阿部寛&天海祐希による“熟年夫婦向け”デートムービー!『恋妻家宮本』がくれる「勇気」とは?

コラム

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(C)すしぱく / ぱくたそ

奥さんに最後に「愛している」って伝えたのはいつですか? 心ときめく恋物語は、若者たちだけのものではありません。1月28日公開の映画『恋妻家宮本』は、27年連れ添った熟年夫婦の愛情を描いた、笑いあり涙ありの“大人の”エンターテインメントです。

世界中の夫が“恋妻家”である!?

宮本陽平(阿部寛)と美代子(天海祐希)は、学生時代に合コンで知り合い、卒業と同時にデキちゃった婚。それから27年が過ぎて、一人息子も独立。夫婦水入らずの生活をおくることになったが、ある夜、陽平は、妻の記入欄がすべて書き込まれて捺印された離婚届を本棚で発見する――。重松清の小説『ファミレス』を原作とした物語です。

「家政婦のミタ」や「女王の教室」、「偽装の夫婦」など数々のヒットドラマを世に送り出してきた脚本家・遊川和彦の映画初監督作品である本作。遊川監督は、「27年寄り添った妻とのドラマを、エンターテインメントとして描くこと。これからの不安な時代を、お互いスクラムを組んで生きていくような話があってもいいでしょう」と作品に込めた思いを明かしています。

なお、“恋妻家”とは、「妻への思いに気がついた夫」や「言葉にすると新しいけれど、世界中の夫の中に必ず眠っている気持ち」を意味する造語とのこと。愛妻家のように上手く愛情表現できないのが玉に瑕なんだとか。

寝ながら尻をかく天海祐希

阿部寛は52歳、天海祐希は49歳。どちらも50歳同士の夫婦を演じるのにふさわしい年齢ではありますが、こんな長身の美男美女が、ありふれた夫婦役なんて明らかにミスキャストでは……? なんて考えていましたが、あなた、これまで寝ながらケツをかく天海祐希を見たことがありましたか!? 元宝塚男役トップである美人女優の天海が、しっかり者とガサツの間を行く、オバサン的ムードを見事に漂わせています。なんかこういうふうに、ワーッと話す中年女性っていますよね……と、リアリティを感じる役作りです。

そして、阿部寛演じる中学校教師の夫・陽平の絶妙に人をイライラさせる感じ! ファミレスでメニューを迷い続けたり、教え子の悩みにズレた反応を返したり、趣味の料理の話題となると、相手そっちのけで自分の世界に入り込んでしまったり……。

あと、2人の“普通の夫婦”感を演出する上で、重要な役割を果たしているのが、自宅のセット。冷蔵庫にはプリントがベタベタ貼られ、居間には物が多く、インテリアは全体的に茶色で垢抜けない。居間の入り口に玉のれんがかかっているのを見たときは、試写室で思わず「ダセェ!」と呟きそうになりました。「この2人を普通の夫婦に見せる」というスタッフの執念を感じさせます。

中年夫婦もロマンティックに愛を語っていい

さて、本作は大きく分けて、「離婚届を見つけた陽平のヤキモキ」「陽平の教え子“ドン”の家庭問題」「陽平が美代子に愛情を伝えるまで」の3つのエピソードで展開していきます。ただ、少し気になるのが情報量の多さです。

とにかくナレーションが多く、作品全体を通して“余白”に当たる部分が少なく感じられました。ひょっとすると、遊川監督は「1時間57分の映画」というよりも、「40分のドラマ約3話ぶん」という感覚で撮影をおこなっていたのかも? その詰め込み具合により、筆者としてはちょっと息切れする部分もあったのですが、このジャブを絶え間なく打たれるようなテンポ感にハマるかどうかは、フィクションに対する体力が大きいのでしょう。

とはいっても、山場をとにかく盛り上げて演出してくれる点は、さすがドラマ出身と感じさせる手腕です。とくに遊川監督が「この世界にはこの2人しか存在しない。そういうカットです」と説明するクライマックスは、熟年夫婦でもこんなにロマンティックなシチュエーションで愛を伝えあっていいんだ!と人々に勇気を与えるようなシーンとなっています。

本作を見た帰り、夫婦で久しぶりに手をつないだ……なんてことになれば、とても素敵。まさに熟年夫婦のためのデートムービーといえる『恋妻家宮本』ですが、最後に注意事項をひとつだけ伝えたい! 菅野美穂演じる毒舌主婦・五十嵐真珠が、「五十嵐さんみたいな人が近くにいたら……」と夫の浮気心をくすぐってしまいそうなくらい、かわいいぞ!! だから夫婦で見に行く際は、五十嵐さん出演シーンはぜひ夫の目をふさいでおきましょう。

(文/原田イチボ@HEW)

記事制作 : HEW

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