マニアックな映画を次々ソフト化!“売れない時代”に“売れる高品質”を出す「合同会社是空」を君は知っているか

インタビュー

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世界初Blu-ray化『バーニング・ムーン』(C)by IMAS FILMS

低価格配信サービスの充実を契機に、DVD・Blu-ray・CDなどのパッケージソフトの売上が著しく減少傾向にあるソフト不買の時代。そんな昨今において『意志の勝利』『サンタ・サングレ/聖なる血』『史上最悪のボートレース ウハウハザブーン』『超能力学園Z』『ダーク・スター』『ヘルハザード/禁断の黙示録』など、一部愛好家から熱烈な支持を集める名作・珍作を高品質ソフト化という形で蘇らせ、業績を伸ばしているのが、映画・映像コンテンツの輸出入・配給・製作を行なう合同会社是空だ。

3月3日には、あまりの残虐性ゆえに本国ドイツでは発売禁止措置のスプラッター映画『バーニング・ムーン』を世界初Blu-ray化すると同時に、ダリオ・アルジェント製作のイタリアン・ホラー『肉の蠟人形』も国内初Blu-ray化する。しかもこの2作品はレンタルはせずに、販売一本槍でいく。無料もしくは低価格で映像作品が手に入ってしまう現代において、どのような思いとこだわりでニッチなジャンルをパッケージ商品化しているのか。孤軍奮闘しながら同社を動かす、鈴木淳一さんに話を聞いた。

海外版以上のクオリティーにしたい

ラインナップには鈴木さんの趣味嗜好が反映されているが、最もこだわっているのは“初ソフト化”という点。「無料化の現代において安くないお金を出してソフトを買ってもらうわけですから、利益率を削ってでもユーザーに満足してもらえる商品を出す。海外版と比べて日本版のソフトが一番いい、と感じてもらうのが目標」というポリシーのもと、本編のみならず、音声や特典映像の収集にも時間をかけている。

是空は大手ではない独立独歩のインディペンデント会社ゆえ、海外にある映画配給会社からソフト化の権利が自動的に譲渡されるメジャー会社とは違い、作品権利元を一から探し、交渉し、日本での発売にこぎつける。しかし作品によってはそもそもの製作会社が倒産し、権利がどこに移動しているのか不明な場合もある。権利元が見つかったとしても現存するのが劣悪な素材だけだったり、特典映像の権利元が別にあるなど、絡まった複数の糸を地道に解く作業が続く。

「海外版がすでに発売されているならば、どのような素材があるのかすべてチェックします。音声に関しても素材によって違いがあって、ある国では音声仕様が2.0チャンネルだけだったりする。その場合は日本独自にミックスして全編5.1チャンネル仕様に変える。手間はかかりますが、海外版以上のクオリティーにしたいという思いが強い」。すべては作品ファンであるユーザーの利益のために。

幻とされていた104分の劇場公開版を世界初Blu-ray化した、ルトガー・ハウアー主演のSF映画『サルート・オブ・ザ・ジャガー』の際には「ソフト化を待っているユーザーに『こんなもんか』と言われないように、ギリギリの部分でお金をかけて」フレーム単位で汚れを落とすデジタル・リマスターを敢行。『バーニング・ムーン』では、鈴木さんの熱意に突き動かされたオラフ・イッテンバッハ監督が、日本でのソフト化のために自らHD素材を作成。権利元がその存在さえ知らなかったメイキング映像も鈴木さんが発見し、特典映像として収録した。

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『肉の蠟人形』(C)1997 APOCALYPSIS ALLRIGHTS RESERVED.

日本語吹き替え版音声も募集し収録

海外の作業だけではない。過去に映画番組で放映された際の日本語吹き替え版の音声も探す。「放送局によって違うバージョンが独自に作られるので、可能な限り探して収録します。しかし放送局側で素材を廃棄している場合が多いので、一般視聴者の方が持っているビデオや音声を募集し、権利をクリアしたのちに新たにリマスタリングして綺麗な音声で収録します」。

なお『バーニング・ムーン』では、新規に声優を起用して独自に日本語吹き替え版を収録した。「ドイツ鬼畜映画の極北といわれている作品をHDニューマスターのBlu-rayで発売し、なおかつ日本語吹き替えも入れるというのはウチの会社でしか出来ないこと。基準は“面白いか、面白くないか”。自分もディスク・コレクターなので、自分が買いたくなる、欲しくなるというものを可能な限りで商品化したい」。仕掛け人であり、鈴木さん自身が一番のユーザーなのだ。

「メジャー・スタジオのように、海外版にも劣る本編と予告編程度しか入っていない即廉価版確定のソフトを出してもすぐに飽きられる。是空は発売から10年以上経ってもそれ以上のソフトが国内外で登場しないようなハイブランドでありたいし、高額かもしれないが、その金額に見合った商品価値を提供していきたい」。今後も初ソフト化作品の発掘と同時に、他社でクオリティーの低い仕様でソフト化された作品を納得のいく形で再ソフト化するなど、待ち望んでいるコレクターやマニアに向けて“売れる最高品質”を発信し続ける。

(石井隼人)

記事制作 : 石井隼人

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