愛しているのに、なぜ傷つけあう? 切なくて不器用な家族映画3選

コラム

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たかが500
2月11日(土)公開-『たかが世界の終わり』(C) Shayne Laverdiere, Sons of Manua

19歳の時に手がけた『マイ・マザー』(2009年)で鮮烈な監督デビューを飾って若手実力派グザヴィエ・ドラン。カンヌ国際映画祭での評価も高く、『胸騒ぎの恋人』(2010年)と『わたしはロランス』(2012年)は“ある視点”部門へ出品、『Mommy/マミー』(2014年)はコンペティション部門で審査員賞を受賞し、賞賛をうけてきました。

これらの作品で、母と息子の愛憎や性的マイノリティに揺れる人々を鋭く映像に刻み付けてきた彼が、第69回カンヌ国際映画祭・グランプリを受賞した『たかが世界の終わり』(2月11日公開)で浮き彫りにするのは“愛しているのに傷つけあう”切ない家族。ある秘密を抱えた人気作家ルイ(ギャスパー・ウリエル)が、12年ぶりに帰郷したことで家族に広がる戸惑いや不安、葛藤を繊細につむいだ人間ドラマです。

ドランは「家族は人間の原点」であり、原作の戯曲に描かれた人物たちが「不完全だからこそ魅力を感じた」と語ります。今回はそんな不器用で魅力的な人々が織り成す“切ない家族映画”を3本ご紹介します。

『8月の家族たち』:母親の毒舌から始まる、本音や秘密の暴露大会

8月のオクラホマ。父の失踪を聞いた三姉妹が、残された母を心配して久しぶりに実家に集まるところから始まる『8月の家族たち』(2014年)。夫の浮気や娘の反抗期に悩む長女バーバラ、実家で母親の面倒を見ている次女アイビー、婚約しながらも不安を抱える三女カレン。それぞれに問題を抱える三姉妹は、重病を患いながらも気丈な母親の毒舌を発端に、抑えていた本音を暴露します。

ついには長女と母親が取っ組み合う大騒動に発展するのですが、ぶつかり合う母娘を演じたのは、本作でアカデミー賞主演&助演女優賞にWノミネートされたメリル・ストリープとジュリア・ロバーツ。この他にもユアン・マクレガー、ベネディクト・カンバーバッチ、クリス・クーパーなど実力派俳優陣が、ダイナミックな家族を演じています。

『レイチェルの結婚』:姉の結婚式を前に、妹が切ない胸の内を告白

『レイチェルの結婚』(2008年)では序盤、10年もの間、薬物厚生施設へ入退院を繰り返すキムが、姉レイチェルの結婚式に出席するため父と現パートナーが暮らす実家に戻ってきます。自己中心的な振る舞いばかりするキムに、両家の親族や友人が参加する結婚式のリハーサル・ディナーの祝福ムードは一変。やがて姉妹が言い争い出します。孤独を募らせたキムは、離れて暮らす実母の元を訪れ、苦しい胸の内を告白するのですが、そこでも一騒動が……。

薬物依存者が集まる集会で、キムが麻薬中毒になった切ない理由が明かされます。過去の失敗を無くしたり、失ってしまったものを取り返すことはできませんが、傷つけ合いながらも心の底でつながりあっている家族の絆が胸に迫る感動作です。この切なすぎる過去を持つキムをアン・ハサウェイが熱演。その年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。

『ビッグ・フィッシュ』:死の間際までおとぎ話ばかりする父に息子が激怒

『ビッグ・フィッシュ』(2003年)は『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』のティム・バートンが手掛けた家族のドラマ。ジャーナリストのウィルは、疎遠だった父エドワードが死期迫っていると聞き、妻ジョセフィーンを伴い里帰りします。妻はエドワードが語るロマンティックな恋愛話に感動しますが、ウィルは余命少なくなってもなおおとぎ話を続ける父に激怒。「真実の話を聞きたい」と詰め寄るのですが……。

鬼才バートンが、心すれ違う父子のやるせないドラマを美しいファンタジーに昇華。エドワードをイギリスの名優アルバート・フィニー、エドワードの若い頃をユアン・マクレガー、息子ウィルをビリー・クラダップが演じ、父と息子の葛藤と家族の絆を描いています。

最も近い存在だからこそ、照れて本心を隠したり、時には心にもないことを言って傷つけ合ったり。それでも許し、関係を修復できるのは、強い絆で結ばれ愛し合っている家族だからかもしれません。それぞれに描かれた、共感必至の家族愛にご注目を!

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼

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