黒澤明作品にも! 『沈黙‐サイレンス‐』で話題のマーティン・スコセッシ監督、意外に多い“出演作”

コラム

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マーティン・スコセッシ監督
『沈黙−サイレンス−』1月21日(土)全国ロードショー-(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

江戸時代初期のキリシタン弾圧を活写した『沈黙 -サイレンス-』(1月21日公開)は、28年前に遠藤周作の原作小説を読み、映画化を熱望したアカデミー賞監督マーティン・スコセッシが贈る、壮大な歴史大作です。

ボクサー役に減量してまで挑んだロバート・デ・ニーロの熱演を見事に引き出した『レイジング・ブル』(1980年)、ニューヨークマフィアとして生きた実在の男の半生を描いた『グッドフェローズ』(1990年)、そして、敵対組織にスパイとして潜入した2人の男の手に汗握る死闘を描写し、アカデミー賞に輝いた『ディパーテッド』(2006年)……。そんな数々の名作を世に送り出してきた名匠は、意外と出演作が多いことでも知られています。

自身の監督作で、スターたちと演技で渡り合う

アルフレッド・ヒッチコックやM・ナイト・シャマラン、ウディ・アレンのように、自分の作品にカメオ出演する監督は少なくありません。スコセッシもまさにその一人で、賞レースをにぎわすような映画にもたびたび顔を出して、作品に彩りを与えます。

中でも有名なのは、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『タクシードライバー』(1976年)。スコセッシは主人公トラヴィス(デ・ニーロ)が運転するタクシーの乗客役で出演、浮気妻の殺害をほのめかす演技を披露します。また、19世紀を舞台に、レオナルド・ディカプリオがギャング団への復讐を誓う青年を演じた『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)では、スリ師ジェニー(キャメロン・ディアス)が忍び込む豪邸の主人役で出演。さらに自身初の3D映画『ヒューゴの不思議な発明』(2011年)では、眼鏡にシルクハット&口ひげ姿の写真家に扮しています。

こうした“役者”スコセッシの出演は、自身の作品に留まりません。ロバート・レッドフォードが監督した『クイズ・ショウ』(1994年)ではクイズ番組のスポンサーを演じ、ドリームワークス制作のアニメ『シャーク・テイル』(2004年)では、ウィル・スミスやデ・ニーロ、アンジェリーナ・ジョリーらと共に声優も務めています。どの作品でもなかなかの演技で存在感を放っています。

ドキュメンタリー映画で、音楽への情熱を垣間見る

こうした演技が求められる作品以外にも、ドキュメンタリーへの登場回数が多いのもスコセッシの特徴だったりします。

スコセッシはロックをはじめとする音楽への造詣が深く、数々の音楽ドキュメンタリーで監督&出演を兼ねています。例えばライブの模様を収録した『ラスト・ワルツ』(1978年)ではインタビュワーを務めたり、『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』(2008年)では撮影のためにライブの進行をチェックするスコセッシの姿が確認できます。

自分の作品以外では、2人の巨匠の関わりを映した『ヒッチコック/トリュフォー』(2015年)、PV制作も手掛けている世界的デザイナー、ジョルジオ・アルマーニの実像に迫った『アルマーニ』(2000年)、そして『チャーリー・チャップリン ライフ・アンド・アート』(2003年)では、伝説的スターについてインタビューに答えています。

またスコセッシは日本のドキュメンタリー映画にも出演しており、『健さん』(2016年)で、長年連絡を取り合いながらも、仕事をすることは叶わなかった故・高倉健への想いを明かしています。その貴重なインタビュー映像からは、国民的スターが国際的にも親しまれていたことがうかがい知れます。

出演作からも感じ取れる日本への親しみ

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『沈黙−サイレンス−』1月21日(土)全国ロードショー-(c) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved.

スコセッシといえば、『健さん』以外にも、敬愛する黒澤明監督の『夢』(1990年)に画家フィンセント・ファン・ゴッホ役で出演しているのが有名です。出演には黒澤監督とのあるエピソードが秘められています。

かねてより映画の保存・修復運動を続けているスコセッシですが、1980年にNYを訪れていた黒澤監督に「映画の保存状態を改善する運動に名前を貸してくれないか」と直談判。その時の懸命に話をするスコセッシの印象が、準備段階だった『夢』への出演オファーにつながったのだそうです。

まさに映画がつなぐ日本との縁ですが、その先も不思議な縁が続きます。少年時代はカトリックの司祭になりたかったというスコセッシは、1988年にNY聖公会の司祭から進呈された英訳版の『沈黙』に魅了されました。『夢』の日本ロケに持参し読みふけったという物語の映画化を熱望し続けて今回その思いが結実しました。

監督であろうと、役者であろうと、語り手であろうと、映画作りに一途で、28年来の夢を実現させたスコセッシ、そんな彼の人柄に思いを寄せながら出演作を見てみると、映画のなかに何か新しい発見があるかもしれませんね。

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼

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