”違和感”“居心地悪さ”感じる人へ…ティム・バートンが注ぐ愛おしい視線

コラム

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(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation.

『アリス・イン・ワンダーランド』や『チャーリーとチョコレート工場』など、ファンタジックな作風で世界的ヒットを飛ばしてきたティム・バートン監督の最新作『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』。孤独な少年・ジェイクが、摩訶不思議な特殊能力を持つ子どもたちと彼らを保護する“ミス・ペレグリン”の元を訪れ、時空を超えた奇妙な世界を体験することに。その新世界には、バートン監督が作品を通して込める変わらないメッセージがありました。

見た目じゃ判別不可能!特殊能力を持つこどもたち

幼い頃から祖父に風変わりな話を聞かせられて育った少年ジェイクは、周囲に馴染めない浮いた存在でした。ある日祖父が謎めいた死を遂げたことから、ジェイクは遺言に従い小さな島を訪れます。森の奥で廃墟となっている屋敷を見つけたジェイク。そこには、かつて祖父から教わり、周囲に言って聞かせては嘲笑された、“透明人間の男の子”や“不思議な布をかぶった無口な双子”などが実在していたのです。

見た目は可憐なブロンドの少女・エマは鉛の靴を脱ぐと空中浮遊できる能力を持ち、靴を脱ぐときは誰かがロープで押さえていないと風船のように飛んでいってしまいます。体の中でハチを飼う少年・ヒューは口を開けるだけでハチが飛び回ってしまうため、養蜂用の防具をつけて蜂が周囲に飛び散らないように食事をするなど、共に過ごすにはひと手間かかるこどもたち。主人公・ジェイクも、元いた世界では目立たない気弱な少年でしかありませんでした。しかし、ミス・ペレグリンの屋敷が危機に陥ったとき、ジェイクの才能が活かされ、みんなの救世主となるべくときがやって来るのです。“奇妙”な子どもたちが居場所や環境の変化によって、唯一無二の能力をいかんなく発揮する場面は、現実世界で“生きづらさ”を感じている人への応援メッセージのようでもあります。

自分の能力を信じる勇気があれば、ヒーローになれる!?

ディズニー・スタジオで駆け出しのアニメーターだった頃のバートン監督は、あまりにも周囲と会話をしないため“言葉が話せない人”というレッテルを貼られるほど、自身もかなり“奇妙”な存在だったそう。今や世界的な映画監督として誰もが知るほどの名声を得ていますが、“他者との違い”によって起こる苦しみも喜びもバートンは身を持って体感してきました。 今作は、いわゆる“普通”の世界に居心地の悪さを感じる人へ新しい場所へ飛び込む勇気を与えてくれます。自分だけの能力を隠すことなく発揮していい世界を見つけられたなら、未熟な存在に思われがちな子どもたちでもヒーローになれる。そんなことがファンタジックな世界で表現されています。

ちなみに、そのバートン監督は子どもたちが勇ましく戦うクライマックスで、一瞬だけカメオ出演しています。ふわふわ頭の男性=バートン監督の姿も、是非お見逃しなく!

(文/岩木理恵@HEW)

記事制作 : HEW