これぞ人間の“愚行録”? 壮絶な「猟奇事件」がテーマの映画5選

コラム

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愚行録-500

(C)2017「愚行録」製作委員会

人間の愚かな行ないとは、どんなものでしょう? そう問いかけるかのごとく、スクリーンの向こうで登場人物たちが口々に思惑を述べていく、2月18日公開の映画『愚行録』。ある惨殺事件の真相と、周囲の人間模様が交錯していく重厚なミステリー作品で、猟奇的な事件を背景に、嫉妬、見栄、駆け引きなど、日常の誰もが無意識に積み重ねている「愚行」の数々を描き出しています。 今回は本作を含め、猟奇事件を題材にした珠玉の5作品を紹介。いずれも人間のもつ悲哀や愚かさについて考えさせられる作品です。

人間の無意識な“愚行”を描く『愚行録』(2月18日公開)

貫井徳郎の直木賞候補作を映画化。迷宮入りした一家惨殺事件を追う週刊誌記者の田中は、被害者の同僚や元恋人など、関係者にインタビューを敢行します。そのうち浮かび上がってきたのは、殺された夫婦に関する黒い噂と、証言者たちの思いもよらなかった姿。いっぽう、田中の妹の光子は育児放棄の疑いで逮捕されていて……。 「僕たちはこの泥沼に浸かることに決めました」と公式コメントを残している妻夫木聡と、満島ひかりが兄妹役で共演。2人は追い込まれながらも役と真剣に向き合い、重いテーマの作品に全身全霊を傾けて臨んでいます。

人間の脆弱な心理を捉えた『CURE』(1997年)

サイコ・サスペンスの名手・黒澤清監督が世界に名を知らしめた代表作の1つ。役所広司演じる刑事・高部は、被害者の胸がX字型に切り裂かれるという連続殺人事件について調べ始めます。しかし、捕まった個々の犯人たちに関連性はなく、彼らはなぜ胸を切り裂いたのか覚えていませんでした。高部は加害者らと接触した謎の男に会うも、彼の用いる催眠療法に魅せられ始め……。憎悪を生み出す人間の脆弱な心理を、鋭い視点で捉えた作品です。

哀切なサイコ・スリラー『フリーズ・ミー』(2000年)

『花と蛇』の石井隆監督が手掛けたサイコ・スリラー。結婚を控えたOLのちひろの前に現れたのは、過去に自分をレイプした男たち。幸せな生活を壊された彼女は、次々とレイプ犯を撲殺し、その死体を業務用冷蔵庫に保管していきます。レビュアーたちを唸らせた、ちひろを演じる井上晴美の美しい裸体も見どころ。哀切な物語に、北村一輝・鶴見辰吾・竹中直人ら3人衆の若干ユーモラスなクズっぷりが映えています。

東大阪集団暴行殺人事件をもとにした『ヒーローショー』(2010年)

より人間の恐ろしさを実感させられる、実話をもとにした作品も多数存在します。同作は、井筒和幸監督×お笑いコンビのジャルジャル主演で話題を呼んだバイオレンスドラマ。2006年の東大阪集団暴行殺人事件をもとに制作されました。 芸人を目指すユウキ(福徳秀介)のバイト先はヒーローショーの舞台。そこで起きたバイト仲間らの乱闘をきっかけに、凶暴性を秘めた勇気(後藤淳平)など複数の知人らが抗争を展開していきます。壮絶なリンチの末、ついに殺人事件が発生。ごく自然体の現代の若者たちが、鬱憤を晴らすように暴力に夢中になるさまが残虐で印象的です。

有名な阿部定事件を描いた『SADA』(1998年)

こちらも実際にあった事件をもとにした、大林宣彦監督・黒木瞳主演の人間ドラマ。題材となったのは、1936年の阿部定事件。芸者の定が愛人の男性を殺害した上、局部を切り取った猟奇性で世間を震撼させました。定は逮捕・服役を経て出所しています。同作以外にも、定本人が出演した『明治大正昭和猟奇女犯罪史』(1969年)、大島渚監督の『愛のコリーダ』(1976・2000年リバイバル)、杉本彩主演の『JOHNEN 定の愛』(2008年)など、この事件に焦点を当てた映画は複数制作されています。

猟奇的な世界も、「愚行」を重ねる日常と地続きであるのかもしれません。『愚行録』のキャッチフレーズには、「その“愚行”は、あなた自身に突きつけられる」と、ドキリとさせられるものが。映画の登場人物たちに、自身を重ねて観てしまうかもしれませんね。

(文/藤岡千夏@H14)

記事制作 : H14

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