「仕事は恋愛と同じ」北村一輝、『相棒』水谷豊の背中から学んだこと

インタビュー

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「常にチャレンジャーとしてトライし続けたい。どんな現場でも我を通さずに、監督からNGをもらったら柔軟に対応できる俳優。それが仕事というものだし、完成せずに発展途上でいる方が自分としても面白い」。主演も張れて、脇ではクセのある存在を匂い立たせる。時にコワモテ俳優、時に脱力系喜劇俳優、時に色香を放つ男前と尋常ならざるふり幅。しかし北村一輝は、そんな唯一無二のふり幅も「役者ならば当然のこと」とこともなげにいう。

基本的に仕事は、来た順に引き受けるのがスタンス。そこに自分の趣味嗜好は反映されない。新人時代はチンピラ役が多かったが「たまたまそこにしか入れなかっただけで、好きだからあえて選んだというわけではないです。若手時代はオーディションで役を掴み取らなければいけなかっただけで、戦隊ヒーローものの仕事が来ていたとしたら、飛びついてやっていたでしょうね」と笑う。

『怖い奴』というレッテルが勝手に貼られる

『皆月』『日本黒社会 LEY LINES』などで見せたアウトサイダーぶりはインパクト大。それに加えて、歯を抜くなどのストイックを超えた伝説的役作りも独り歩きし、コワモテイメージは大きくなる一方だった。「一つのキャラクターで印象を残し過ぎると同じような役どころの仕事が回ってくるのは事実ですし、それによって『怖い奴』というレッテルが勝手についてしまうのは困るなぁとは思います。かといってもらった役をきちんとこなさなければ次の仕事も来ないわけですから、どんな役でも毎回死ぬ気でした」と打ち明ける。

俳優としての醍醐味は“どんなポジションでどんな役を演じるのか”で感じるのではなく“自分がどのような役を作り上げるのか”にある。「『この役はカッコいいぞ、目立つぞ!』という部分に達成感はなく、役をじっくりと作り上げてカメラの前でそれを披露する瞬間が好き。目標は、どんな役でもきちんとこなせる “ちゃんとした俳優”ですね」。素顔はコワモテとは真逆の、生真面目な職人気質。

 俳優歴は20年を優に超え、今ではテレビ・映画に欠かせない逸材に。“ちゃんとした俳優”という目標通り、役柄の大小、ジャンルにこだわらず、何でも演じている。『KILLERS/キラーズ』でサイコパスを演じたかと思えば、ゆる~い『猫侍』という具合に。俳優として知名度も人気も十分に得ているが「いまだに反省の連続。自分でOKだと思ったことは一度もありません。怖いのはスタッフ・キャストが自分よりも年下になり、何も言ってもらえなくなること。だから現場では『気に入らなかったら言ってください。何度でもやりますから』と言う。芸歴を重ねようが年齢を重ねようが、指摘されて演出されるのは嬉しいもの」と気持ちは駆出し時代と変わらない。

北村一輝

仕事は恋愛と同じで『好き』かどうか

2月11日公開の映画『相棒-劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』ではアウトサイダー役。50万人をターゲットにしたテロリストとして、憧れの水谷豊と初対峙した。「若いころ『熱中時代』も『傷だらけの天使』も観ていましたから、緊張以上に嬉しさとワクワクがあった。子役から現在まで絶えず一線を走り続けている、水谷さんの役に対する向き合い方は凄い。新顔の僕がやりやすい空気を作ってくれる気遣いも忘れない。いいリーダーとは、たとえベテランであっても周りにプレッシャーを与えないもの」と大きな刺激を受けた。

水谷の背中から改めて「この仕事が『好き』という気持ちこそ大切」という、俳優としての息の長い活動の秘訣を学んだ。「仕事は恋愛と同じだと思いますね。時には壁にぶち当たり、許せない、あり得ない、もういいや!ともなる。だけど追いかけたくなる。僕のやっている仕事はいくらキャリアを積んでも、100%の正解が見えないもの。浮き沈みも激しく、嫌になることもあります。だけど現場で若い俳優を見たりすると、いいなぁなんて思う。過去をやり直すことが出来るなら、迷わず俳優の道を選択するでしょう。そして今と同じように反省と悩みの連続で時を過ごすはず。この仕事が天職か?それはわかりません。でも『好き』だということは間違いないでしょうね」。俳優・北村一輝、47歳。長距離ランナーとしてまだまだ激走途中だ。

(石井隼人)

記事制作 : 石井隼人

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