し強引では?」と思われるかも知れませんけど、映画を掘り下げていくと、決してそうとは言い切れません。

舞台は、経営難に陥った女子校

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『天使にショパンの歌声を』2017年1月14日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
配給:KADOKAWA-(C)2015 — 9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)

シモーヌ・ボーリュー音楽院はカナダ東部、ケベック州の小さな寄宿学校。修道院が運営する女学院の一つで、音楽教育に力を入れており、校内では女学生たちの美しい歌声が響き渡り、前回のピアノコンクールでは銀賞受賞者を輩出しました。

ですが、近代化が進み公立学校が増えるカナダにおいて、修道院傘下の女学院は経営難に陥ってしまいます。なかでもシモーヌ・ボーリューは、音楽会のチケット代、ピアノ購入費などがかさみ、オーギュスティーヌ校長(セリーヌ・ボニアー)は修道院の総長から「採算が合わない」と閉鎖の可能性を示唆されます。

経緯は異なるものの、入学希望者が減少し廃校の危機にさらされる状況は、「ラブライブ!」(2013年、2014年)の舞台・国立音ノ木坂学院と限りなく近いものがあります。こちらは都内の伝統校でありながら、少子化などにより生徒数が減少し統廃合の対象になってしまいます。

ピアノに秀でた転校生が登場

そんなある日、音楽院に天性のピアノの才能を秘めた美しき天才少女・アリス(ライサンダー・メナード)が転校してきます。規律を守る寄宿学校の生徒たちとは異なり、どことなく大人びていてクールな雰囲気の彼女は、指導に反して自己流の演奏を貫こうとしたり、クラスメイトを連れて夜の町へ繰り出すなど教師たちに手を焼かせます。

ですがアリスは、両親に見放され同校に預けられたと思っていたり、夜の町へ出かけたのも教師との軋轢に苦しんでいたクラスメイトの心をケアするためだったり、自分自身や友達のことで葛藤や苦悩を抱え、この学校で成長していこうともがいていたのです。

生徒がそれぞれの問題に悩みながら未来を切り開こうとする。その過程で周囲の人々と思い合う。そうしたティーンズの描写には実写とアニメの垣根はなく、瑞々しく魅力的に描かれていきます。ちなみにピアノが得意な転校生アリスの設定は、「ラブライブ!サンシャイン!!」(2016年)で音ノ木坂学院から私立浦の星女学院へ転校してきた桜内梨子と重なります。梨子は転校先で“スクールアイドル”を夢見る高校2年生・高海千歌と友情を育み、仲間たちを集めて“Aqours”を結成します。

廃校の危機に音楽の力で立ち向かう


『天使にショパンの歌声を』2017年1月14日(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
配給:KADOKAWA-(C)2015 — 9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)

やがて廃校の機運が高まる音楽院では、オーギュスティーヌ校長が打開策に出ます。これまで閉鎖的だった同校をメディアに開放。音楽教育に情熱を注ぐ学校の意義をアピールすることで援助を獲得するなど活路を切り開きます。さらに校長は、姪でもあるアリスと少しずつ打ち解けながらピアノコンクールでの金賞受賞を目指します。ですが、彼女たちを更なる事態が襲います……。

教師が主体か、生徒が主体かという違いはありますが、親しみある学校のピンチを“音楽の力”で打開するストーリーの本作は、「ラブライブ!」の劇中、廃校の危機からスクールアイドル、“μ’s”の活躍で学校の人気上昇と活性化に繋げる展開を彷彿とさせるドラマが繰り広げられます。

映画では、ショパン、モーツァルト、ベートーヴェンらによるクラシックの名曲が全編に渡って流れ、時に女学生たちの歌声と相まって心に響き渡ります。ちなみに劇中、実際にピアノも演奏しているアリス役のメナードは、5歳からピアノを演奏しカナダを代表する音楽家30人に選ばれた新進気鋭のピアニスト。歌とピアノの違いはあれど、声優とアーティストを両立しNHK紅白歌合戦にも出場したリアルな“μ’s”と同じく、実際のステージで活躍している点も共通していると言えます。

時代も世界も違えどもピュアな思いを音楽に託して未来を見出す、そんな女性たちの姿は、2次元でも3次元でも変わらぬ感動を届けてくれるはずです。

(文/狩野洋・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼