『この世界の片隅に』ヒットで最注目アニメ監督に!片渕須直作品の魅力とは!?

コラム

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katabuchi500
映画『この世界の片隅に』公開中-(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

2016年11月12日の公開以来、ロングラン・ヒット中の劇場版アニメ『この世界の片隅に』。全国63スクリーンからスタートしながらも、その細部にまで目が行き届いた丁寧な絵作りと繊細な演出で多くの観客の感動を呼び、現在ではのべ190館近い規模まで上映館を拡大し続けています。

同作で披露した手腕を評価され、第90回キネマ旬報ベスト・テンの監督賞に輝いた片渕須直監督。大学生時代にTVアニメ「名探偵ホームズ」(1984〜1985年)で脚本家デビューを果たし、『魔女の宅急便』(1989年)では当初、監督に起用されるなど、早くから宮崎駿監督をはじめとする重鎮にその才能を見出されていた片渕監督は、作品と誠実に向き合うそのスタイルで、多くのアニメ・ファンから支持されてきました。そんな片渕監督が今までに手掛けてきたアニメの中で、代表作と呼べる3タイトルをご紹介します。

初の劇場版アニメ監督作『アリーテ姫』

1983年にイギリスの女性作家ダイアナ・コールが発表し、1989年に日本語訳が出版された童話『アリーテ姫の冒険』をベースにしたファンタジック・アドベンチャー『アリーテ姫』(2001年)。この作品で、片渕監督は脚色も担当しています。ある王国のお城に閉じ込められながらも、さまざまな本を通じて世界を知り、たくさんの知識をその身に蓄積しているアリーテ姫。彼女に命を奪われるとの予言を受けていた悪い魔法使い・ボックスに正常な判断能力を奪われ、彼の城に幽閉されたアリーテ姫が、自らの心を取り戻し、真の自由を得る様を温かなタッチで綴ります。

運命を自分の手で切り拓く姫のたくましさ、町に暮らす人々の姿を愛情のこもったまなざしで描くといった、『この世界の片隅に』でも見ることの出来る“片渕監督らしさ”が味わえる秀作です。

ガン・アクションが最高にカッコいい「BLACK LAGOON」

それまでファミリー向けのタイトルを多く手掛けてきた片渕監督が、容赦のないバイオレンス描写で知られる広江礼威の人気コミックを完全映像化。アニメ・ファンが騒然となった作品が、TVシリーズ「BLACK LAGOON」(2006〜2007年)です。タイをモデルとした架空の犯罪都市・ロアナプラを舞台に、ひょんなことから違法な運び屋・ラグーン商会のメンバーとなった元サラリーマンの日本人青年・緑郎ことロックの活躍を描きます。

片渕監督はシリーズ構成・脚本も手掛け、死線をくぐり抜けてきたタフなアウトローたちの戦いをスタイリッシュに演出しました。なかでも「戦うメイド」として人気の高いキャラクター、ロベルタをフィーチャーしたOVA「BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail」(2010年)は必見です。

『この世界の片隅に』映画化のきっかけ!? 『マイマイ新子と千年の魔法』

プリント
公式ホームページ http://www.mai-mai.jp/ (C)髙樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会

片渕監督・脚本による劇場版アニメ第二作は、小説家・高樹のぶ子の自叙伝的小説が原作のファンタジック・ストーリー『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年)。昭和30年の山口県防府市を舞台に、地元の少女・新子と都会からやって来た貴伊子が紡ぐ友情を、千年前に同地で過ごしていたという少女時代の清少納言の物語を交えて描きます。

公開当初は不発に終わったものの、作品に魅せられたファンによる口コミで再上映に動く映画館が次々に登場。数年に及ぶロングランを記録したことでも知られている同作を通した出会いのなかで、片渕監督は『この世界の片隅に』の原作コミックとめぐり会ったそう。「ファミリー向け映画と思いきや、実は大人こそ観るべき作品」「若手の女優を声優に起用」「人気アーティスト、コトリンゴが主題歌を担当」といった『〜片隅に』との共通点も数多く見受けられます。

映像化に際しての入念な取材や、原作を深く読み込み、その魅力を最大限に表現するために監督自身が執筆する脚本。そして、それに基づく緻密な演出と画面構成。片渕作品が持つこれらの特徴に注目しながら、監督の才能を味わってみてはいかがでしょうか?

(文/中村実香・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼

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